移住者のためにカールベンクスハウス「いなば」を建てた下牧(しもまき)町内会長の中村和彦さん(写真左)と地域おこし協力隊の筒井惇貴さん。
【新潟県上越市 柿崎区下牧集落】日本三大薬師の1つ米山薬師が立つ米山の麓にあり、登山者のお茶屋を営んでいた集落の歴史を持つ。
今回、改修した古民家は過去にも建て替えをしていて、使われている古材は200年ほど経たもの。ていねいに解体し、使える古材は洗って、必要なところには新たに継ぎ足すなど加工。
「長い時を刻んだ古材の柱や梁が印象的でしょ」と中村さん。内壁は調湿効果・消臭効果・耐火性に優れた珪藻土だ。床暖房で冬の対策も万全。
玄関ドアには集落にあった蔵の扉を利用。家のあちこちに昔の板戸や蔵の戸などを上手に活用し、歴史を感じさせる。
約20畳の小屋裏はフリースペースで、ロフトやトイレも設置可能。「隠れ家アトリエや子ども部屋など、自由に楽しめます」と筒井さん。
イタリア製のタイルとスウェーデン製のシステムキッチンで、オール電化。調理しながらも外が見える。
2階に設置された浴室。窓の外には雄大な自然の風景が広がる。
間取り図
【カール・ベンクス氏】建築デザイナー。1942年、ドイツ・ベルリン生まれ。パリで建築デザインオフィスに勤務後、空手を学ぶために日本大学に留学。
道路から見上げたカールベンクスハウス。すぐ下にはバス停が設置されている。
1階の大きな窓は結露に強いドイツ製ペアガラス。家からフラットにつながっていて、まるで巨大な風景画のようだ。
このドイツ製の窓は気密性・断熱性が高く、寒い冬でも室内は暖かい。「内開き窓は、開けたままでも防犯上安心できますよ」。
施工した大工さんが遊び心で、昔の板戸や蔵の戸でつくった階段箪笥。
地元の方と井戸端会議。住民は皆さん気さくで、笑顔がはじける。左端は隣の集落の数少ない子ども。
下牧集落は多くの登山客が訪れる米山の麓にある。緑の木々と田んぼの中に家が点在。
幼稚園を改築した「いなか体験ハウス」は、1日1人1500円。農業やそば打ち、雪掘りなどの体験メニューも。
ツアーでは田植えや稲刈りが体験できる。
中村和彦さん
カールベンクスハウス「いなば」
カールベンクス氏(左上)、カールベンクスハウス「いなば」(下)