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田舎暮らしの本 5月号

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田舎暮らしの本 5月号

3月1日(金)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

下水管の接続【予算200万円】DIY経験しかないスタッフが廃材で家を建ててみた【23回】

前回に引き続き、うんこまみれの和田邸の下水管工事である。今回も漏れなく(!?)、放送事故ギリギリの下ネタ満載でお届け!
※この回も下品な表現が多いことをご了承ください。すみません。

掲載:2018年3月号

長い長い下水管。水勾配を保ちながら配管するのは相当ムズカシイ!

テキトー施主・和田の自作自演!?

中山「というわけで今回も、うんこまみれなんですけど、いいんですかね?」
水野「いいんじゃない? 編集長の柳も気に入ってるみたいだし」
「気に入ってないから!」
 今回も和田は破損した下水管の復旧工事である。前回、死ぬ思いで切断した汚水マスに代えて新しい汚水マスを取り付けるんだが、これが面倒だ。上手と下手が「L」字になってるので、双方の長さをピッタリに取り付けるのが、なかなか難しいのだ。
 その間にも下手の浄化槽側からは間断なく汚水が逆流する。足元は汚水がたまってぬかるみ、糞尿のニオイが漂う。しかし……、非情にも下水管はなかなか接続されない……。なぜなら和田が、目見当で適当に長さを合わせるからだ。
阪口「継ぎ手の長さを正確に測って取り付ければ一発で済むのに」
中山「情状酌量の余地が、どんどん減っている感じだね」
水野「ていうかさ、もともと自業自得でしょ?」
 そう。すべてはテキトー施主・和田の「自作自演」なのである。
 こうして「うんこまみれ」の和田が、ぬかるみからはい出してきたのは、秋の日も傾きつつある午後3時ごろのこと。
和田「あとは盲腸を掘り出すだけだから!」
「盲腸」とは、将来、延伸することを見越して、新居側に1mほど延ばしてあった行き止まりの汚水管のことだが、これが汚水マスのところで切断されたまま、ぬかるみに埋もれて放置されていたのだ。
 和田が汚泥をかき分けて「盲腸」を取り上げた。
 そのとき! 我われが見たものは……!?
 ジャジャーン!! (川口浩探検隊風に)
 滝のように流れ落ちる「リアルうんこ」であった。
阪口「うわー見ちゃったよ」
中山「誰の? ねえ誰の?」
水野「誰のでもいいじゃない! うんこはうんこなの!」
中山「だってオレのうんこかもしれないしさ」
阪口「色、形からして、かなり最近のうんこと思われる」
和田「あー、じゃあ今朝した私のうんこかも」
水野「だから! 誰のうんこでもいいの!」
 折しも小学生の下校の時間である。ランドセルの小学生の集団が道路を歩いている。和田の長男、康陽も下校してきた。
康陽「ただいま!」
一同「ダメだ! そっちに近づくんじゃない!」
 慌てて駆け寄り、康陽を確保する。
康陽「あ! 父ちゃん臭い!」
和田「もういいよ! 父ちゃん『うんこまん』でいいもん!」
中山「『テキトー施主』『ケチケチ大王』の次は『うんこまん』ですか(泣)」

うんこまみれで新しい汚水マスを取り付ける和田。

必死にうんこ混じりの汚水をバケツでかき出す。下水の配管が終わらないと、車を駐車場に入れられないのだ!

 

配管の勾配が作業のたびに違う!?
  
