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田舎暮らしの本 1月号

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田舎暮らしの本 1月号

12月3日(火)
890円(税込)

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子どもの独立後に東京から移住! 高台から瀬戸内海を望む古民家生活【山口県柳井市】

掲載:2021年8月号

多島美の瀬戸内海を望み、良質な魚介類の宝庫としても名高い山口県南東部の柳井市(やないし)。海のそばでの暮らしに憧れていた夫妻は、エーゲ海を思わせる景観に一目ぼれ。築150年の古民家を好みの空間にアレンジし、潮風が香る高台での日常を満喫中だ。

「海の近くの古民家で暮らしたい」という夢をかなえた岩崎さん夫妻。高台から海が見晴らせる庭はまるで展望台のよう。YouTubeチャンネル「マダムサライ」で情報を発信中。https://www.youtube.com/c/MadameSarai

北部の中山間地域から南部の半島部や島しょ部まで表情豊かな柳井市。国の重要伝統的建造物群保存地区の古市・金屋地区、江戸時代から伝わる「金魚ちょうちん」など歴史・文化も息づく。岩国錦帯橋空港から車で約50分。

エーゲ海のような景観が、優雅な時間を演出

 柳井市南部の室津(むろつ)半島の東海岸から、少し内陸へ入った標高約100mの高台。きらめく海の向こうに周防(すおう)大島など大小の島々を見渡す。その風景に出合った瞬間、岩崎さん夫妻は「ここだ!」と思った。

「エーゲ海を思わせるような風景に一目ぼれしたんです」

 そう振り返る喜美弥(きみや)さん(58歳)は、自然豊かな場所での生活に憧れ、子どもの独立に伴って東京からの移住を決意。夫の一徳(いっとく)さん(58歳)も、個人で貿易コンサルタントの仕事をしているため、東京に住み続ける理由はなかったという。

 温暖な場所で海に近いことを条件に日本各地を探し回るなか、たまたま柳井市の空き家バンクで目に留まったのが今の物件。古民家の趣も気に入り、2019年9月に移住した。

 建物は状態よく保たれていたため、壁に漆喰を塗り、客間の畳をフローリングに張り替えるなど、内装を自分たち好みに改修した。

山の緑が背後を彩る築約150年の日本家屋。眺望が開けた前面に洋風の庭をしつらえた。

【Before】襖の開閉で空間を好みに合わせて変えられる昔ながらの続き間の和室。

【After】部屋間の襖を撤去してフローリングの広い応接間に。建具は残して、床の間に絵画を飾り、和洋折衷の空間に仕上げた。

洋風に整えたダイニングキッチン。システムキッチンは天然水晶を天板に使った特注品に。

 約350坪の敷地は、地中の雑草の根や石を取り除いて洋風庭園に整え、斜面の一部は約100坪の菜園に。季節の野菜や花はもちろん、レモンやブルーベリーなどとともにオリーブも植えて華やかに彩った。

 まだまだやることが多く、海で遊ぶ時間はほとんどないという夫妻の一番の楽しみは、眼下に広がる海を眺めること。

「天気や時間で絶えず表情が変わり、見ていて飽きません。夜のムーンロードもすてきです」と、喜美弥さん。

 多くの人にもぜいたくな時間を過ごしてほしいと考え、民泊の開業も計画中。すでに宿名は「マダムサライ」と決め、この場所の魅力を伝える同名タイトルのユーチューブでの情報発信を始めている。

民泊に使う予定の2階の和室。大きな窓から見晴らせる海の眺めが気持ちいい。

 

岩崎さんの海の楽しみ

海を借景にバーベキュー

 「いろんな方が遊びに来てくださるので、庭でバーベキューをよくしています」と喜美弥さん。洋風東屋の下は、夏の暑い日でも海風が心地よく、刻一刻と変化する海の眺めが食事をいっそうおいしくしてくれる。

 「ここで自家製のハーブティーやスギナ茶を飲む時間も好き。身も心もリフレッシュできるんです」。

食材がたくさん手に入るとバーベキューをして近隣の人たちに振る舞う。

この日の食材はサザエやアジなど。 近所の人から魚介を分けてもらうことも多い。

自宅の菜園で穫れた新鮮なレタスのサラダ。野菜は無農薬で栽培している。

隣に住む村井美穂さんのミカン畑にて。「今後は民泊利用者にミカン狩り体験などもさせていただけたら」と喜美弥さん。

近場で釣りができる環境も魅力。地元大工の脇村拓也さん(中央)は夫妻の釣りの師匠だという。

 

【岩崎さんの移住データ】

●改修にかかった費用(概算)

建物改修費約600万円

外構整備費、工具・機械費約250万円

合計 約850万円

●地域でかかる費用

自治会費…年2500円

神社費…年2000円弱

●参加している地域の行事

神社の管理など。

 

文/笹木博幸 写真/福角智江

 

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