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田舎暮らしの本 12月号

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田舎暮らしの本 12月号

11月1日(金)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

【田舎で趣味を満喫】キノコとその背景の森林を丸ごと愛する岩手の「きのこ王子」【岩手県紫波町】

奥羽山脈と北上山地に挟まれた、自然豊かな紫波町で暮らす髙橋久佑さん。普段は森林組合職員として働く彼のもうひとつの顔は、キノコを愛する「きのこ王子」。見てかわいい、食べておいしいだけにとどまらないキノコの魅力を伺った。

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掲載:2024年10月号

近年では、新たな都市と農村の結び付きを目指した複合商業施設「オガールプロジェクト」が注目を集めている/岩手県紫波町
岩手県紫波町(しわちょう)
自然豊かな県央エリアに位置する人口約3万3000人の紫波町。基幹産業は農業で、もち米や果樹の生産が盛ん。近年では、新たな都市と農村の結び付きを目指した複合商業施設「オガールプロジェクト」が注目を集めている。東京から東北新幹線と東北本線経由で約3時間。

 

森林公園で見つけた真っ赤なキノコが転機に

岩手県県民の森にて、げんき森林モリフェスティバルに参加中の髙橋久佑さん
岩手県県民の森にて、げんき森林モリフェスティバルに参加中の髙橋久佑さん。2020年までは髙橋さん主催で「イワテきのこ大祭」を開催していた。髙橋さんのInstagram/@kyusuketakahashi

 盛岡市から車で約40分、北上高地の中央部に広がる外山森林公園。ここにはキャンプ場や木製アスレチック、バーベキュー広場などのアクティビティ施設のほか、2カ所の「きのこ園」があり、キノコ類の販売や植菌作業の見学、キノコ狩り体験などを行っている。

 キノコから森林の魅力を発信し続けているのは、盛岡広域森林組合の職員であり、「きのこ王子」としても知られるキノコ愛好家の髙橋久佑さんだ。

 子どものころはボーイスカウトに所属して、自然に親しむ活動に参加していた髙橋さん。スーパーマリオブーム真っ最中の小学校時代に「スーパーキノコみたいな野生のキノコは存在するのだろうか?」と探究心が芽生え、キノコについて調べ始めた。中学時代はキノコモチーフのグッズ集めに夢中になり、農業高校に進学してからは、再びキノコについて学んだ。

 「キノコの背景には森林や山が必ずあり、そういう自然に関する仕事をしてみたいと思っていました。そして森林組合に就職。外山森林公園に配属されました」(髙橋さん)

 当時の森林公園は訪れる人が少なく、森の手入れも行き届いていなかった。仕事は草刈りなどの整備が中心。そんなある日、森の中で髙橋さんは、不思議なキノコを目にする。

 「白い殻から、マリオに出てきそうな真っ赤なキノコが頭を出していて、衝撃を受けました。毒キノコかと思って先輩に聞くと『いや、タマゴタケだから食べられるよ』と言われ、またびっくり。そのとき、森林公園でキノコをやったら面白いんじゃないかと思ったんです」

髙橋さんが衝撃を受けたタマゴタケ。4~5cmほどの白い球体が割れ、真っ赤なカサが出てくる
髙橋さんが衝撃を受けたタマゴタケ。4~5cmほどの白い球体が割れ、真っ赤なカサが出てくる。

スギ林でのオオイチョウタケ植えには、長男の柊人(しゅうと)くんもお手伝い。
スギ林でのオオイチョウタケ植えには、長男の柊人(しゅうと)くんもお手伝い。

130枚以上のキノコTシャツを所有する髙橋さん。
130枚以上のキノコTシャツを所有する髙橋さん。きのこアドバイザー研修会で「僕は一生キノコのTシャツを着ます!」と宣言して以来、本当に毎日キノコTシャツを着ている。

 

 髙橋さんは、林業で出た木に植菌をして、いろいろな種類のキノコを育て始めた。当時、公園内にはそば屋があったので、その店の名物として7種類以上のキノコが入った「秋限定きのこそば」を考案。これが大ヒットし、毎年シーズン前になると地元のすべてのテレビ局が取材に来るようになった。

 「当時、岩手県ではここだけだったオオイチョウタケの人工栽培も始めて、地元の飲食店に卸したりもしました。旬に収穫したものをざっくり乾燥させれば、香りを損なわないまま一年中使えます。地元のキノコを使えるとあって、お店からも好評でした」

 キノコは森林公園で栽培するほか、中山間地域の農家さんからも仕入れている。

 「盛岡市の藪川地区で、地域の方がたに、天然のキノコを採ってきていただき、買い取らせていただいています。値段を生産者に決めてもらうことで、少しでも中山間地域の経済を潤せればと思って」

