掲載:2024年3月号
酷暑の夏によく育つ
若穫りをゆでてもおいしい
ラッカセイの原産地は南米のアンデス山麓の熱帯地域。同じくアンデス生まれのトマトよりも暖かい地域です。酷暑の夏にもよく育ちます。日本には江戸時代に中国から伝わって南京豆と呼ばれ、明治になって本格的に導入されました。沖縄ではジーマーミとして琉球王国時代から親しまれています。品種は早生から晩生まで各種あり、草姿は上を向く立性や横に伸びるほ伏性、両種を掛け合わせた半立ち種としては「千葉半立」が有名です。
1 土づくり
初めての菜園では畝を準備
水はけのよい畑でよく育つ
連作を好まないため3〜4年栽培していない場所を選ぶか、相性のよい野菜と混植します。火山灰土や砂質土など軽い土が適し、粘土質の畑には向きません。肥え過ぎた畝では葉ばかり茂って実が付きにくくなるため、堆肥などは用いずに準備してください。
2 種蒔きと育苗
ポットに種蒔き・育苗して
鳥やネズミの食害を避ける
ラッカセイは畑に直蒔きすると鳥やネズミの食害を受けることがあります。これを避けるにはポットに種蒔きして育苗しましょう。また、育苗は直蒔きよりも1カ月ほど早く種蒔きできるため、寒冷地では特に有利です。発芽温度が高いので暖かい場所で発芽させるか、ポットを包んだ新聞紙の上から、さらに黒いビニールで包んで保温してください。種蒔きから発芽までは7~10日ほど。水やりのし過ぎや、15℃以下の低温では、種が傷んで発芽しない原因になります。
2. 5~3号ポット(直径7. 5~9cm)に育苗土※1をしっかりと詰める
※1…市販の培養土でよいが、培養土・畑の土・もみ殻燻炭を8:1:1の比率で混ぜると、がっちりした根の苗になる。ポットに詰める前に水を加えてよく混ぜておく。水分量は50~60%で、土を握ると固まり、突くと崩れるほどが目安。
1ポットに2粒ずつ、種のとがったほうを下向きに土に押し込む
種が隠れるほどに浅く覆土して鎮圧。さらに、もみ殻燻炭をかけると地温が上がってよく育つ
たっぷりと水やり
新聞紙で包み、さらに水やりして新聞紙を濡らす。その後、5日後の朝に新聞紙を外すまで水やりはしない
3 定植
地温15℃を上回り
小麦の開花を目安に
最低気温18℃以上、地温15℃以上になり、遅霜の心配がなくなったら苗を畑に定植します。小麦の開花が目安です。
遅霜の季節を過ぎ、苗が本葉3~4枚に育ったら、間引きせずに2本のまま定植。前日にストチュウ水※2でたっぷり水やりしておく
※2…雨水に似た野菜の栄養ドリンク。酢・木酢液・焼酎を1:1:1で混ぜたストチュウ原液をペットボトルにつくり置き、300倍以上に薄めて使う。7Lのジョウロの水には、ペットボトルキャップ(約7mL )3杯の原液を混ぜる。
植え穴は深く掘り過ぎず、根鉢の上面と地面が同じ高さになるように
苗を置いたら植え穴と根鉢の隙間に土を戻し、鎮圧して周囲の土と根鉢を密着させる。根鉢の上に出た種は土をかぶせて隠す
地温が上がるよう株の周囲を空けて草マルチ
4 お世話
①耕した畑では土寄せと草マルチ
耕さない畑では草マルチを徹底
定植後のお世話は、耕した畑では株の周囲の草を取りながら土寄せします。そのうえで刈った草を敷いて草マルチしてください。耕さない畑では、株の周囲の草を地際から刈った後、草マルチを重ねてください。いずれのお世話も花が咲くまで続けます。ポリマルチを用いた場合は開花までにはがします。
開花までは株の葉先の周囲15cm以内の草を地際から刈り、草マルチを重ねる
開花後に花が落ちると子房柄が下向きに伸びて地面に差さり、地中にサヤを付ける。開花後は土寄せや草刈りはしない
②開花中は雨がなければ
Caストチュウ水※3で水やり
ラッカセイには基本的に水やりはしませんが、水分の必要な開花時期には、雨がなければ週に1度、Caストチュウ水でたっぷり水やりするとよく育ちます。
水やりが必要なのは花が咲いている時期
5 収穫
葉の2~3割が黄色くなったら収穫開始
葉の2~3割が黄色くなったら試し掘りをしましょう。ゆでラッカセイ用は掘りたてを、サヤが膨らんで、網目がはっきり出ていない時期から完熟まで食べられます。
葉の8割ほどが黄変し、サヤの網目がはっきりすれば完熟。煎りラッカセイで食べる保存用を収穫します。寒冷地では初霜の後、二番霜の前に収穫します。晴天が3日続いて土が乾いたときに掘り、洗わずに葉が付いたまま天地逆さにして10日間ほど畑に置いて乾燥させます。その後はサヤをむしり、そのまま網袋に入れて吊り保存してください。
移植ごてで株の外側を掘る
茎を持って掘り上げる
保存用は掘った株ごと畑に逆さに置いて10日間ほど天日干しする
監修/竹内孝功
たけうち・あつのり●1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『自然菜園で育てる健康野菜 ゼロから始める無農薬栽培』『完全版 自給自足の自然菜園12カ月 野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』、新装版『無農薬「自然菜園」で育てる人気野菜』(すべて宝島社)ほか多数。
WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/
文・写真/新田穂高 イラスト/関上絵美・晴香
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