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田舎暮らしの本 5月号

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田舎暮らしの本 5月号

3月1日(金)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

どっちがお好き?「ホームセンターの薪ストーブ」と「 欧米製の高級薪ストーブ」

ホームセンターに行けば5万円前後で手に入る薪ストーブだが、専門店ではそれがなんと50万円もする。10倍もの価格差の理由とは? 値段が高ければ暖かいのか? それぞれのメリット、デメリットを検証。あなたの田舎暮らしにぴったりの薪ストーブは、どっち?

薪ストーブ

米国のメーカー、ダッチウエストの薪ストーブ。最大暖房面積約87畳の大型モデル。気密性がきちんとした住まいなら、これ1台で家じゅう暖か。

和田義弥(わだよしひろ)
本誌でおなじみのフリーライター。薪ストーブには人一倍強い思い入れを持ち、3台の薪ストーブと時計型ストーブを所有する。

暖かさは薪ストーブの性能より部屋の構造

 田舎暮らしを始めたら薪ストーブを導入したいと考えている人はきっと多いだろう。かく言う私も、田舎に暮らし始めた理由の1つは薪ストーブを焚きたかったからだ。しかし、初めて薪ストーブ専門店を訪れたときに価格を聞いて戸惑った。本体が50万円もするうえに、煙突や施工も含めると100万円を超えるのだ。貧乏人にはちょっと手が出ない。それでも、薪ストーブには強い思い入れがあったので、あれこれ工面して、田舎暮らしを始めて2年目には憧れを実現した。

 それは期待通りの素晴らしいものだったけれど、当時住んでいた古民家は壁や床に断熱材など入っておらず、すき間風もひどくて、暖気はなかなか家の中にとどまってはくれなかった。薪ストーブ1台で家中を暖めることや、冬にTシャツ1枚で過ごすことはかなわなかったのだ。

 その後、仕事場とするための小屋を建て、そこにはホームセンターで購入した5万円の薪ストーブを導入した。これは抜群に暖かかった。なぜかといえば、小屋にはしっかりと断熱材が入っていたし、古民家に比べて暖める空間もずっと狭かったからだ。

 つまり、薪ストーブで暖かく過ごせるかどうかは、薪ストーブ自体の性能もあるけれど、それ以上に部屋の構造に大きく左右されるということだ。薪ストーブの設置場所や煙突の影響も大きい。

 そもそも薪ストーブの暖房能力は、燃料である薪の発する熱量にほかならない。単純に考えれば、薪がたくさん入る大きな薪ストーブほど暖かいといっていい。では、欧米製の高級薪ストーブとホームセンターの低価格薪ストーブは何が違うのか? 今回はそれを詳しく紹介する。

 

【価格】

ホームセンターの薪ストーブ

5万円前後の小型モデルが主流。大型モデルだと10万〜15万円程度。4000円台で手に入る鉄製の時計型ストーブもある。

欧米の高級薪ストーブ

小型モデルで20万〜30万円。平均的な中・大型モデルで40万〜60万円程度。このほかに煙突や施工費用が通常50万円程度かかる。

 

【入手方法】

ホームセンターの薪ストーブ

ホームセンターの売場ですぐに入手できる。インターネットでも購入可能。

欧米の高級薪ストーブ

専門店での対面販売が基本。家の間取りや生活環境に合わせた薪ストーブを専門のスタッフと相談し、打ち合わせを重ねて購入に至る。

 

【デザイン】

ホームセンターの薪ストーブ

日本製、中国製の薪ストーブが中心で、メーカーやデザインはある程度限られる。武骨な鋳物製が多い。

欧米の高級薪ストーブ

鋳物製のクラシックなモデルから、現代住宅にもマッチするデザイン性の高いものまで非常に多彩。店によって取り扱いメーカーが異なる。

薪ストーブ

たいていの高級薪ストーブはガラス上部から空気が噴き出し、煤汚れを防ぐ。いつでも美しい炎が楽しめる。

 

【設置】

ホームセンターの薪ストーブ

DIYによる設置が一般的で、施工の知識と技術がそれなりに必要。基本的には自己責任。

欧米の高級薪ストーブ

販売は専門業者の施工が前提。暖房効率や煙突工事などを考慮したベストな位置に設置してもらえる。

 

【煙突】

ホームセンターの薪ストーブ

内径100〜110 mmのシングル煙突。1 mで1000円程度。径が細く、断熱性がないため、きちんと施工しないと排気が悪くなり、よく燃えない。

欧米の高級薪ストーブ

内径150 mm、外径200 mmの断熱二重煙突がスタンダード。1mで5万円程度。高価だが排気が冷えにくいため、スムーズに上昇気流が発生する。安全性も高い。

薪ストーブ

内径106㎜のシングル煙突(左)と、内径150㎜の断熱二重煙突。一見して排気性能の違いが想像できる。

 

【構造】

ホームセンターの薪ストーブ

5万円前後のモデルはシンプルな鉄や鋳物の箱。10万円以上のモデルは二次燃焼システム(薪を燃やす過程で発生した煙の中の未燃焼ガスをもう一度燃焼させる機能)が備わっているものもある。

欧米の高級薪ストーブ

欧米では薪ストーブにも車と同じように排出ガス規制があるため、より効率よく薪を燃やし、クリーンな煙を排出するための二次燃焼システムが備わる。燃焼効率を高めるために給気と排気の流れがうまく考えられている。

薪ストーブ

二次燃焼のための触媒。不燃性ガス(煙)の90%を再燃焼させる。

 

【暖房能力】

 薪の発する熱量に左右されるので、基本的には燃焼室にたくさん薪が入る大型モデルほど暖房能力が高い。

 

【薪の消費量】

ホームセンターの薪ストーブ

5万円前後のモデルは、基本的に鉄の箱の中で薪を燃やしているだけなので、薪の消費量は多い。鉄や薄い鋳物だと蓄熱性が低いため、暖かさを維持するには薪を燃やし続けなくてはならない。

欧米の高級薪ストーブ

高性能な二次燃焼システムを備えるモデルほど、薪が長持ちする。蓄熱性も高く、燃焼効率が非常によい。

 

【メンテナンス】

ホームセンターの薪ストーブ

シングル煙突は煤(すす)が出やすいため、1シーズンに2〜3回の煙突掃除が必要なケースもある。基本的には自分で行う。

欧米の高級薪ストーブ

煙突掃除は自分でもできるが、専門業者に依頼するケースが多い。相場は1回3万円〜。

薪ストーブ

排気がクリーンならば屋根に上って行う煙突掃除の回数も少なくて済む。

 

【まとめ】
 
素材や性能、熱効率、安全性などが価格に反映されている。それらを考えれば欧米製の薪ストーブで間違いはないだろう。とはいえ、気密性の低い古民家や本体の暖房能力以上に広い空間では、その性能は充分に発揮されない。100万円前後する導入費用も悩みどころだ。
ホームセンターの薪ストーブはコストパフォーマンスが高い。5万円程度で薪ストーブのある暮らしを実現できるし、DIY派にとっては自分で施工できるのも魅力だ。

 

文/和田義弥 写真/阪口克、和田義弥

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