これまで大阪を拠点にして数々の事業を手がけてきた男性が、ようやく巡り合ったのは、山の中腹にたたずむ築約100年の古民家。四季の恵みが豊かで見晴らしのよい550坪の敷地を舞台に、楽しいアイデアが次々とわき出す。
掲載: 田舎暮らしの本 2023年8月号
広大な敷地と古民家を
誰もが楽しめる楽園に
自動車整備士や大工として勤めたのち、雑貨店、居酒屋、民泊など、幅広い事業を立ち上げてきた大阪府出身の坂原義浩(さかはらよしひろ)さん(61歳)は、楽しいことが大好き。年齢を重ねるにつれ、都会のネオンよりも、幼少期によく遊んだ山・川・海がある環境にひかれるようになった。そして本格的な田舎の環境を求めて各地を探し、2019年に香美町小代区(おじろく)の山中にある今の物件に巡り合ったそう。坂原さんは当時をこう振り返る。
「大正時代に建てられた当時の風情を保ち、写真で見た瞬間に気に入りました。すぐに内覧すると、太い柱や梁のある完璧な古民家。高台からの眺望も抜群で即決しました」
シロアリ被害で床は全滅状態だったが、躯体がしっかりしていて自分で改修できると確信。まずはトイレや浴室の改修後、土台をジャッキアップして床の下地からすべて交換し、雨漏りも修理した。草木が茂っていた敷地も整え、車が乗り入れられるよう斜面を整地。今後はさまざまな施設を整えていく。
「景色が開けた場所に山小屋をつくり、宿泊やバーベキューができるようにします。倉庫の2階は自家焙煎コーヒーや手づくりスイーツが楽しめるカフェに。母屋の1階は訪問客がくつろげるフリースペース、2階はゲストルームとして、それぞれ整備する予定。これらを来年夏までに完成させられたら」
ほかにも構想がどんどん膨み、「やりたいことが多過ぎて大変」と苦笑するが、ここならではの癒やしも数多いという。
「春にはワラビやタケノコが採れ、標高が高いから夏は涼しくて蚊もおらず、秋には敷地内でクリやカキが実ります。冬は雪かきが大変ですが、近くのスキー場へ仲間と遊びに行くことも。そのほか温泉や日本海での釣りなど遊べる場所が豊富です」
と、坂原さん。今はまだ大阪との二地域居住だが、近いうちに会社の仕事は子どもたちに任せ、夫婦2人で完全に移住しようと決めている。
坂原さんに聞く!
物件探しのコツ
まめに情報収集、すぐ内覧
インターネットで物件情報を毎日チェックし、希望エリアを車で走って空き家を探すのみ。気になる物件はすぐに内覧させてもらうことも大切です。残存物の整理や改修時の資材運搬のことを考えると、大きめの車が入れない物件は除外します。
坂原さんに聞く!
物件のチェックポイントは?
重要なのは柱や梁の状況
購入後は当然それなりの修繕費が必要だと考えていたので、まずはできるだけ安い物件を探しました。ただし安いだけでなく、通し柱など構造的に重要な柱に傾きがないことが大切です。内覧時に水平器を当ててみて柱が真っすぐ立っていれば、たとえ床がぼろぼろでも改修さえすれば問題ないと思います。
文・写真/笹木博幸
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