2020年6月号別冊付録
人気YouTubeチャンネル「古民家ひとり暮らし」。伊豆の海辺のまちに移住した男性のていねいな暮らしが、多くの共感を呼んでいます。
近年、海の近くで家を借りました。場所は西伊豆。海や山、渓流、温泉があるのどかなところです。子どものころに何度か家族旅行で訪れたことがあるので、どこか懐かしくて安心感があることが決め手でした。
この家は現地で情報を仕入れて見学に来たら一目で気に入りました。築60年ほどの小さな木造。ひとり暮らしにはちょうどいいサイズです。
移住のきっかけは、在宅で仕事をしている僕は、どこでも仕事ができる。なら静かな環境で暮らしたいと思ったから。
YouTubeを始めたのは、田舎で新しい暮らしをするのなら、以前から大好きだった映像をつくりだしたいと思ったからです。撮ることで自分のスキルアップにもつながるし。
テーマもいろいろと考えたのですが、僕自身が暮らしている日常をていねいに取り上げたい。動画を見た方がほっこりと癒やされるようなものを撮りたいと考えています。
家の中は極力、ものを少なくしています。もともとたくさん持つほうではなく、気に入ったものが最小限あればいいというタイプなので。
また、使いやすさや着心地にはこだわりますが、ブランドや価格へのこだわりは少ないです。よく動画を見た方から「どこの?」とブランドやメーカーを聞かれますが、ニトリや無印良品が多かったりします。素敵に見えたのなら、うれしいですね。
自由気ままで、のんびりとした男のひとり暮らし。けっこう楽しいです。
この家の好きなところは縁側と畳。縁側は、日光浴したり、食事したり、座りっぱなしの仕事の合間にうろうろ歩いたりと大活躍です。畳もすぐにごろっとなれるのがいいですね。
大家さんが大切にしていたため傷みも少なく、補修しないで入居できました。「愛されてきた家」というのが第一印象。僕もていねいに暮らしていきたいです。
朝起きるとまず縁側のカーテンを開けて、朝日を家に取り込みます。冬の寒いときも、必ず窓を開けて換気。緑の人たちに水やりをして朝食の準備。
朝食は、わりとご飯派。今日は地元の干物に卵焼き、具だくさん味噌汁。でも、たまにパンにするとこれがまたおいしい。
一日の始まりは、しっかりエネルギーと太陽を補給しないと。
仕事は、ウェブ制作なので、基本的には在宅です。ときどきは東京へ打ち合わせに行きます。YouTubeは週1回アップ。撮影に1日、編集に1日程度かかっています。
ひとり暮らしなので、当然、撮影もひとりです。シーンごとにカメラを動かしています。出かけるシーンは、後ろ姿を撮影してから、カメラを回収しに戻ります。ほかの人が見たら、不思議な光景だと思います。食べるシーンも全体を撮って、寄りで撮って、手元を撮って……。撮影は手間ですが、この面倒くささも含めて面白いです。
畑の手入れは定期的にしています。デスクワークが多いので、からだを動かすのが楽しいです。
この家に越してきたときに、好きなものや撮影のじゃまにならないシンプルなものを揃えました。もとからシンプルなものが好みなのですが。
家具は古いものが好きですが、それ以外の生活用品にあまりこだわりはありません。ただ、ときどきキラリといいものがあると、ちょっとカッコいいかなと思っています。
ものは少なめにし、片付けるようにしています(布団はたたんで隅に置くだけが多いですが)。パソコンやテレビまわりのケーブルがごちゃついているので、それをきれいにするのが今後の課題です。
週に2日は、15〜16時に仕事を切り上げて、夕方から運動をします。その前に米を研いで炊く準備をしておきます。
運動は面倒だと思うときもありますが、メタボ回避のためにもしています。なにより、運動のあとのお酒がおいしい。これが運動をするいちばんの理由かもしれない。
戻ったら着替えて洗濯機を回し、その間にお風呂へ。
上り次第、土鍋を火にかけ、軽く飲みながらおかずをつくります。
食べるのも好きですが、お酒も大好きです。西伊豆へ来てからは、車での移動があるので、家飲みが多くなりました。でも、家飲みは少しぜいたくをしても、外に飲みに行くよりずっと安上がりです。
「さて、ビールを注いで。いただきます」
仕事を1日頑張ってからひと息つく、この時間が好きです。この一杯のために生きているのかもしれない。
ひとりで食べたいものを食べて飲んで、気ままな居酒屋「古民家」です。飲み仲間が欲しいときは緑の人たちに付き合っていただきます。
食べ終わったら、22時には寝る態勢へ、23時には消灯です。おやすみなさい。
ゆっくりと静かな環境で仕事をしたいと移住した西伊豆。みなさんも、田舎暮らしには興味があると思いますが、実際に移住した僕からのアドバイスが2つ。
「どこでもできる仕事を見つける」「住まいは賃貸から」
仕事は会社勤めももちろんいいけれど、在宅の仕事なら時間に縛られずに田舎での暮らしが満喫できます。住まいは、その地域や周囲の人が自分に合っているかどうかわからないので、まずは賃貸で暮らしてみるほうが安心です。僕の場合は大家さんも近所の方もとてもやさしくて、ラッキーでした。
移住を機に始めたYouTube。カットごとにカメラを移動したり、自分を撮影して自分でカメラを回収したり、失敗したり……、けっこう苦労しています。また週1回はアップしていますが、それがプレッシャーに感じることも。
けれど、YouTubeの撮影のために出かけることで、新しい伊豆の魅力が発見できたり、おいしい食べ物と出会えたり、あちこち釣りに行けたりしています。今後、挑戦したいのがアウトドア系の映像。ソロキャンプをしてみたいですし、船で沖釣りもしたい。カヤックやシュノーケルなど、伊豆でできるアクティビティを全部試してみようと思っています。
撮影は、大変だけど面白い、苦労しているけどつらくはない。映像を撮ることが夢だった僕にとっては、いろいろな方が見てくれているのがうれしくて仕方がありません。なにより自分自身が撮ることで、とてもとても満たされているのです。
YouTube
https://www.youtube.com/channel/UChhrfk3ZYVkeNbkbyS4-puA
Instagram
https://www.instagram.com/photoyonpa/?hl=ja
文/水野昌美 写真/鈴木千佳
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