掲載:2024年9月号
シュンギク
葉菜類との混植にぴったり
虫を避けるキク科の野菜
キク科のシュンギクは虫を避けてくれるので無農薬で育てやすく、虫のつきやすいアブラナ科の野菜との混植にも欠かせません。自然菜園で育てると、えぐ味の少ないさわやかな風味を楽しめます。
虫を避けてコンパニオンプランツにも向くシュンギク。自然菜園では葉色が淡い緑に育ち、生でもおいしいさわやかな味わいに。
自然菜園でプチ自給のための
シュンギク 3つのポイント
①5mm間隔に密蒔きして鎮圧
シュンギクは発芽しにくいうえ、市販の種の発芽率が50%と低いため、種を多めに蒔くのが1つめのポイントです。種と種の間隔は5mmの密蒔きにします。発芽に光が必要な好光性種子で、覆土は浅く1cmほど。覆土後にしっかりと鎮圧して発芽を促します。
暑さが残る時期の種蒔きは発芽が難しいため、覆土にバーミキュライトを用いたうえ、しっかり鎮圧した後、たっぷり水やりします。バーミキュライトは光を乱反射させ地温を下げ、水やりは発芽抑制物質を洗い流すので、発芽がうまくいきます。
②葉が触れ合ったら間引き収穫
発芽後は混み合いやすく、葉が触れ合ったらその都度間引き収穫し、残した株を大きくします。間引き菜はやわらかく、サラダでおいしく食べられます。
背丈が15cm以下では霜で枯れますが、15cm以上に育てば寒さに強くなり越冬できます。
③品種で異なる収穫の仕方
シュンギクの品種は関東タイプ(摘みとり種)と関西タイプ(株張り種)に大別できます。関東タイプは背丈20cmほどに育ったら下葉を4~5枚残して摘芯収穫し、その後に出てくる側枝も収穫できます。関西タイプは側枝が少なく株ごと収穫です。
どちらのタイプも本葉3~5枚までに移植すると、毛根が増えて移植先で大株化します。
畑の準備
夏野菜が育った畝は準備なしで
○水はけよく適度に肥沃な畑を好む。条件が悪いと生育を止める。○養分過多で味を落とすので、窒素分は最小限で。夏野菜がよく育った畑なら準備なしでそのまま種蒔きする。○初めて野菜を育てる畝では定植1カ月前に、1㎡当たり●完熟堆肥1~2L●もみ殻燻炭1L●有機石灰(貝化石)100gを施して表面の土と混ぜておく。
畝を立てたら完熟堆肥、もみ殻燻炭、有機石灰を全面に撒き、レーキを使って表面の土と混ぜておく。深く耕す必要はない。
種蒔き
5mm間隔&残暑の時期には
バーミキュライトを覆土して水やり
市販の種は発芽率が低いため5mm間隔の密蒔きにすると、ほどよく発芽します。暑さが残る秋蒔きの時期には、バーミキュライトで覆土したうえ水やりをすると、発芽促進の効果は抜群です。
定植の手順
①鍬で表土を1cmほどさらって畝の上に浅く蒔き溝をつける。
②溝の底をしっかりと鎮圧する。床が平らに整って発芽が揃う。
③種の間隔が5mmほどになるように、蒔き溝全体に種をばら蒔く。
④覆土は種の2倍の厚さに。好光性種子のため厚くし過ぎない。秋蒔きはバーミキュライトを用いるとよい。
⑤覆土後はしっかりと鎮圧して発芽を促すとともに土が水で流れるのを防ぐ。
⑥覆土後にたっぷりと水やり。発芽抑制物質が水で流されてよく発芽する。
お世話
葉が触れ合ったら間引き収穫
本葉2~3枚に育つと葉が触れ合ってきます。このタイミングで間引き収穫を始めましょう。間引くことで残った株がさらに育ちます。その後、順次間引いて本葉4~5枚で最終株間に。関東タイプは15~20cm間隔、関西タイプは10cm間隔にしてください。
葉が触れ合いはじめたら間引きをスタート。はさみを使って切り取る。
水を入れたボウルを用意して、切った間引き菜を浸してから持ち帰ると、さらにおいしく食べられる。
生長に合わせて繰り返し間引き収穫する。
庭先のキッチンガーデンなら、日々食べる分だけ間引いて穫れたてのおいしさを味わえる。
1週間雨がなければCaストチュウ水
生育、収穫期間中に1週間雨がなければ、Caストチュウ水で水やりします。夕方に葉の上からたっぷりかけてください。
Caストチュウ水は酢100mLに卵1個分の殻を1日浸し、カルシウム成分を溶解させ、茶漉しで漉してCa酢原液をつくり置く。水やりの際は7Lのストチュウ水にペットボトルキャップ1杯のCa酢原液を加えてCaストチュウ水とする。
※ 雨水に似た野菜の栄養ドリンク。酢・木酢液・焼酎を1:1:1で混ぜたストチュウ原液をペットボトルにつくり置き、300倍以上に薄めて使う。7Lのジョウロの水には、ペットボトルキャップ(約7mL )3杯の原液を混ぜる。
収穫
関東タイプは下葉を4~5枚残して茎を切る
草丈が15~20cmに育ったら、関東タイプ(摘みとり種)は下葉を4~5枚残し、茎を切って収穫します。その後に伸びる側枝は葉を2枚残して切り取ると、さらに側枝が出てきて、繰り返し収穫できます。
草丈が15~20cmで収穫期。ここまで育てば寒さにも強くなり冬越しもできる。
関東タイプは、その後に側枝が伸びるよう、下葉を残して切り取る。
最低気温5℃以下で不織布をベタ掛け
最低気温5℃以下になったら不織布をベタ掛けすると生育期間が延ばせるとともに、寒さによる葉の傷みを軽くできます。
風で飛ばされないよう、ピンを刺して固定する。
監修/竹内孝功
たけうち・あつのり●1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『自然菜園で育てる健康野菜 ゼロから始める無農薬栽培』『完全版 自給自足の自然菜園12カ月 野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』、新装版『無農薬「自然菜園」で育てる人気野菜』(すべて宝島社)ほか多数。
WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/
文・写真/新田穂高 イラスト/関上絵美・晴香
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