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田舎暮らしの本 12月号

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田舎暮らしの本 12月号

11月1日(金)
890円(税込)

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薪ストーブで後悔しないために!薪の量等知っておきたいQ&A5選【はじめる!薪ストーブ生活③】

 

田舎での冬の生活を暖かく彩ってくれる薪ストーブ。最近は古民家や中古住宅に導入する人も増加中。そこで田舎に移住して憧れの薪ストーブ生活をスムーズに始めるために、設置や選び方のポイントなどを、薪ストーブ専門店・神鍋マキストーブ代表の田沼さんに伺いました(全3回)。3回目の本記事では、実際に薪ストーブを導入する場合予算はどれくらい必要か、ワンシーズンで使う薪の量、何を準備したらいいのかなど、代表的な疑問の一例をピックアップ。

※1回目→薪ストーブで後悔しないために!プロが選んだおすすめ機種4選【はじめる!薪ストーブ生活①】

※2回目→薪ストーブで後悔しないために!設置の際に注意すべきポイント【はじめる!薪ストーブ生活②】

掲載:2024年11月号

Q.薪ストーブの導入費用の総額は?

A.スタンダードな機種で特殊な工事がなければトータル100万円~で一式揃えられる

薪ストーブで後悔しないためには、しっかりとした炉台も必要。DIYでの成功の一例。

炉台や炉壁は予算と好みに合わせて素材をチョイス。DIYでもできる。

 

薪ストーブ本体は専門店で扱うものなら20万円くらいからあるが、神鍋マキストーブで販売しているものは30万~50万円が主流。ウクライナでの戦争や円安の影響で、特に昨年からヨーロッパ各社の値上げが続いており、国産品の価格も上昇している。この傾向はしばらく続きそうだ。煙突はシングルだと予算を抑えられるものの、総合的に考えると断熱二重煙突を選ぶのが賢明で50万円~。設置工事費については、住まいの構造や周辺環境によって大きく左右され、標準的な例で20万円~。そのほか炉台・炉壁、必要に応じて各種アクセサリーなど。

薪ストーブ設置にかかる費用の一例

薪ストーブ 30万円~
煙突  50万円~
設置工事費 20万円~
炉台・炉壁 8万円~
総額(標準的な機種・工事の場合) 約100万~120万円

 

薪ストーブで後悔しないために煙突は断熱二重タイプを。

煙突は断熱二重のタイプが望ましい。DIYでの設置によるトラブルも多いので、専門業者に設置してもらおう。

 

Q.薪ストーブの薪は一冬でどのくらい必要?コストの目安は?

A.断熱性能などの条件により年1~3tを消費、乾燥済みの薪は15~25kgで1650円~

薪ストーブの薪の量は一冬で1~3t

薪は大きめのほうが燃焼時の火持ちはいいが、乾燥に時間を要するというマイナスもある。

断熱性に優れた住まいであれば、ワンシーズンの薪の使用量が1tに満たない例もある一方、暖房空間の大きさや断熱性能次第で3tほどを消費することも。薪を準備する労力やコストを考えると、やはり断熱性を高めておくことが大切だろう。

薪代は調達法により異なる。神鍋マキストーブでは、しっかり乾燥させた兵庫県産広葉樹の薪が15~25kg入りのコンテナで1650円+運賃、約350kg入りのメッシュパレットで2万2000円+運賃。里山から直送の原木も2t当たり1万5000円+運賃で販売しているが、玉切り、薪割りなどは自分で行う必要がある。

薪ストーブの薪の量は一冬1~3t

白炭製造が本業の神鍋マキストーブでは、手ごろな価格で乾燥させた薪も販売。

Q.薪ストーブの薪を自分で調達する際の注意点は?

A.広葉樹と針葉樹の特性を理解したうえで1~2年乾燥させてから使う

まずは樹種による違いを把握しておくこと。例えばナラ、クヌギ、カシ、コナラなどの広葉樹は、密度が高く、一度着火すると火持ちがいい。スギ、マツ、ヒノキといった針葉樹は、密度が低いので軽くて扱いやすく、樹脂を多く含むので燃えやすい。ただし急激に高温になり、非対応の薪ストーブでは本体のクラックの原因に。

一般的に薪は広葉樹がいいといわれるが、しっかり乾燥させて火力調整を行えば針葉樹でも問題はない。

乾燥期間は樹種や薪のサイズによって1~2年で、含水率15%程度が理想。乾燥度を判断できない場合、市販の含水率計を使おう。

 

薪ストーブに一冬必要な薪の量を確保するには相当の労力が必要

原木伐採から玉切り、薪割りまで自分でやるには相当の労力とひと通りの道具が必要。

Q.薪ストーブの設置に自治体の補助金が使えるってホント?

A.購入・設置費用を補助する自治体が増加傾向、断熱性を高めるエコリフォーム補助金も

現在、森林環境税として国民1人当たり年1000円を納付。これが各自治体に分配され、一部が薪ストーブやペレットストーブ設置の補助金などとして活用されている。その数は近年増加傾向で、補助額は経費の2分の1や3分の2で最大5万~50万円。いずれも申請期間や予算の上限額があり、新品であること、地元業者からの購入・設置、二重断熱煙突の採用といった要件がある。また、最近は多くの自治体で住まいのエコリフォームへの補助金を設けているので、断熱性の向上に活用しよう。

自治体による補助金の一例※2024年9月現在の情報です

兵庫県豊岡市 薪ストーブ、薪ボイラー、ペレットストーブ、ペレットボイラーの設置が対象。購入費および設置工事費の2分の1以内、最大20万円を補助。
兵庫県朝来市 薪ストーブや薪ボイラーの設置が対象。購入費および設置工事費の2分の1以内、最大50万円を補助。
長野県伊那市 薪ストーブ、薪ボイラー、ペレットストーブ、ペレットボイラーの設置が対象。薪ストーブの場合、対象経費の3分の2以内、最大30万円を補助。
長野県塩尻市 木質バイオマス利用設備設置費等補助金として、薪ストーブの場合は購入費および設置工事費の2分の1以内、最大30万円を補助。

後悔しない薪ストーブについて教えてくれた神鍋マキストーブ代表田沼光二さん

神鍋薪ストーブ 代表 田沼光詞さん

備長炭系の炭づくりを行う白炭工房の三代目。山の木の伐採から手がける炭屋として薪づくりにもこだわり、薪ストーブを気軽に使ってもらえるよう薪も手ごろな価格で提供している。神鍋白炭工房株式会社では薪ストーブ専門店「神鍋マキストーブ」を立ち上げ、約10年前から京阪神や鳥取県・岡山県を中心に国内外の製品を販売・設置。

https://kannabe-makistove.com

文・写真/笹木博幸 写真提供/神鍋マキストーブ

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