茅葺き屋根に黒光りした太い柱や梁。田舎暮らしを夢見る都会の人にとって、野趣あふれる古民家に住むことは憧れの一つです。しかし、古い建築物だけに選び方は注意すべき点も少なくありません。そこで今回は、古民家を利用したい人のために、「未補修古民家の〝困った〟」を徹底レポート。一緒に解決方法を学び、夢を叶える第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
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買ってから困らないために。知っておきたいトラブル解決法
未補修の古民家を見て、その古さやボロさに驚く人も多いのが正直なところ。しかし、これは知識があれば乗り越えられる“壁”でもあります。ここでは、数々の“困った”をいくつかご紹介し、解決する方法を伝授していきます。
※費用はあくまで目安です。
壁も床もボロボロ……。一棟丸ごと改修したらいくらに?
古民家の補修費用は、建物の状態が比較的いい場合と、状態が悪い場合で大きく違ってくる。
建物の状態が比較的いい場合でも、さまざまなところに不具合は見つかるものだ。腐食部分の解体と手直し、畳の交換、建具の交換・調整、屋根の再塗装などで、110万〜150万円は見ておきたい。ここまではとりあえず住めるというレベルの工事だ。
続いて間取り変更でLDKをつくり、水回りを1カ所にまとめる工事が250万〜350万円。し尿と雑排水を浄化する合併浄化槽設置は 50万円前後。ここまでで計400万円くらい。
家屋を丸ごと補修する場合 は、腐った床下を取り除き、基 礎からつくり直す。設備面などその他の快適化工事を含めプラス200万〜300万円 は見ておきたい。このため、一 般的な古民家の改修費用の総額は、400万〜700万円 となる。大規模改修ではさらに工事費が膨らむこともある。
家が傾いている!
古民家の構造体は経年劣 化などにより傾いている場合が多い。ゆがみや傾きはある程度までは許容範囲だが、ひどくなると建具の開閉など、日常生活に支障が 出る。
補修の方法はゆがみのあるところを、ジャッキで持ち上げ、モルタルなどで高さを調整し床を水平にする。 数カ所の手直しなら5万〜 10 万円程度ですむ。
床下の腐食がひどい場合は、建物全体をジャッキアップし、腐った部材を交換。ワイヤーで引っ張り柱を垂 直に直す。これは大がかりな工事となり、最低でも50万〜60万円。現代風の基礎につくり替えたりするとさらに高額になる。
雨漏り発見!
古民家の屋根は茅、トタ ンなどの金属、瓦などさま ざまな素材が使われている。 雨漏りの多くは、屋根材の破損や経年劣化でできたすき間から雨水が染み込み下 地が腐食。建物の全体に影 響が及び、骨組みにまで腐食が来ているようなら、取 得をあきらめたほうがいい だろう。
屋根材や下地の一部の補 修であればそれほど手間もかからず、費用も5万〜 10万円程度ですむ。10 〜 20 年ごとに行う瓦やトタン屋根の塗り替えは 30万円前後、瓦屋根の葺き替えはやや費用がかさみ坪2万5000 円くらいから。茅葺き屋根 の葺き替えはかなり高価で、1000万円以上かかるこ とを覚悟したい。
まさか……水道がない??
古民家は昔から井戸を利 用していたところが多く水道がないのは珍しいことではない。ただ、井戸も長く使われていなかったりすると、水質調査はもちろん、設備の交換も必要になる。
そこで、前面道路に上水道や簡易水道が通っているか、近くまで来ていれば、そこから給水を確保したい。引き込み費用は1メートル当たり2500円。舗装路を壊して復旧すると、1メートル当たり1万円となる。水道加入金は10〜40万円が主流だ。
井戸は掘削と井戸枠設置 で30万円から(掘削費用がかさむこともある)。水質検査、ポンプや除菌器・浄水器の設置が計 10 万円から。
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