田舎暮らしの本 Web

  • 田舎暮らしの本 公式Facebookはこちら
  • 田舎暮らしの本 メールマガジン 登録はこちらから
  • 田舎暮らしの本 公式Instagramはこちら
  • 田舎暮らしの本 公式X(Twitter)はこちら

田舎暮らしの本 8月号

最新号のご案内

田舎暮らしの本 8月号

7月3日(木)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

次長課長・河本準一とタッグを組み、命をかけて岡山の未来を変える! 米井ファーム代表が挑戦する新しい農業のカタチ

執筆者:

「世の中の仕組み」を変えていきたい

―― 米井ファームが位置する津山には、どんな特徴があるんですか?

「気候的にいえば、津山は盆地なんで、寒暖差が結構あるんです。県南の方は平地で作業もしやすいんだけど、寒暖差があまりないからお米に味が乗ってこない。南は夜も気温がずっと高いんですよね。そうすると、稲が寝られなくて体力消耗しちゃう。本来は、昼間生成した糖分を夜に溜め込むんですけど、気温が高いと、夜も呼吸で糖分をたくさん使っちゃうんですよ」

 

―― なるほど。だから甘みが減っちゃうんですね。

「そうなんです。だから県南よりは県北の方が味が乗りやすい。それはもう、何の作物にしてもそうです。あとは、ホントか嘘かわからないんですけど、米井ファームのある高倉という地域は、昔、海の底だったらしいんですよ。だから、海由来のミネラルをたっぷり含んだ土質が、植物にはいいように作用するらしい、というのもあります」

 

―― 米井ファームは今年で4年目だそうですが、実際に農業をやってみていかがですか?

「やっぱり大変は大変ですね。大変っていうのは、もちろん体力的に大変っていうのもあるんですけど、世の中の仕組みが出来上がっちゃってることが大変というか。僕はそこを変えようと思ってるんですよね。『農業は儲からん』っていわれていて、だからやる人が少なくなってるんですけど、それはもう仕組みが出来上がっちゃってるからなんですよ。

 農家が生産して、それを農協(農業協同組合)に出荷して、その後全農(全国農業協同組合連合会)にいって、米屋さんにいって、小売業にいって……という流通のルートも大きく決まってたり、価格の決定についても、お米でいうと、もうお米ってほぼ金融商品なわけですよ。先物取引もなされちゃうような。だから、たとえば米どころである秋田県のお米の価格がこれだよってなったら、うちの米(の品質)とか関係なしに値段が決まっちゃうという相場感があるんですね」

 

―― 品質で絶対評価みたいなものがあるわけではないんですか?

「もちろん、ある程度はあります。1等米、2等米、3等米と、品質によって価格差をつけて流通させるというのはあるけど、岡山県の1等米と秋田県の1等米が大きくは変わったりしないんですよ。で、多少なりとも儲けるために、やれ差別化だ、ブランド化だみたいな話があるんだけど、僕は『それって意味あるんかな?』みたいに思っていて。

 本当に大事なのは、年によって、10俵獲れる年もあれば7俵しか穫れない年もあるじゃないですか。当然、同じだけのコストをかけてるんだけど収穫量に差が出てしまう。それって結局天候が理由なんですよね。そういう、農家の努力ではどうにもならないような要因で収穫量が変わってしまうことがあるから、そこは生産者と消費者がうまく折り合いをつけて、収穫量が少ないときはちょっと高くても買ってもらうとか、そういうことをやっていかないと続かないんですよ」

 

―― 同じコストがかかってるのに、収穫量が少ないときも同じ価格じゃ困りますよね。

「だけど、今までの商業的な慣習からいくと、生産者、卸業者、小売業者と業態がそれぞれ分かれていて、その企業間の取引に尽きるわけですよ。もちろん、最初に“お米60キロで1万5000円ね”って価格を決めることはできるんですけど、それはあくまでビジネス的な感じじゃないですか。心の通い合う取り組みではなくて、取引に過ぎないというか。けど、それじゃあ良くなっていかないよね、って僕は思っていて。

 サプライチェーン全体では、生産がミスしたり、加工がミスしたり、人間だから失敗することって誰しもあるじゃないですか。そういうのはみんなでフォローしあって、カバーし合ってやっていく。で、うまくいったときは、みんなでその喜びを享受し合う……みたいな仕組みにならないと。誰かが失敗したときに『おまえが失敗したんだから、自分でケツふけよ』みたいなことじゃ、良くなっていかないよねって思っていて。だから、僕はこれから仕組みをいろいろ変えていきたいと思ってるんですよね」

米井ファームで育った稲

この記事の画像一覧

  • 米井ファーム株式会社代表取締役の米井崇恭さん
  • 次長課長の河本さんとともに米井ファームで稲作に励む
  • 米井ファーム株式会社代表取締役の米井崇恭さん
  • 米井ファームのたんぼ
  • 米井ファームで育った稲

この記事の画像一覧を見る(5枚)

123

この記事のタグ

この記事を書いた人

田舎暮らしの本編集部

田舎暮らしの本編集部

日本で唯一の田舎暮らし月刊誌『田舎暮らしの本』。新鮮な情報と長年培ったノウハウ、田舎で暮らす楽しさ、心豊かなスローライフに必要な価値あるものを厳選し、多角的にお届けしています!

Twitter:@inakagurashiweb

Instagram:@inakagurashinohon

Website:https://inakagurashiweb.com/

田舎暮らしの記事をシェアする

田舎暮らしの関連記事

マルシェやワークショップ、先輩移住者とのおしゃべり会 「ヒトとつながるミニフェアin東京」【岡山県】

造り酒屋の木材を移築した趣ある古民家。部屋数が多く、菜園付き。海も近い【岡山県備前市】瀬戸内海と歴史ある街並みが魅力のまちで暮らす

家のすぐ近くに畑があり、魚市場も車で約10分! 収穫したての野菜と新鮮な瀬戸内の魚が楽しめる古民家が198万円【岡山県備前市】

眺望のよい高台に立つ2階建て。田畑や山林付き【岡山県津山市】自然、歴史文化、便利さが融合した「ちょうどええ」城下町

Iターン転職をバックアップしてくれる注目自治体5選【自治体の就職支援④】

おいしい郷土料理がある【岡山県津山市】でちょうどええ田舎暮らし|280万円!6DK平屋住宅|駅徒歩4分&移住支援も充実

《一人暮らし・老後も安心》《シニア専用ハウスあり》海山一望の大規模ニュータウン「伊豆下田オーシャンビュー蓮台寺高原」【静岡県下田市】

《一人暮らし・老後も安心》《シニア専用ハウスあり》海山一望の大規模ニュータウン「伊豆下田オーシャンビュー蓮台寺高原」【静岡県下田市】

【人口20万人以上のまち・秋田市】3年連続 住みたい田舎ベストランキング『若者世代・単身者部門』で1位|クリエイティブな取り組みで夢に挑戦したい若者を応援!