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田舎暮らしの本 12月号

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田舎暮らしの本 12月号

11月1日(金)
890円(税込)

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屋内配管、キッチンの施工【予算200万円】DIY経験しかないスタッフが廃材で家を建ててみた【24】

前回までに屋外の配管がほぼ完了した和田邸。うんこまみれの作業もようやく終わり、今回からは屋内の配管、そしてキッチンの施工に突入だ。

掲載:2018年4月号

水道メーターが回りっぱなし! 漏れているのはどこ!?
 
 うんこに明け暮れた作業も前回でようやく終わり、今回は新居内部の“キレイな”下水の配管と、同時に上水道の配管だ。とりあえずトイレの配管を済ませようということで、便器に接続してあった下水管と、屋外から延伸してきた下水管を連結。
 一方の上水道は、VP管をつなげて下水管に並走するように引き込み、風呂、洗面室に、それぞれ1m程度延ばしておく。トイレには床下まで延伸して、床材を挟み込むように止水栓に接続。これで元栓を開ければ水が流れるはずだ。
 さっそく和田が開栓する。「ジョワー」という音とともにタンクに水が溜まりはじめる。
 しかし、タンクが満タンになってもメーターは回り続け……。
和田「やべ! どっかで漏れている!」
 一同、必死に水が漏れている箇所を探し回る。そしてようやく、和田が「あとで庭に洗い場をつくりたい」というので分岐したVP管のキャップが外れていることが判明した。キャップは接着剤で接合しないとイケナイのだ。

床下の上水道を配管する阪口。床下に潜ろうとしたら、根太の間にお尻が詰まって抜け出せなくなった。

仕方がないので、根太を1カ所切って床下に潜って作業することに。

屋外からの配管は分岐して、1つはキッチンへ。もう1つがトイレにつながる。

その間に施主・和田は元栓からの配管に悩んでいた。凍結防止カバーは付けないのか?

埋設された上水道の分岐点には杭が打ってあって、そこからジョワーっと漏水していた。

水は流れるがトイレットペーパーは滞留

 そんなことでトラブルも解決し、晴れて水洗トイレに水を流すことに……。
 ジャバー……。
一同「おおーっ! 流れた!」
阪口「待て待て。奥多摩の人力山荘でもそうだったが、トイレットペーパーが流れないとダメなんだよな」
 そう。以前(7年くらい前だけど)の記事でも紹介したが、JIS規格の大便器の性能基準の1つに、「76㎝のトイレットペーパーを緩く丸めたもの7個が便器外にすべて排出」とあるのだ(下記参照)。

そしてついに便器に水が流れたのであった。当たり前のことがじつにうれしい!

 そこで76㎝に切って丸めたトイレットペーパーを7つ用意して、これをいっぺんに流してみる。
 再びジャバー……。
 トイレットペーパーは水流にのみ込まれて流れ去っていった……が、しかし!
和田「ああーっ! やっぱり流れてこない!」
 前回、水が滞留した汚水マスから和田の悲鳴が……。やはり逆勾配になっているらしいのだ。しかし配管はすでに埋設してしまっている。
阪口「今から掘り返すか?」
中山「またぶっかいたりして」
和田「いや、このままでいい!」
一同「ホントに!?」
和田「いい……ことにする!」
一同「施主がいいって言うんならねえ」(←うんこはもう懲り懲り)
 こうして一抹の不安を抱えたまま、下水の設置工事は完了し、次の作業であるキッチンの施工に入ることになった。

IS規格にのっとってトレペを流すべく用意する3名。

では流してみましょう。

しかし浄化槽手前で滞留……。

 

