【主にシニアを対象とした移住セミナーの開催数が多いランキング】
※算出方法:2023年度の主にシニアを対象とした移住セミナーを開催、または開催を予定している数(オンライン開催を含む)。
移住セミナーとは移住希望者が集まり、自治体の担当者から地域の説明を受けたり、先輩移住者の声を聞いたり、個別の移住相談にも対応してくれるもの。コロナ禍以降はオンラインセミナーも各地で開催されるようになりました。上の表はオンラインおよび開催予定を含む移住セミナーの回数をランキングしたもの。東北から四国・九州まで盛んに行われているのがわかります。
第2位:長野県箕輪町(みのわまち)
シニア向け移住セミナーの開催が15回で第2位になった長野県箕輪町は、昨年度のアンケートでは14回で第1位だったまちです。オンラインを含めてセミナーは毎月開催しており、20代~70代が参加。シニアも参加可能なセミナーも企画しています。空き家購入後の改修や片付けに関する補助制度には年齢制限がなく、近年は幅広い年代層が移住しています。この町に移住したシニアは畑で野菜やリンゴづくりを楽しんだり、地区のお祭りやサークル活動にも参加しているそうです。
町では中高年向けの「健康づくり日本一の町」を目指した「みのわ健康アカデミー」という取り組みを行っていて、栄養士や健康運動指導士などのスタッフの指導を受けながら、トレーニングや健康について学んでいます。この十数年の平均値では、卒業生は腹囲マイナス3.5㎝、体重もマイナス3kgの減量に成功。セミナーに参加して、町の取り組みを知るキッカケにするといいでしょう。
年齢制限を設けずに開催している長野県箕輪町の移住セミナーには
【主にシニアを対象とした現地体験ツアーの開催数が多いランキング】
※算出方法:2023年度の主にシニアを対象とした現地体験ツアーを開催、または開催を予定している数。
現地体験ツアーとは自治体が日程を設定し、その市町村の暮らしを実際に体験してもらうもの。コロナ禍ではオンラインでプログラムを組むところもありましたが、移住前には現地まで足を運んでもらうのが基本です。それによって地域のよさをじかに知り、病院やスーパーなどの生活環境も知ることができるからです。野菜の収穫や蕎麦打ちといった体験メニューや先輩移住者との交流、物件見学などがツアーに含まれていることも。また、交通費や宿泊費を補助する自治体もあります。上の表は主にシニアを対象とした現地体験ツアーの開催数をランキングしたものですが、年に10回以上も手がけているところは少数。応募に年齢制限を設けていないところは基本的にシニアもウェルカムなので、そのサインを見逃さないようにしましょう。
第1位:長野県飯田市(いいだし)
南アルプスの美しい眺めがあり、雪が少なくて暮らしやすい長野県飯田市が27回とダントツで第1位でした。飯田市は移住セミナーの開催数でも第4位と、移住希望者への情報発信に力を入れているのがよくわかります。市では、こうした催しには参加年齢を限定していないため、平日の昼間はシニアの参加者のほうが多いそうです。シニア向けの求人も多く、移住者を対象とした支援や移住体験の補助なども年齢に関係なく受けられます。
飯田市では農家の手伝いをするワーキングホリデーが盛んで、それをキッカケに移住して農的暮らしを始めた人が少なくありません。また、自然エネルギーや森林資源の活用を普及しているNPO法人の仲間入りをしたり、山岳会に入ったり、野菜づくりを教えてくれる農家との付き合いを楽しんでいるシニア移住者も多いところです。女性同士の交流も盛んで、ご近所でお茶会を開いて会話を楽しんでいるそうです。
長野県飯田市に、プルーン農家として新規就農した移住者さん。
人口減少対策から若い世代や子育て世代の移住促進を重視している自治体が多いことは事実ですが、地域社会に貢献しているシニアもたくさんいます。移住の動機や目的を移住相談の担当者に素直に伝えれば、ここで紹介した以外のシニア歓迎の自治体とも巡り会えるはずです。
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この記事を書いた人
山本一典
田舎暮らしライター/1959年、北海道北見市生まれ。神奈川大学外国語学部卒業。編集プロダクション勤務を経て、85年からフリーライター。『毎日グラフ』『月刊ミリオン』で連載を執筆。87年の『田舎暮らしの本』創刊から取材スタッフとして活動。2001年に一家で福島県田村市都路町に移住。著書に『田舎不動産の見方・買い方』(宝島社)、『失敗しない田舎暮らし入門』『夫婦いっしょに田舎暮らしを実現する本』『お金がなくても田舎暮らしを成功させる100カ条』『福島で生きる!』(いずれも洋泉社)など。
Website:https://miyakozi81.blog.fc2.com/
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