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田舎暮らしの本 12月号

最新号のご案内

田舎暮らしの本 12月号

11月1日(金)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

「あれは何だ?」二拠点生活実践者が目にした、山中湖畔に増殖する“謎のまん丸物体”の正体とは?【山梨県南都留郡】田舎暮らし初心者の生き生きストーリー

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興味を持って調べてみると、面白い植物だということが判明

 正解を得てからの佐藤さんは、ヤドリギについていろいろ調べてみたそう。その結果、謂れの多い面白い植物だということが判明したとのことです。

 ヨーロッパからアジアまで幅広く自然分布するヤドリギは、土の上ではなくほかの樹木の枝や幹に根を食い込ませて育つ、いわゆる寄生植物。

 実は、山中湖周辺はヤドリギの群生地で、宿主の木の葉が生い茂る春から夏には、覆い隠されて見つけにくいのですが、主の葉がすっかり枯れ落ちる秋から冬にかけては、その存在が際立ちます。ヤドリギは、一年中小さな緑の葉を広げる常緑樹なので、寒くなってきたシーズンには、なんとも奇妙な緑の物体がポツンと木の上に姿を現したかのように感じるのだとか。

調べたところによると、ヤドリギの繁殖に一役買っているのは、ヒレンジャクとキレンジャクという綺麗な野鳥。日本列島で越冬する渡り鳥の彼らは、ヤドリギの実を好んで食べ、フンをすることでその種を広げているんだそうですよ。自然豊かな山中湖のまわりには、ヒレンジャク・キレンジャクをはじめ、たくさんの種類の野鳥が棲んでいます。家の窓からもバードウォッチングが楽しめるので、こっちに住むようになってから、そういうことに詳しくなりましたね」(佐藤さん)

ヤドリギが密集する湖畔の通り
ヤドリギが密集する湖畔の通り

 東京で生まれ育ち、ファッション誌の編集者をやっていたという経歴から察するとおり、ファッションやカルチャーには詳しいけど、田舎暮らしとは無縁の人生を歩んできたという佐藤さん。

 しかし、新たに知ったヤドリギのことについても、カルチャーにからめて紹介しているのが同書の面白いところです。

雄大な山中湖と富士山の景色を前に
雄大な山中湖と富士山の景色を前に

オリジナルの趣旨は尊重しつつ、独自の解釈を加えながら異常進化した和風クリスマス文化ではなぜか抜け落ちていますが、欧米ではクリスマスといえばヤドリギ、ヤドリギといえばクリスマスです。ヤドリギは英語でmistletoeと表します。古きはフランク・シナトラの『Mistletoe and Holly』(1957年リリース)、新しきはジャスティン・ビーバーの『Mistletoe』(2011年リリース)、ともにクリスマスソングです。」(原文ママ)
佐藤誠二朗著『山の家のスローバラード 東京⇄山中湖 行ったり来たりのデュアルライフ』(百年舎)より引用

田舎暮らし初心者の著者の暮らしが生き生きと描かれている本

 ヤドリギのことを知った佐藤さんは、それを素材に用いたDIYのインテリア作りにも挑戦します。

欧米では、ヤドリギでリースやスワッグ(壁飾り)を作って、クリスマスシーズンに飾る風習があるそうなんです。そして映画『ハリー・ポッター』の中でも描かれていますが、あちらでは“クリスマスにヤドリギの下でキスをすれば、その男女は神から祝福される”という言い伝えがあって、若い男女の恋の駆け引き小道具としても用いられているそうです。僕のような、いい年したおじさんには似合わない話ですが、せっかくヤドリギがたくさんある場所に住んでいるんだから、ちょっとそのヤドリギ壁飾りというものを作ってみたいなと思ったんですよ

 とはいえ、街路樹や湖畔の自生樹の高い枝に繁るヤドリギを、勝手に折り取ることなどは許されません。それが、ある日、佐藤さんは湖畔を散歩中に、ヤドリギがたくさんついた樹木を伐採している(おそらく自治体の方々の)現場に直面。

『その枝についている丸いの、もらえます?』と聞いたら、『いくらでも持ってって』と。それで一玉だけもらって家に持ち帰り、ヤドリギスワッグを作ってみました。簡単なものですけど、なかなかうまく作れたと思いますよ」。と、嬉しそう。

佐藤さんが作ったヤドリギのスワッグ
佐藤さんが作ったヤドリギのスワッグ

『山の家のスローバラード 東京⇄山中湖 行ったり来たりのデュアルライフ』には、そのほかにもたくさん、二拠点生活を始めて以来、“なんでも初めて尽くし”だった佐藤さんが見聞きし、経験してきたことが生き生きと描かれています。

 前書きに「これからデュアルアイフをしたいと考えている人、またすでに実践している人にとって、少しくらいは有益な情報が含まれていたらいいなと願っているのです」とあるとおり、都会と田舎の二拠点生活(デュアルライフ)に興味があるすべての人に、ぜひオススメしたい一冊として、今回ピックアップして紹介させていただきました。


『山の家のスローバラード 東京⇄山中湖 行ったり来たりのデュアルライフ』佐藤誠二朗著(百年舎)山の家のスローバラード 東京⇄山中湖 行ったり来たりのデュアルライフ
著者:佐藤誠二朗
発行所:百年舎
2023年11月15日発売/2200円(本体2000円+税)

山の家のスローバラード 東京⇔山中湖行ったり来たりのデュアルライフ

山の家のスローバラード 東京⇔山中湖行ったり来たりのデュアルライフ

佐藤誠二朗
2,200円(11/22 05:06時点)
Amazonの情報を掲載しています

著者プロフィール
佐藤誠二朗(さとう・せいじろう)

編集者/ライター・コラムニスト
1969年生まれ。宝島社の男性ファッション誌『smart』元編集長。現在はフリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーを中心に幅広く編集・執筆活動を行う。著書に『ストリート・トラッド〜メンズファッションは温故知新』、『オフィシャル・サブカルオヤジ・ハンドブック』(ともに集英社)など。

この記事の画像一覧

  • デュアルライフを開始した当初から、佐藤さんが気になっていたまん丸な物体
  • デュアルライフを開始した当初から、佐藤さんが気になっていたまん丸な物体
  • 『山の家のスローバラード 東京⇄山中湖 行ったり来たりのデュアルライフ』(佐藤誠二朗著・百年舎刊)
  • 著者の佐藤誠二朗さん。山中湖村にて
  • 群生するヤドリギ
  • 湖畔の立木にもたくさんのヤドリギが
  • ヤドリギが密集する湖畔の通り
  • 雄大な山中湖と富士山の景色を前に
  • 佐藤さんが作ったヤドリギのスワッグ
  • 『山の家のスローバラード 東京⇄山中湖 行ったり来たりのデュアルライフ』佐藤誠二朗著(百年舎)

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田舎暮らしの本編集部

田舎暮らしの本編集部

日本で唯一の田舎暮らし月刊誌『田舎暮らしの本』。新鮮な情報と長年培ったノウハウ、田舎で暮らす楽しさ、心豊かなスローライフに必要な価値あるものを厳選し、多角的にお届けしています!

Twitter:@inakagurashiweb

Instagram:@inakagurashinohon

Website:https://inakagurashiweb.com/

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