田舎でのお悩みを、田舎暮らしのベテランライターが回答。今回は、電気の話。IHクッキングヒーターが使えなくて困った移住者さんへお答えします。
10年前からIHクッキングヒーターを愛用していましたが、購入した田舎の家では使えません。電気屋さんに相談したら、200ボルトの工事代として約10万円を請求されました。また、友人から三相の電気を使う業務用の冷蔵庫をもらい、その申し込みもしたのですが、使ってみると大きすぎて不経済。契約を解除したら、1万円もかかりました。
香川県在住 江川さん●33歳
単相200ボルトしか使えないIH調理器
料理の得意な江川さんは、都会で愛用していたIHクッキングヒーターが田舎で使えず、電気屋に相談したら工事費に10方円くらいかかると言われた。
ひとロに電気と言っても単相100ボルト、単相200ボルト、三相200ボルトの3種類がある。
一般家庭で見かけるのは単相100ボルトだが、近年は単相200ボルトの家庭も珍しくなくなった。前者しかないものを単相二線式、後者を単相三線式と言う。電柱から家屋への引き込み口が3本あるか、電力量計(メーター)に「単三」と明記されていれば単相三線式だ。
IHクッキングヒーターは電気熱源のコンロで、200ボルトの電源が必要。その回路がなければエ事をしなければならない。図の①各機器に配線する工事だけなら4万~5万円くらいですむが、それ以外の②~④の工事が絡んでくると6万~12万円くらいのコストがかかる。
オール電化は直火を使わないため、火事が心配な高齢者には人気が高い。電気代の高騰も心配ではあるが、新築では選択肢の1つ。ただ、中古住宅で導入するときは、工事費の負担も覚悟しておきたい。
三相の契約は慎重に判断すべし
電気にはもう1つ、三相200ボルトがある。大量の電気を流すことが可能だが、単相とは別に電力会社との契約が必要。江川さんは業務用の冷蔵庫が不経済だとわかり、解約を考えたが、契約は1年単位。あまり使わなくても、基本料金を精算しなければならない。
モノづくりなどの明確な目的があるなら話は別だが、大型の電気製品は粗大ゴミになりかねない。三相の契約は、慎重に判断すべきだ。
単相三線式の電気。田舎の既存住宅でも見かけるようになった。
この記事のタグ
この記事を書いた人
山本一典
田舎暮らしライター/1959年、北海道北見市生まれ。神奈川大学外国語学部卒業。編集プロダクション勤務を経て、85年からフリーライター。『毎日グラフ』『月刊ミリオン』で連載を執筆。87年の『田舎暮らしの本』創刊から取材スタッフとして活動。2001年に一家で福島県田村市都路町に移住。著書に『田舎不動産の見方・買い方』(宝島社)、『失敗しない田舎暮らし入門』『夫婦いっしょに田舎暮らしを実現する本』『お金がなくても田舎暮らしを成功させる100カ条』『福島で生きる!』(いずれも洋泉社)など。
Website:https://miyakozi81.blog.fc2.com/
田舎暮らしの記事をシェアする