本誌『田舎暮らしの本』のライター・和田義弥さんは、茨城県筑波山麓の農村に移住し、フリーライターのかたわらで米や野菜をつくる自給自足的暮らしを楽しんでいます。そんな和田義弥さんがオススメするのが、なんとミニマムな「1坪ミニ菜園」。その魅力をお聞きしました。
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長さ約2mの木材でつくった枠の内側にひもを張ってマスをつくり、1マス1品目を基本に栽培します。
畳2枚分の広さで年間32品目の野菜が育てられる!
「ミニ菜園」の魅力
○和田さんがミニ菜園をおすすめするのはなぜでしょうか?
私は、自給自足的な暮らしがしたくて、14年前に茨城県筑波山麓の農村に来ました。その日から、フリーライターという仕事のかたわらで米や野菜をつくり、ヤギやニワトリを飼って、できる範囲で自給自足的暮らしを楽しんでいます。それは生活のためというより遊びに近いものです。耕作している田畑はおよそ5反(約5000㎡)にもなります。
そんな私がなぜ今、1坪(約3.3㎡)というミニ菜園をすすめるのかというと、それは生産性と管理のしやすさを追求した結果です。やたらと広い畑を耕すより、ミニマムな菜園で、必要最低限の野菜をつくるほうがさまざまな面で効率的なことに気づいたからです。その最小限の広さが1坪なのです。
春のミニ菜園。コマツナやチンゲンサなどは、3月に種をまくと40日ほどで収穫できます。
○ミニ菜園のどんなところが効率的なのでしょうか?
第一に、土を耕す労力がいりません。多少でも農作業をしたことがある人ならわかると思いますが、土を耕すというのはものすごく大変です。趣味で家庭菜園をやるにしても、気持ちよく汗をかけるのはせいぜい10坪程度だと思います。それ以上は耕うん機を使わないととてもじゃないが続けられません。その点、ミニ菜園なら最初の土づくりを除けば、その後に鍬で土を耕すことはほとんどありません。耕うん機を買う必要もないのでコストも抑えられます。
第二に、除草がとにかく楽です。広い畑はたくさんの野菜をつくれますが、それ以上に草が生えることも忘れてはいけません。なにもしなければ夏の畑はあっという間に草に埋もれてしまいます。実際、私は5月から9月まで毎朝1時間ほど田畑の除草に汗を流しています。それくらいやらないと、畑の野菜や田んぼの稲は草に負けてしまうのです。しかし、ミニ菜園ならそんな苦労はしなくていい。草が生え始めたら草刈り鎌や熊手でちょいちょいと根を切ってやれば、それで終わりです。1週間に1〜2回、10分も除草すれば草のない美しい菜園を維持できます。除草の時間と労力を限りなく最小化できるのです。
ミニトマト、ナス、オクラ、モロヘイヤなどが育つ夏のミニ菜園。無農薬、無化学肥料にもこだわっています。
○ミニ菜園では土づくりも簡単とのことですが。
野菜の生育に適した土が簡単にできることも、ミニ菜園が効率的な理由のひとつです。野菜づくりで最も大切なのは土です。なぜなら野菜は土に根を張って養分や水分を吸収するから。もともと畑だった肥沃な土地なら問題ありませんが、家庭菜園の場合、庭先や造成地、長年放置されたような荒れ地を開墾するケースも多くあります。
かく言う私の畑も、その一部は田んぼを埋め立てた土地だったため水はけが悪く、小石交じりで、最初はとても野菜が育つような土ではありませんでした。それを長年かけて石を取り除き、堆肥を投入して土壌を少しずつ改善していったのです。野菜がよく育つようになるまで10年かかりました。そんな土づくりの問題も、ミニ菜園なら培養土や堆肥を入れてやればすぐに解決します。何年もかけて土づくりをする必要がないのです。
○1坪という小さな菜園では、栽培できる野菜も限られるのではないですか?
もちろん1坪で家族が食べる野菜をすべて自給するのは難しいです。しかし、初夏から晩秋の菜園シーズンはほぼ毎日、畑で収穫したなにかしらの野菜料理を楽しめるはずです。育てられる野菜の基本は年間32品目。それが約2m×2m、およそ畳2枚分の広さで実現できます。
最小限の広さと労力、時間、コストで、最大限の収穫を得る。それが一坪ミニ菜園のメソッドです。
たった1坪でも夏野菜の収穫のピークには、これくらいの収穫が期待できます。
支柱を立てて、つるを上に誘引すればスイカやカボチャも栽培できます。
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