 和田が「うんこまん」に変身している間に、助っ人一同は下水管の新設工事である。
 まず中山が、新居から汚水マスまでの地面を重機で掘り返す。汚水マスまで一直線に掘り進んだら、次は新居側の配管だ。基礎の立ち上がりには、あらかじめ150㎜径の穴が開いているので、ここに50㎜径の塩ビ管を通し、それぞれを汚水マスに連結する。
 簡単そうに見えるが、けっこうデリケートな作業である。というのは常に下手側に水勾配が出ていないといけないからだ。特に汚水マスの設置角度によっては上手側(建物側)が「逆勾配」になってしまうのだ。微妙に角度を調整して位置決めしたら、すかさず砕石を流し込んで安定させる。
 こうして3カ所の汚水マスを設置して、「やれやれ」と思っていたら、水準器で勾配を測っていた阪口が、
阪口「……勾配が変わってる?」
中山「なに? どこ?」
阪口「さっきはピッタリだったんだけどなあ」
水野「砕石を流し込んだときにズレたんじゃないの?」
 そうなのだ。じつは和田が用意した砕石の粒が大きいため、管の下に敷くたびに高さがズレていく。本来なら、粒の細かい砕石か砂が適しているのだが、ないものは仕方ない。改めて位置決めをするも……。
阪口「今度はこっちがズレてる」
 再び位置決めをし直す。しかし……、案の定である。さっき直したはずの汚水マスが、またズレているのだ。
中山「これはもう賽(さい)の河原(※)だな」
和田「なに!? どれ!?」
 うんこまん和田がズカズカ歩いてくる。
阪口「そこのオマエ! うんこまみれの長靴で歩き回るんじゃない!」
中山「着てるモノすべて洗ってから来い!」
和田「そんなこと言ったら、このスコップとか水準器とかゴムハンマーとか……」
一同「全部洗え!」

※賽の河原…際限のない無駄な努力のたとえ。

新居わきを重機で掘り返す。壁を壊さないよう慎重に!

2、3回使っただけで、ツルハシの柄が折れてしまった!

屋内に続く配管が、これまたムズカシイ。水勾配ってビミョーだ。だんだん面倒くさくなってきたぞ。

水勾配を見ながらていねいに配管……。しかし、無情にも勾配は変わってしまうのだ。

1カ所だけビミョーに角度をつけないといけない部分が発生。このあと急きょ45度のエルボ継ぎ手を買ってきて、うまい具合にできた。

下水と同時に上水道も配管。

ここでも活躍したシリコンスプレー。こうすると配管を差し込む際にスムーズ。和田家では必須アイテムだ。

間違ってはめた継ぎ手が抜けなくなって四苦八苦することも……。

汚水マスをのぞき込む康陽。

手でならしている担当・水野のわきで、どんどん砕石を流し込む和田。

最終的な水勾配は、施主・和田が自らチェック。

 こうして新居から汚水マスに至る配管が、なんとか日暮れまでに完成した。
和田「さっそく水を流してみよう!」
 トイレはできているが、肝心の上水道がまだなので、バケツで水を流してみることにした。担当・水野がバケツを構えて上手の1番汚水マスで待機。阪口、中山、和田が、それぞれ2番・3番・4番汚水マスについた。
水野「流すよ~」
 担当・水野の声と同時に、「ゴボゴボ……」という流水音が配管を伝わってくる。
阪口「2番通過!」
 汚水マス2番目を無事に水が流れたようだ。その2秒ほど後……、おおーっ! 来た来た! 水がチョロチョロと流れ下っていく。
中山「3番通過!」
 最後は和田が待ち受けている浄化槽手前、例のうんこまみれの4番汚水マスだ。
 しかし、和田の「4番通過!」の声はなかなかかからない。
和田「あーダメだ! 水が逆流してる!」
 なんと、水が滞留してしまったのだ。最後の汚水マスが、浄化槽よりも低くなってしまったのが原因だろう。
和田「まあ……いいよ! このままで!」
一同「よくないだろ!」
阪口「うんこ詰まったら、どうするんだよ」
中山「いいじゃん。施主も糞詰まりなんだから」(←和田は慢性便秘症)
一同「そこかよ!」
水野「ていうか1日にこんなに『うんこ』って言ったの生まれて初めてかも!」
 なぜか終始うれしそうな担当・水野であったとさ。

1番汚水マスからバケツで水を流す。3番まではうまく流れたが、最後の汚水マスをチェックしていた和田から悲鳴が……。

 

文/中山茂大 写真/阪口 克

 

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