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田舎暮らしの本 11月号

最新号のご案内

田舎暮らしの本 11月号

10月3日(木)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

眺望抜群の古民家をDIY改修!遊び心あふれる計画が進行中【兵庫県香美町】

これまで大阪を拠点にして数々の事業を手がけてきた男性が、ようやく巡り合ったのは、山の中腹にたたずむ築約100年の古民家。四季の恵みが豊かで見晴らしのよい550坪の敷地を舞台に、楽しいアイデアが次々とわき出す。

 

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掲載: 田舎暮らしの本 2023年8月号

 

兵庫県北部の香美町は全域が山陰海岸ジオパークに属し、約6割が自然公園区域に指定。松葉ガニや但馬牛といった美食の宝庫で、海・山のアウトドアスポーツも盛ん。大阪市内から高速道路を利用して車で約3時間。

 

広大な敷地と古民家を
誰もが楽しめる楽園に

思い描いていた田舎暮らしの舞台を見つけ、遊びと憩いの場づくりを進めている坂原さん。「作業後の焼き肉を目当てに工事を手伝いに来てくれる仲間も増えました(笑)」。

 自動車整備士や大工として勤めたのち、雑貨店、居酒屋、民泊など、幅広い事業を立ち上げてきた大阪府出身の坂原義浩(さかはらよしひろ)さん(61歳)は、楽しいことが大好き。年齢を重ねるにつれ、都会のネオンよりも、幼少期によく遊んだ山・川・海がある環境にひかれるようになった。そして本格的な田舎の環境を求めて各地を探し、2019年に香美町区(おじろく)の山中にある今の物件に巡り合ったそう。坂原さんは当時をこう振り返る。

「大正時代に建てられた当時の風情を保ち、写真で見た瞬間に気に入りました。すぐに内覧すると、太い柱や梁のある完璧な古民家。高台からの眺望も抜群で即決しました」

 シロアリ被害で床は全滅状態だったが、躯体がしっかりしていて自分で改修できると確信。まずはトイレや浴室の改修後、土台をジャッキアップして床の下地からすべて交換し、雨漏りも修理した。草木が茂っていた敷地も整え、車が乗り入れられるよう斜面を整地。今後はさまざまな施設を整えていく。

「景色が開けた場所に山小屋をつくり、宿泊やバーベキューができるようにします。倉庫の2階は自家焙煎コーヒーや手づくりスイーツが楽しめるカフェに。母屋の1階は訪問客がくつろげるフリースペース、2階はゲストルームとして、それぞれ整備する予定。これらを来年夏までに完成させられたら」

 ほかにも構想がどんどん膨み、「やりたいことが多過ぎて大変」と苦笑するが、ここならではの癒やしも数多いという。

「春にはワラビやタケノコが採れ、標高が高いから夏は涼しくて蚊もおらず、秋には敷地内でクリやカキが実ります。冬は雪かきが大変ですが、近くのスキー場へ仲間と遊びに行くことも。そのほか温泉や日本海での釣りなど遊べる場所が豊富です」

 と、坂原さん。今はまだ大阪との二地域居住だが、近いうちに会社の仕事は子どもたちに任せ、夫婦2人で完全に移住しようと決めている。

Before
床は下地を含めて傷みが激しく、シロアリ被害で土台も沈んでいた。

After
和室は床下からすべて改修し、パイン材で仕上げたフローリングに一新。

もともとなかった脱衣室を設けるため壁を設置。その外側にはバーカウンターをつくる。

浴室は給湯設備を交換すると同時に、竹筒から浴槽へ直接湯が流れる演出も施した。

趣味の1つがアコースティックギター。ゆくゆくは蔵でライブを開けたらと考えている。

現在の倉庫の2階。立派な構造は生かしつつ内装を整え、裏の駐車場から直接アクセスできるようにする。

カフェスペースにする予定の倉庫の2階は、窓の外に広がる山々の風景が自慢。

母屋の2階にある眺めのよい部屋は、友人が遊びに来たときや民泊用のゲストルームに。

母屋の裏には立派な蔵が併設されている。現在は外側を少しずつ補修中。

蔵の内部はまだ手つかずの状態だが、これからライブスタジオに改修していく。

香美町の夏の楽しみ
田園と山々を望む近所の風景。「買い物へ行くときには山の中の道を通るんです。田んぼの緑が濃くなる夏場は特にいい感じ」と坂原さん。

草木が茂っていた斜面を整地するため50万円ほどで中古ユンボを購入。敷地の最上段にはバンライフ車の駐車場をつくる予定。

敷地内の水路でワサビ栽培に挑戦。ノウハウは区長さんの助言も仰いだ。うまくいけばワサビ田を整えて量産するという。

 

坂原さんに聞く! 
物件探しのコツ

まめに情報収集、すぐ内覧

 インターネットで物件情報を毎日チェックし、希望エリアを車で走って空き家を探すのみ。気になる物件はすぐに内覧させてもらうことも大切です。残存物の整理や改修時の資材運搬のことを考えると、大きめの車が入れない物件は除外します。

 

坂原さんに聞く! 
物件のチェックポイントは?

重要なのは柱や梁の状況

 購入後は当然それなりの修繕費が必要だと考えていたので、まずはできるだけ安い物件を探しました。ただし安いだけでなく、通し柱など構造的に重要な柱に傾きがないことが大切です。内覧時に水平器を当ててみて柱が真っすぐ立っていれば、たとえ床がぼろぼろでも改修さえすれば問題ないと思います。

坂原さんは太い柱や梁が特徴の古民家を選んだ。全体に傷んでいたが構造はしっかりしていた。

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文・写真/笹木博幸

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