秋田県南部に位置する羽後町(うごまち)は、人口約1万4000人の小さなまち。横手盆地に属し、豊かな自然環境が自慢。積雪量が多く、農業が盛んで、高い評価を受けている食材が数多くある。約700年前から続く伝統行事「西馬音内盆踊り(にしもないぼんおどり)」は、2022年11月にユネスコ無形文化遺産に「風流踊(ふりゅうおどり)」の1つとして登録され、全国各地から観光客や踊り手が集まる。また、番楽や獅子舞、人形劇など、古くから地域で行われてきた伝統芸能を継承するための活動に力を入れている。
大平山(たいへいざん)の中腹にある山荘「みはらし荘」は、横手盆地を一望できる絶景スポット。春や秋には、雲が地表を覆う雲海が見られることも。晴れた日の早朝、わずかな時間しか見られない幻想的な景色を目当てに、町内外より見物客が訪れる。
西馬音内地区中心部のかがり火広場では、毎月2、5、8のつく日に朝市が開かれている。採れたての山菜や野菜から衣料・日用品を扱う店まで幅広く並び、多くの人が買い物を楽しむ。
旧田代村(現田代地区)の地主であった長谷山家の邸宅を改修整備した「旧長谷山邸」。4~11月の土・日曜日は無料で見学することができ、母屋では農家のお母さんが郷土料理を提供する「農家キッチンあるもんで」が、土蔵では田代地区を舞台に撮影された写真集『鎌鼬(かまいたち)』の写真や資料を展示する「鎌鼬美術館」が営業する。
山間部の田代地区は、現在、移住者が増えているエリア。国登録有形文化財の住宅を改装し民宿やカフェを営むUターン者、空き家だった茅葺き民家を再生し民宿運営を目指すかたわら、伝統的な稲架掛け(はさがけ)で稲作に挑戦するIターン者、祖父母に教わりながら農業を始めた孫ターン者など。田代地区は外国人留学生の受け入れも積極的に行っていたこともあり、新しいチャレンジに対して「やってみよう」「やってみたらいいんじゃない」と前向きに応援してくれる人が多い。移住者ともよい関係性が育まれ、就農や民宿経営などに興味のある方にオススメの地区だ。
大規模修理なしで住める100万円物件。隣家がなく、のびのび過ごせる
物件があるのは、移住者が増えている田代地区の近く、山の懐に抱かれた懐かしい風景が広がるエリア。周囲は田んぼや畑、林に囲まれ、隣の家との直線距離は70mほど。間に林があるため、かなり離れているように感じ、周囲を気にせずに暮らせる。
駐車場が広く、屋外には5台以上駐車可能。また、家の前方では家庭菜園もできる。物件があるのは積雪の多いエリアのため、冬期間は除雪が必要。道路から少し入ったところに住宅があるため、玄関前から道路まで自分で雪かきする必要がある。荷物はほとんど片付けられていて、残っている家具・家電なども利用者が決まり次第撤去予定。築39年で、床に経年劣化はあるものの、修理が必要なレベルではない。現在、水は出ない状態(井戸水を使用しているが、建物外のポンプが壊れている可能性がある)で、ボイラーも古いため修繕の可能性がある。
【物件データ】
秋田県羽後町
100万円
土地:95坪・316㎡
延床:48坪・159㎡
菜園:あり
取得費補助:最大100万円
改修費補助:最大20万円
●7DK●原野●平坦地●都市計画区域外●築39年●汲み取り式トイレ●東北中央自動車道湯沢ICより約22km●山間の見晴らしのよい高台に立つ。部屋数が多く、部屋の状態も比較的良好。車庫1台分あり、ほかに屋外に3台ほど駐車可能。23坪の倉庫あり。残置物は撤去の予定。車で、こども園、小学校へ7〜10分、中学校、温泉、道の駅、スーパーへ15〜17分。改修費補助は子育て世帯が対象。
●問い合わせ先:羽後町みらい産業交流課 ☎0183-62-2111
1階の和室。手前が10帖、中央が8帖、奥が6帖の続き間。部屋数が多く、大家族にもオススメ。
広々とした玄関。手前には、風や雨、雪が建物内に入り込むことを防ぐ風除室が設置されている。
8帖と6帖の和室の脇にある縁側。
2階には、6帖の和室が2部屋ある。
2階の洋室には押し入れと物入が設置されている。写真に見える引き戸の奥は廊下と階段になる。
1階の階段下にある物置。部屋にも押し入れや物入があるので、収納スペースは多い。
台所も広く、システムキッチンはそのまま使える。奥は6帖の和室。
脱衣所には洗濯機置場と洗面台替わりの流し台がある。ドアは外へ通じている。
風呂もきれいだが、ボイラーの状態は要確認。
汲み取り式のトイレは水洗式に取り換え可能。町の助成制度が利用できる。
付属している23坪の倉庫。
雪が積もった状態。冬の間は除雪が欠かせない。
【秋田県 羽後町の魅力】
中心地に生活利便施設が揃う、コンパクトで暮らしやすいまち
町の中心部に病院、学校、交番、スーパー、コンビニなどが揃い、コンパクトで暮らしやすい。隣の湯沢市や横手市の市街地までは車で20分ほど。町では、子育て支援や教育に力を入れていて、町唯一の高校である羽後高校では、2022年8月から県内の公立高校で初めて給食の提供を始めた。また、慶應義塾大学の研究室と連携し、羽後高校の魅力化を図るための取り組みを行っている。町内4カ所にこども園があり、待機児童ゼロ。第3子以降の児童を養育する家庭には給付金を支給(うごまち「未来の宝」応援給付金)。医療費は18歳まで無料。
移住支援として、移住体験ができる「体験住宅」を整備。平野部の西馬音内地区にあり、道の駅まで徒歩約3分、スーパーや病院まで徒歩約10分で行くことができる。移住体験ツアーも開催していて、学校見学や農業体験、先輩移住者との交流会など、要望に応じてスケジュールを組み立てることが可能。県外から初めて羽後町に移住し、住宅を新築・購入する場合、かかった費用の1/2(最大100万円)を助成する「羽後町住宅取得奨励金」や、県外転入者(Uターン含む)が町内企業に就職し6カ月継続して勤務した場合に給付金5万円を支給する「羽後町ふるさと就職応援給付金」などもある。
【西馬音内そば】
つなぎに布海苔(ふのり)を使用した珍しいそばで、コシが強く、のど越しがよいのが特徴。町内にはそば屋が8軒あり、食べ比べも楽しい。「道の駅 うご 端縫いの郷(はぬいのさと)」にはそば打ち体験ができる施設が併設され、自分で打ったそばをその場で味わうことができる。
【五輪坂温泉(ごりんざかおんせん) としとらんど】
日本最大級の広さを誇る横手盆地を見おろす小高い丘の上にある天然温泉レジャーランド。3階にあるパノラマ大浴場からは、遠く奥羽山脈を一望。日帰り入浴のほか、宿泊、食事、宴会も利用でき、ログハウス棟ではグランピングもできる。周囲には公園、ゴルフ練習場、グラウンドゴルフ場があり、アクティビティも楽しめる。
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