掲載:2021年12月号
2021年10月上旬の情報です。
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少しずつ集めた浜田知明の版画を展示したいと、広いスペースのある物件を探していた大泉さん夫妻。信州青木村で、カイコの共同飼育所や公民館結婚式の場として使われた旧公民館に出合い、購入。「村の小さな美術館」として、今年から本格的に公開を始めた。
かつて結婚式にも使用され、地域に愛された旧公民館
長野県東部に位置し、1000m級の山々に囲まれた青木村。平安時代に開湯された名湯・沓掛(くつかけ)温泉からわずかに下った県道沿いに、「浜田知明(はまだちめい)銅版画展」の案内を掲げる古民家が立っている。東京都青梅市の大泉展枝(おおいずみのぶえ)さん(73歳)が夫の文夫(ふみお)さん( 76歳)とともに初夏から秋にかけて営む「村の小さな美術館」だ。
浜田知明の作品が好きで、35年以上かけて版画を集めてきた展枝さん。作品を眺めているうちに、「これらの作品は私だけのものじゃない。みんなに見てもらえる場所をつくりたい」と考えるように。展示できるスペースのある物件を探し、1998年にこの建物を購入した。
「旧公民館なんです。地域の集まりはもちろん、稚蚕共同飼育所(※)や、公民館結婚式の場にもなっていたんですよ」
※カイコの幼虫を共同で育てる場所。
使われていない期間が長かったので、清掃や修繕には時間がかかった。屋根の瓦を覆ったコケを手作業で落とし、廊下の板をすべてはがして根太(ねだ)を下げた。床は外から入り込んだ砂やホコリで汚れ、何度拭き掃除をしても雑巾が真っ黒に。数カ月かけて床を磨き、柿渋を塗って仕上げると、部屋は見違えるほどきれいになって凛とした空気で満ちていた。
「こっちは時間がゆっくり流れているみたいで、時間をかけて掃除とか修繕ができるの。面白いもので、東京に戻るとそういうのんびりさがパタッとなくなっちゃう(笑)」
ご近所さんがぶらりと立ち寄り、「懐かしいな、ここで結婚式を挙げたんだよ」と話をしていく、地域の人たちに愛された旧公民館。これからも訪れる人が絶えない場所になりそうだ。
青木村移住支援情報
子育て支援が手厚い
住宅関連では、定住促進応援補助や村営住宅・若者定住促進住宅など、子育てでは出産祝金や保育料軽減、福祉医療費補助制度、チャイルドシート購入補助などの支援が。青木バスターミナルから上田市下秋和までの千曲バス青木線で、運賃の上限が300円となる運賃低減バス運行事業もある。「移住をお考えなら、無料の移住体験住宅(別途光熱費が必要)をご利用ください」(池田さん)。
問い合わせ先:商工観光移住課 ☎0268-49-0111 http://www.vill.aoki.nagano.jp/ijyu.html
文/はっさく堂 写真/村松弘敏
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