汚いシンクに廃材の木枠! できたのはゴミキッチン

 ひと月後の作業日。和田邸には古くて汚い昭和な感じのキッチンが運び込まれていた。
阪口「なにこのゴミは」
水野「まさかこれを取り付けるってことないよね?」
和田「まさか! ステンレスのシンクと天板だけ使うんですよ!」
水野「よかった……」
中山「和田ならやりかねないからなあ」
和田「でもさ、このキッチンは妻からダメ出しが出ちゃって! じつはもう1つ、もらってきたんだよね!」
 和田の軽トラには、これまた小汚い昭和的キッチンが積んである。
阪口「なんで2つも必要なのかわからないんだけど」
和田「1つ目はシンクが、ちょっと小さすぎたの!」
水野「どこで見つけてくるの?」
和田「家屋の解体現場! そういう現場に通りかかったら、声かけるの!」
 業者も処分に金がかかるから、喜んでくれるらしい。
 とりあえず小汚いキッチンのパーツをばらすことに。しかしドロドロの排水パイプが殊の外、汚い。
水野「まさかこれは捨てるよね?」
和田「もちろん使いますよ!」
水野「ぎえー! 信じらんない!」
 和田の「ドケチ」は、もちろんこの程度ではない。
和田「シンクを取り外したら、それを載せる枠をつくって!」
 材料として和田が運んできたのは、これまた汚い廃材である。
中山「シンクもゴミなら木枠もゴミだな」
阪口「それでその『ゴミキッチン』は、どの辺に置くの?」
和田「ゴミゴミ言わない! このあたりに置いて対面式にしたいんだよね!」
水野「ガスコンロは?」
和田「この辺かな! こっちがシンクで、ここに天板を置くの!」
水野「ワカメちゃん(和田の妻)はそれでいいって?」
和田「いや、何も聞いてないけど?」
阪口「やっぱり主婦の意見を聞いたほうがよいのでは?」
 そこでワカメちゃんが呼ばれた。

ゴミシンクを前にキッチン談義する面々。右が和田妻からダメ出しが出た1つ目のキッチン、左が再度拾ってきた2つ目のキッチン。
中山「ステンレスの金物類は流用できそうだな」
和田「妻が引き出し希望なんだよね!」
和田妻「笑ってますけど、大丈夫? とっても不安」

笑顔でほほえむ和田夫妻。しかし心の中は呉越同舟。

ゴミキッチンの実態は想像以上に汚かった。特に排水パイプの周辺は放送事故レベル。

子どもたちと一緒にキッチンの掃除をする担当・水野。しかし、ガキどもはすぐに飽きてどこかに行ってしまい……。

和田妻・ワカメちゃんのキッチンへの要望は!?

和田「……というわけなんだけど、なんか文句ある!?」
水野「なによ、その偉そうな言い方」
和田妻「排水口の真上に蛇口を取り付けないで欲しいです」
 現在使用中のキッチンも和田の自作だが、排水口の真上に蛇口があるため、流水がそのまま排水口に流れ去ってしまうのだとか。
阪口「まさに施工不良ですな」
和田妻「食器洗いカゴ置き場を左にしてほしいです」
 現行のキッチンでは、食器カゴが右側にあり、使いにくいらしい。
中山「これは、使う人の好みに合わせるべきですな」
水野「ほかには?」
和田妻「シンクは大きめのほうがいいです」
 これは2つ目にもらってきたシンクで納得してもらった。
和田妻「収納は『扉』ではなく『引き出し』がいいのと、足元に余裕がほしいです」
 洗い物に立ったとき、つま先がキッチンに当たらないように、「引っ込み」がほしいということのようだ。
阪口「もっともな要望ですな」
中山「しかし正確な位置が決まらないと、上下水の配管もできないよね」
和田「とりあえずその辺でいいよ」
中山「その辺ってアンタ……」
阪口「決めちゃわないと床の施工ができないんじゃないかと……」
和田「大丈夫大丈夫!」
中山「ガスコンロの位置も決めちゃわないと換気扇の位置が……」
和田「大丈夫大丈夫!」
 相変わらずの和田のテキトーぶりである。これが後でボディブローのように効いてくるのだった。

和田が廃材でシンクの木枠をつくれというので、仕方なく作業する。角ノミでホゾを加工。廃材なので、正確に墨出しするのに骨が折れるのだ。

天板にはクヌギの一枚板を使用する予定なので運び出す。見た目よりもかなり重い……。

ガスコンロ台だけは流用しようと画策した和田だったが、ダメ出しにより運び出すことに……。

きれいに洗ったシンクを運び、木枠に配置する。

御台所様だけでに妥協は許されない。ゴミキッチンにダメ出し連発で、ついにつくり直しを迫られることに! 次回、和田の挽回なるか?

文/中山茂大 写真/阪口 克

 

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