掲載:2024年12月号
ミズナ
寒さ暑さに強く
ずらし蒔きで一年中楽しめる
ミズナはもともと京野菜から全国区になった葉菜。間引き菜をサラダに、大株は鍋物や漬物にと幅広く活躍します。アブラナ科の葉菜類のなかでも特に暑さ寒さに強く、春から秋までいつでも種蒔きできます。生育も早く育てやすいので、シーズン中に何度か種蒔きして、長く収穫を楽しみましょう。
小株で収穫する早生種は育てやすく、ずらし蒔きして周年収穫できる。
自然菜園でプチ自給のための
ミズナ 3つのポイント
①品種を選んで年中ずらし蒔き
発芽温度の幅が広いミズナは、暑さ寒さに強くほぼ一年中種蒔きできます。比較的やせた畑でも育ち、発芽も早く短期間で大きくなるので、アブラナ科のなかでも育てやすい野菜です。
サラダとして食べる早生種から、大株に育ち漬物に好まれる晩生種まで多くの品種があります。早生種は夏なら種蒔き後30日ほどで収穫でき、それ以上は大きくなりません。生育が早く育てやすい早生種は、春夏秋と繰り返し種蒔きして年中収穫もできます。
②水やりと間引きで育てる
ミズナは水かけ菜と呼ばれたほどで、生育初期に水分を求めます。降雨がなければ週に一度、ストチュウ水※をたっぷり水やりして生育を促しましょう。ただし水やりは草丈15cmまで。それ以降の過剰な水やりは根腐れの原因になるため避けます。
発芽後、葉が触れ合い始めたら間引き収穫し、スペースを広げて生育を促します。最終株間は早生種で5~ 10cm、中生種で15cm、晩生種で20~30cmほど。生育が早いので、こまめに間引いて収穫を楽しみます。
※ 雨水に似た野菜の栄養ドリンク。酢・木酢液・焼酎を1:1:1で混ぜたストチュウ原液をペットボトルにつくり置き、300倍以上に薄めて使う。7Lのジョウロの水には、ペットボトルキャップ(約7mL )3杯の原液を混ぜる。
③不織布のベタ掛けで霜対策
寒さには強いですが、真冬には不織布をベタ掛けして霜を防ぐと傷みの少ないきれいな葉を収穫できます。秋遅くの種蒔きの後、寒さが早く訪れて生育が止まりそうなときは、不織布をかけて保温し、生育を促しましょう。
畑の準備
比較的畑を選ばずに育つ
○水はけよく保水性のある土が最適。○乾燥しやすい土の場合は水やりを。○夏野菜がよく育った畑は準備なしで種蒔きする。○初めて野菜を育てる畝では1㎡当たり●完熟堆肥1~2L●もみ殻燻炭1L●バットグアノ50gを施して表面の土と混ぜて準備する。
畝を立てたら完熟堆肥、もみ殻燻炭、バットグアノを全面に撒き、レーキを使って表面の土と混ぜておく。深く耕す必要はない。
種蒔き
種は2cm間隔で蒔き、覆土後しっかり鎮圧
春から秋まで種蒔きできます。春蒔きは、とう立ちしにくい早生種を選び、夏はあらかじめ畝の上にしっかり草マルチして地温を下げておきましょう。
種蒔きは鍬幅につけた蒔き床に2cm間隔になるようにばら蒔きます。種の厚みの2~3倍、1cmほど覆土し、発芽を促すため充分に鎮圧してください。
暖かい時期には種蒔き後3~4日で発芽します。
種蒔きの手順
①幅1mの畝の上に鍬で表土を1cmほどさらって浅く蒔き溝をつける。
②溝の底をしっかりと鎮圧する。床が平らに整って発芽が揃う。
③種の間隔が2cmほどになるように、蒔き、溝全体に種をばら蒔く。
④ 覆土は種の2~3倍、1cmほどの厚さに。覆土には草の種の多い表層の土を避ける。家庭菜園では市販の培養土を使ってもよい。
⑤覆土後はしっかりと鎮圧して発芽を促す。
⑥コオロギなどの虫が多い夏から秋蒔きでは、草マルチは条の左右いっぱいまで。条の中まで草マルチすると食害が増える場合がある。
お世話
生育初期はしっかり水やり
種蒔き後から草丈15cmになるまでは乾燥させてしまうとうまく育ちません。降雨がなく土が乾いたらストチュウ水で水やりしてください。
葉の上からたっぷりストチュウ水をかけると生育が促され、虫害予防にも役立つ。
葉が触れ合ったら間引き収穫
本葉2~3枚に育って葉が触れ合い始めたら間引き収穫します。密植のままでは株が大きく育ちません。早生種は大きいものから収穫を兼ねて1~2回間引き、株間5~10cmに。晩生種はハクサイなどと同様に株間20~30cm、大きいものを残して育てます。
密植した株をハサミを使って切り取る。
水を入れたボウルを用意し、間引きと同時に浸してからキッチンペーパーなどで包んで持ち帰るとおいしく食べられる。
収穫
早めの収穫で
やわらかいミズナを楽しむ
ミズナは生育が早く、早生種の夏穫りで30日、晩秋穫りの晩生種はハクサイのように大株になりますが80日ほどで収穫できます。穫らずに置いておくとかたくなりやすく、とう立ちするので、特に早生種は間引きながら早め早めに収穫してください。
株が育ったらハサミや鎌で株ごと切り取る。
冬のミズナは鍋にぴったり。仕上げにさっと加えるだけで肉の臭みが消えて、おいしいハリハリ鍋ができあがる。
生育を止める真冬は不織布をベタ掛けしておくと、葉の傷みも少なく、畑に置いて長期間収穫できる。
春先にとう立ちしたつぼみや花は、摘み取ってピリッと辛味のある菜花としてサラダやおひたしに。
監修/竹内孝功
たけうち・あつのり●1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『自然菜園で育てる健康野菜 ゼロから始める無農薬栽培』『完全版 自給自足の自然菜園12カ月 野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』、新装版『無農薬「自然菜園」で育てる人気野菜』(すべて宝島社)ほか多数。
WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/
文・写真/新田穂高 イラスト/関上絵美・晴香
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