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田舎暮らしの本 5月号

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田舎暮らしの本 5月号

3月3日(月)
890円(税込)

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異常気象―そしてパリ五輪/自給自足を夢見て脱サラ農家37年(56)【千葉県八街市】

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 8月15日。「異常気象という言葉を特に意識した今日という日」。

 昨日から台風対策に奔走している。接近している台風7号は、瞬間最大風速60メートル、雨量は300ミリを超えるという。突然に降ってわいたようなこの情報に我が心は穏やかではない。5年前、風速59メートルという、ふるさと祝島では台風には慣れっこだった僕が初めて体験する無茶苦茶な風に襲われた。鶏舎が倒壊し、プラムや杉の大木が何本も倒れた。大量の雨漏りで天袋が破れ落ちた。だからやれることを全てやっておかねば。

 「降ってわいたような」という言葉を使うのは、熱帯低気圧が発生して、あっという間に台風となり、あっという間に史上最強とも言われる強さになったからだ。北上している台風は水温30度の海域を通過する。そこで一気にエネルギーをためこむ。水温30度がすでに異常気象でもたらされたものであるが、5号から8号まで4つの連続発生も非常に短期間、異常だった。

 午前中は草取りと堆肥運びに励んだ。明日から2日間、数百ミリの降雨が見込まれている。秋から冬の作物のために鶏糞堆肥を畑に入れなければならないが、雨に当たり続けると重くなる。軽いうちに運んでおこう。灼熱と言ってよい日差しの中で奮闘したのだ。そして腹ばいになって草を取った。背中にのしかかる光は残酷でさえある。そこで思った。こんな光を野菜たちは1日中、しかもすでに半月以上受け続けている。雨は全く降らない。その苦しみを想い、かつ逞しさに感動もした。

気候がおかしいと言いますが、自然を自然のまま受け入れる感覚を失っていることの方が、まずいんじゃないでしょうか。 辰巳琢郎

 ああ、こういう考えもあるのだな・・・数日前の「折々のことば」を読んで僕は思ったのだった。解説の鷲田清一氏はこのように書いていた。

俳優は、生物学者・中村桂子との対談「人は自然の中にある(「明日の友」夏号)の中で、人間が自分の思いとは違う自然の変化を危機のように語るのはまるで「既得権の主張」みたいだと言う。これに中村は、生きものはつねに「穏やかではない環境」の中にあって、ときに絶滅もしてきたと返す。気になるのはその変化の急激さだと。

 中村桂子先生は現在、家庭菜園を含む田舎暮らし的な生活をされていると何かで読んだ記憶がある。もう40数年ほど前、三菱化成生命研究所に在籍されていた頃、何度か原稿の依頼をした。「生きものはつねに穏やかではない環境の中にあって、ときに絶滅もしてきた・・・」は、自然科学者ならではの平常・冷静な見解であろう。そして「気になるのはその変化の急激さ」、これこそがいま我々が直面している大きな問題だと僕も思う。辰巳琢郎氏の「自然を自然のまま受け入れる感覚」については、僕は、都市生活者、頑丈な近代建築で暮らす人よりずっと多く持っていると思う。ただ、自然からの攻撃の頻度がだんだんに高く、攻撃のレベルも強くなっている、その点において困惑し、苦労を強いられるのだ。この上の写真は土嚢を運び上げ、縦横に渡してあるロープに針金で縛り付けているところだ。屋根から降りたらソーラーパネルも点検する。以前、縛りが弱くて、風にあおられたパネルが何回転もし、表面のガラスにヒビが入ったことがあるのだ。

この記事を書いた人

中村顕治

中村顕治

【なかむら・けんじ】1947年山口県祝島(いわいじま、上関町・かみのせきちょう)生まれ。医学雑誌編集者として出版社に勤務しながら、31歳で茨城県取手市(とりでし)に築50年の農家跡を購入して最初の田舎暮らしを始める。その7年後(1984年)の38歳のとき、現在地(千葉県八街市・やちまたし)に50a(50アール、5000㎡)の土地と新築同様の家屋を入手して移住。往復4時間という長距離通勤を1年半続けたのちに会社を退職して農家になる。現在は有機無農薬で栽培した野菜の宅配が主で、放し飼いしている鶏の卵も扱う。太陽光発電で電力の自給にも取り組む。

Website:https://ameblo.jp/inakagurasi31nen/

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