掲載:2021年9月号
わが家では味噌と醤油を仕込むために大豆をたくさん育てています。一部は9月中旬のころにエダマメとして味わい、10月下旬から11月には完熟した大豆を収穫します。大豆の自給で、塩ゆでからマメ料理、保存食まで、楽しみは広がります。小豆を育てるいちばんの目的は自家製のあんこのため。脱穀でサヤの中から赤くかわいいマメがパラパラと出てくるのは、何年続けてもうれしいものです。
チリコンカン風
材料 ※3~4人分
○ゆで大豆… 100g
○ゆで小豆… 50g
○タマネギ…中1個
○シメジ…1/2株
○ニンニク…1かけ
○鶏モモ肉… 1枚
○ベーコン…3枚
○オリーブ油…大さじ1
○ホールトマト…1缶
○コンソメ…1個
○チリ(トウガラシ粉)…少々
○月桂樹の葉…2枚
○塩、コショウ…適量
つくり方
❶ タマネギは薄切り、シメジは石づきを取って小房に分け、ニンニクはみじん切りにする。鶏モモ肉はひと口大、ベーコンは1㎝幅に切る。
❷ 鍋にオリーブ油とニンニクを入れて火にかけ、タマネギ、シメジを入れて炒める。少ししんなりしたら、鶏モモ肉、ベーコンを入れてさらに炒める。
❸ ②にホールトマト、ゆで大豆、ゆで小豆、コンソメ、チリ、月桂樹の葉を入れて、中火で20分ほど煮込む。煮詰まってきたら塩、コショウで味を調える。
自家製納豆
材料 ※つくりやすい量(出来上がり200gくらい)
○大豆(黒小粒大豆など)…100g
○市販の納豆(好みのもの)…10粒くらい
○熱湯… 20mLくらい
つくり方
❶ 大豆を洗い、3~4倍の水に浸けて1晩置く。
❷ ①を蒸し器で1時間から1時間30分ほど、水を適宜足しながら中火で蒸す。古い豆は浸水、蒸し時間を長めにする。味見して、ふっくらおいしく蒸せたら蒸し上がり。
❸ 大豆が蒸し上がるころに、市販の納豆に熱湯をかけてよく混ぜ、納豆菌液をつくる。納豆の粒は取り出しておく。
❹ ②をボウルにあけて、大豆が熱いうちに③の納豆菌液を全体に振りかけてへらで混ぜる。
❺ ④を容器に入れて薄くならし、フタは密閉しないよう、間にキッチンペーパーを1枚挟んでのせる。
❻ ⑤をカイロや湯たんぽで温めた発泡スチロール容器に入れ、40℃前後の発酵適温を保つ。
❼ 12時間後に様子を見て、納豆の香りがしていたら順調。大豆全体を混ぜる。
❽ 24~30時間後、大豆全体が白っぽくなり、糸を引いていれば完成。冷蔵庫で1日熟成させる。
あんこときな粉のマフィン
材料 ※直径5㎝のマフィンケーキ約10個分
○小麦粉…120g
○きな粉… 30g
○きび砂糖… 50g(あんこの甘さを見て加減)
○ベーキングパウダー(アルミフリーのもの)…小さじ1
○豆乳…140mL
○植物油(米油)… 45mL
○メープルシロップ…大さじ1
○あんこ(下記参照)…150g
○クルミ… 40g
つくり方
❶ ボウルに小麦粉、きな粉、きび砂糖、ベーキングパウダーを入れて泡だて器で混ぜる。
❷ 別のボウルに豆乳、植物油、メープルシロップ、あんこを入れて泡だて器で混ぜる。
❸ ②を①に加えて粉けがなくなるまで混ぜ、マフィンカップの6分目まで入れる。
❹ ③の上にクルミを散らし、180℃のオーブンで20分くらい焼く。
ゆで小豆とあんこのつくり方
小豆は吸水させずに煮るので、あんこも手軽です。
材料 ※つくりやすい量
○小豆… 300gくらい
○きび砂糖… 200gくらい
○塩… ひとつまみ
❶ 鍋にざっと洗った小豆とたっぷりの水を入れて中火にかける。沸騰したらコップ半分ほどのびっくり水を入れ、再度沸騰後10分ほど煮た後、ザルに上げてゆで汁を捨てる。
❷ 洗った鍋に①の小豆と、3倍量ほどの水を入れて中火にかける。アクをこまめにすくい、水が足りなくなったら少し足しながら30分ほどで、ゆで小豆ができる。
❸ 小豆が少し煮崩れてきたら、きび砂糖を加えて混ぜる。糖分を加えるとそれ以上は煮崩れない。
❹ さらにふつふつする火加減で焦がさないよう混ぜながら煮る。冷めるとかたくなるので、好みのかたさより少し軟らかめで火を止め、塩を加えて仕上げる。
※あんこは冷蔵で数日、小分けにして冷凍すると1カ月ほど保存できる。
自家製の大豆をより分けて
煮汁にはマメの甘味が凝縮
刈り取って脱穀した大豆は、畑が一段落して時間のあるときにより分けます。いちばんよいマメは翌年の種に、次によい黒豆はお正月用、並は料理用。ちょいキズは味噌、醤油の加工に使います。種用のマメを蒔いて余った場合もおいしくいただきます。こうした収穫後長く経ったマメはひね豆といい、新豆より長い浸水時間が必要です。
大豆は涼しい場所で春先は1晩、信州の冬は途中で水を替えて2日間浸水させた後、噴きこぼれないように弱火で1〜2時間、芯まで軟らかくなるまでゆでます。一般にはアクを取りますが、自然菜園で育てた大豆はアクも少なく、煮汁はマメの甘味が凝縮した味わいです。スープに入れたり、豆乳で割って飲んだりします。ただし傷みやすいので一両日中に使い切ります。
たくさんゆでて翌日に残ったエダマメは、フライパンで中火にかけ、表面の皮に焼き色がつくまでしっかり煎って食べています。ゆでたエダマメの甘さに、ねっとりと凝縮したコクが加わって、ひと味違うおいしさです。固めにゆでて密閉袋に入れ冷凍保存したエダマメも、常温で解凍してから同様に焼いていただきます。
大豆はざっと洗ってすぐにザルに上げ、水気を切ります。重ならない量を厚手のフライパンや鍋に入れて中火にかけ、木べらなどで転がしながら焦げつかないように煎ってください。15分ほどで香りが立ち、大豆がふっくらしてきます。食べてみて中まで火が通っていたら、バットにあけて冷まします。ミルやミキサーで挽き、フルイやザルで振るうと、きめ細かなきな粉の出来上がり。香りが飛ぶ前にいただきますが、保存は密閉袋に入れて冷凍できます。
レシピ・監修/竹内裕子
たけうち・ゆうこ●長野県安曇野市でエコ菜園の教室を開く竹内家の主婦。野菜を生かした料理やお菓子が、自然菜園スクール生に大人気。病院での管理栄養士、有機栽培農家での料理番などの経験も生かし、四季折々の旬の野菜を毎日おいしく食べられる工夫を探求中。「ゆでマメは缶詰や真空パックを使ってもよいですが、自家製のゆでマメのコクにはかないません。ぜひ料理してみてください」。
文/新田穂高 写真/村松弘敏、新田穂高
この記事のタグ
田舎暮らしの記事をシェアする