 きのこアドバイザーや山菜アドバイザー、そしてきのこマイスターなど、フィールドに関するさまざまな顔を持つ髙橋さん。地元紫波町の学校や図書館で、キノコの魅力を伝える活動にも積極的に取り組む。

 そんな髙橋さんの現在の目標は、コロナ禍前まで自身が主催していた「イワテきのこ大祭」の復活である。

 「いまは全国各地のきのこ大祭の手伝いをしながら、仲間集めをしている時期。菌糸の輪が広がるようにキノコ仲間を増やして、人とのつながりを大切にしたきのこ大祭を復活できたらと思っています」

盛岡周辺では冷やし中華を「冷風麺」と呼び、具材はシイタケが入っていることが多いそう。髙橋さんは夏の間、ほぼ毎日冷風麺を食べているそう。
盛岡周辺では冷やし中華を「冷風麺」と呼び、具材はシイタケが入っていることが多いそう。髙橋さんは夏の間、ほぼ毎日冷風麺を食べているそう。

自宅にて親戚が大集合! 紫波町生まれの髙橋さんは、妻、長男(14歳)、長女(5歳)、髙橋さんの両親の6人家族だ。
自宅にて親戚が大集合! 紫波町生まれの髙橋さんは、妻、長男(14歳)、長女(5歳)、髙橋さんの両親の6人家族だ。

自宅でのキノコの植菌風景。
自宅でのキノコの植菌風景。

キノコの魅力は?

「日々菌活、ご胞子活動」がモットーです!と髙橋さん
「『日々菌活、ご胞子活動』がモットーです!」と髙橋さん

キノコというのは生態系の中で、有機物を分解して土に戻す「分解者」の役割を担います。つまり、豊かな森の循環があるからこそ、キノコは生まれる。見てかわいい、食べておいしいキノコだけど、じつは自然循環にも大きく寄与している存在なんですよ。それから、キノコは種類によって適した原木があるので、キノコの種類が豊富な森は、生態系も豊かなんです。

 

紫波町の移住の問い合わせ
お酒好きにもオススメな「南部杜氏」発祥のまち

研修や支援金の交付など、手厚い就農支援があり、豊かな自然のなかで農業にチャレンジしたい人にピッタリ。また、盛岡市や花巻市へ車で15〜30分で通勤・通学が可能で、ベッドタウンとしても機能している。南部杜氏発祥のまちとしても知られ「100年後に100の醸造関連事業者を生み出す」という目標に向けてブランディングも展開。

お問い合わせ:企画課 ☎️019-672-6884

4つの銘柄の日本酒のほか、町産のブドウやリンゴを原材料にしたワイン、ハードサイダーなど、さまざまなお酒が楽しめる/岩手県紫波町
4つの銘柄の日本酒のほか、町産のブドウやリンゴを原材料にしたワイン、ハードサイダーなど、さまざまなお酒が楽しめる。

町内には8カ所の産直があり、新鮮な農産
物や地場産加工品が手に入る/岩手県紫波町
町内には8カ所の産直があり、新鮮な農産物や地場産加工品が手に入る。


「田舎暮らしを楽しみつつも生活利便性が高い『暮らし心地のいいまち』です」
企画総務部企画課総合政策係 武藤宇将さん

 

文/はっさく堂 写真提供/髙橋久佑さん、紫波町

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  • 近年では、新たな都市と農村の結び付きを目指した複合商業施設「オガールプロジェクト」が注目を集めている/岩手県紫波町
  • 岩手県県民の森にて、げんき森林モリフェスティバルに参加中の髙橋久佑さん。
  • 髙橋さんが衝撃を受けたタマゴタケ。4~5cmほどの白い球体が割れ、真っ赤なカサが出てくる
  • スギ林でのオオイチョウタケ植えには、長男の柊人(しゅうと)くんもお手伝い。
  • 130枚以上のキノコTシャツを所有する髙橋さん。
  • 盛岡周辺では冷やし中華を「冷風麺」と呼び、具材はシイタケが入っていることが多いそう。髙橋さんは夏の間、ほぼ毎日冷風麺を食べているそう。
  • 自宅にて親戚が大集合! 紫波町生まれの髙橋さんは、妻、長男(14歳)、長女(5歳)、髙橋さんの両親の6人家族だ。
  • 自宅でのキノコの植菌風景。
  • 「日々菌活、ご胞子活動」がモットーです!と髙橋さん
  • 4つの銘柄の日本酒のほか、町産のブドウやリンゴを原材料にしたワイン、ハードサイダーなど、さまざまなお酒が楽しめる/岩手県紫波町
  • 町内には8カ所の産直があり、新鮮な農産 物や地場産加工品が手に入る/岩手県紫波町

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