掲載:2023年6月号
定年退職後のセカンドライフについて考えていた釣り好き・温泉好きの夫妻が、移住先として選んだのが大分県北部の宇佐市。広い畑付き物件の魅力もさることながら、魚種に富む海が近くにあり、市内に個性の異なる9カ所の温泉が点在する環境に、強くひかれた。
都会のデスクワークから
開放的な海近の暮らしへ
製版会社で長年デスクワークをしていた小林薫(こばやしかおる)さん(69歳)は、以前から田舎でのびのびと暮らす夢があり、定年退職を機に妻の代里子(よりこ)さんと埼玉県からの移住を決意した。
「まず釣りのできる海があることが大前提。大好きな温泉にも近いほうがいいし、広い畑もほしいと思っていました」
と、薫さん。夫婦共通の友人が住む大分県中津市(なかつし)をすすめられ、お隣の宇佐市を含めて調べていたところ、築80余年で7DKの今の物件が目に留まった。長洲(ながす)漁港の釣り場へは車で5分弱の好立地。交渉すると1反(300坪)の畑を付けてもらえ、2018年夏に移住した。
「水回りや給湯設備を取り換えたほかは、趣味のDIYで少しずつ改修しているところ。子猫のミー子ちゃんにあちこちの障子を破かれたので、次の作業はその張り替えかな(笑)」
そう話す薫さんは、豊前海での釣りを満喫している。
「遠浅の宇佐の海ではキスがよく釣れ、防波堤でアイナメやカサゴ、河口ではトビハゼやエイも。宇佐は釣り人が比較的少なく、ゆっくり釣れるのがいい。国東半島の釣り場へのアクセスがいいのも魅力です」
一方、代里子さんもときどき一緒に出かけるそう。
「こちらに来て初めて海釣りをしたときにアナゴが釣れ、面白さを知りました」
普段は夫婦一緒に畑で季節の野菜を育てている。ときには2人で市内の温泉を訪れるが、自宅から近い源泉かけ流しの金屋(かなや)温泉、津房(つぶさ)川での釣りを兼ねて立ち寄れる津房温泉、泉質のよい「いんない余(あまり)温泉」などがお気に入り。津房温泉と余温泉なら市民は入浴料250円で、70歳以上なら100円と格安だ。
さらに代里子さんは「人との交流ができますから」と介護の仕事をし、薫さんは「体力づくりとお小遣い稼ぎを兼ねて」とシルバー人材センターの剪定班で活動。澄んだ空気に包まれてのアクティブライフは、2人に心身の健康ももたらしている。
小林さんに聞く!
海のある暮らしココがGood!
ストレスなく釣りを堪能
海の近くで暮らす一番のメリットは、気の向くままに好きなタイミングで釣りができること。以前は2~3時間かけて1日がかりで出かけていましたが、今は思い立ったら車に道具を積み込んでさっと行って、さっと帰ってこられます。釣りをする機会も増えました。
文・写真/笹木博幸
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