南北に長く、海・山・川の大自然に恵まれている和歌山県。特に海の幸は豊富で、「これを食べたらほかの魚は食べられない」と言われるほどおいしいクエ鍋をはじめ、クジラ、トビウオと、魚を使った鍋が多彩なのは紀伊半島にある和歌山県ならではだ。
掲載:2025年1月号
※この記事は1月号をもとに加筆しています。
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クエ食うたらほかの魚はクエん! 滋養強壮・美容美肌に◎「クエ鍋」【和歌山県】
9月から12月を中心に水揚げされるクエは、淡泊な白身でありながら脂がのりゼラチン質が多い。そのおいしさは、「クエを食うたらほかの魚はクエん」といわれるほど。
和歌山県日高町では、昭和40年代からクエ鍋を旅館や民宿で冬場の郷土料理として提供。昆布とクエのアラでとっただし汁でクエと野菜を煮て、火が通ったものから、ぽん酢じょう油ともみじおろし、わけぎで食べる。締めの雑炊でもうま味を堪能できる。
クエは和歌山県の冬の名物。脂がよくのっていて特有のうまみがあり、高級魚・フグにも負けないおいしさだ。
【編集・水野昌美からひとこと】
市場にあまり出回らないクは、「幻の高級魚」といわれています。大きいものでは体長2mにもなるとか。だしに出たクエのうま味、身の食感と味わい。食べたあとも味の余韻が残るほどです。
クエ鍋のつくり方
【材料】
クエ、白菜、ネギ、シイタケ、豆腐、人参、エノキタケ、シメジ、春菊、春雨
【つくり方】
1 クエは三枚におろし、身とアラを食べやすくぶつ切りにしたものを使う。
2 白菜はざく切り、ネギは斜め薄切り、シイタケは傘に飾りの包丁を入れて、豆腐は八等分くらいに切る。
3 人参は花形に切り、エノキダケとシメジは石づきを除き、春菊は柔らかい葉をつみ、春雨は戻す。
4 土鍋に昆布でとっただし汁を入れて煮たて、クエと具を入れ、煮ながら火の通ったものから、ぽん酢じょう油ともみじおろし、わけぎを添えていただく。
古式捕鯨発祥の地とされる太地町の鍋料理「クジラのハリハリ鍋」【和歌山県】
県南部に位置する太地町(たいじちょう)は、日本における古式捕鯨発祥の地とされる。この地では、貴重なタンパク源としてクジラを使った料理は昔から生活に欠かせなかった。
クジラのハリハリ鍋は、クジラに片栗粉をまぶして湯通ししておき、だし汁にクジラ肉、水菜をはじめとした野菜などを煮て味わう。「ハリハリ」という名前には諸説あるが、水菜を食べる時の食感からきたといわれている。
写真は、クジラの刺身。現在、クジラは貴重な食材。
↓動画でクジラのハリハリ鍋のつくり方を紹介!一般社団法人日本捕鯨協会WEBサイト
https://www.whaling.jp/recipe/recipe004.html
しょらさん(大切な人)に食べさせたい!串本町の鍋「しょらさん鍋」【和歌山県】
しょらさん鍋は、本州最南端の串本町(くしもとちょう)の町魚となっているトビウオをすり身にしたダンゴが入っているのが特徴。「しょらさん」とは、串本節で謡われる「大切な人・愛しい人」という意味で、家庭のほか町のイベントでもふるまわれる。トビウオのアラから出ただしと味噌味が調和して、深い味が楽しめる。
トビウオが漁獲される串本町。町では、さまざまなかたちでトビウオを観光資源として活用している。
しょらさん鍋のつくり方
【材料】
トビウオ、イワシなどのつみれ、豚バラ肉、白菜、きのこ類、人参など
【つくり方】
1 だし汁に魚のアラ、酒、田舎みそ、赤みそ入れる。
2 つみれ、豚バラ肉、野菜を入れ、火が通ったものから食べる。
紀伊半島に位置するだけあり、珍しい魚が味わえる和歌山県。ほかにも和歌山ラーメンや那智勝浦のマグロ、なれ寿司などグルメが豊富なので、新たな味覚に出合えるのでは。
文/横澤寛子
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