前回までに屋外の配管がほぼ完了した和田邸。うんこまみれの作業もようやく終わり、今回からは屋内の配管、そしてキッチンの施工に突入だ。
掲載:2018年4月号
水道メーターが回りっぱなし! 漏れているのはどこ!?
うんこに明け暮れた作業も前回でようやく終わり、今回は新居内部の“キレイな”下水の配管と、同時に上水道の配管だ。とりあえずトイレの配管を済ませようということで、便器に接続してあった下水管と、屋外から延伸してきた下水管を連結。
一方の上水道は、VP管をつなげて下水管に並走するように引き込み、風呂、洗面室に、それぞれ1m程度延ばしておく。トイレには床下まで延伸して、床材を挟み込むように止水栓に接続。これで元栓を開ければ水が流れるはずだ。
さっそく和田が開栓する。「ジョワー」という音とともにタンクに水が溜まりはじめる。
しかし、タンクが満タンになってもメーターは回り続け……。
和田「やべ! どっかで漏れている!」
一同、必死に水が漏れている箇所を探し回る。そしてようやく、和田が「あとで庭に洗い場をつくりたい」というので分岐したVP管のキャップが外れていることが判明した。キャップは接着剤で接合しないとイケナイのだ。
水は流れるがトイレットペーパーは滞留
そんなことでトラブルも解決し、晴れて水洗トイレに水を流すことに……。
ジャバー……。
一同「おおーっ! 流れた!」
阪口「待て待て。奥多摩の人力山荘でもそうだったが、トイレットペーパーが流れないとダメなんだよな」
そう。以前(7年くらい前だけど)の記事でも紹介したが、JIS規格の大便器の性能基準の1つに、「76㎝のトイレットペーパーを緩く丸めたもの7個が便器外にすべて排出」とあるのだ(下記参照)。
そこで76㎝に切って丸めたトイレットペーパーを7つ用意して、これをいっぺんに流してみる。
再びジャバー……。
トイレットペーパーは水流にのみ込まれて流れ去っていった……が、しかし!
和田「ああーっ! やっぱり流れてこない!」
前回、水が滞留した汚水マスから和田の悲鳴が……。やはり逆勾配になっているらしいのだ。しかし配管はすでに埋設してしまっている。
阪口「今から掘り返すか?」
中山「またぶっかいたりして」
和田「いや、このままでいい!」
一同「ホントに!?」
和田「いい……ことにする!」
一同「施主がいいって言うんならねえ」(←うんこはもう懲り懲り)
こうして一抹の不安を抱えたまま、下水の設置工事は完了し、次の作業であるキッチンの施工に入ることになった。
汚いシンクに廃材の木枠! できたのはゴミキッチン
ひと月後の作業日。和田邸には古くて汚い昭和な感じのキッチンが運び込まれていた。
阪口「なにこのゴミは」
水野「まさかこれを取り付けるってことないよね?」
和田「まさか! ステンレスのシンクと天板だけ使うんですよ!」
水野「よかった……」
中山「和田ならやりかねないからなあ」
和田「でもさ、このキッチンは妻からダメ出しが出ちゃって! じつはもう1つ、もらってきたんだよね!」
和田の軽トラには、これまた小汚い昭和的キッチンが積んである。
阪口「なんで2つも必要なのかわからないんだけど」
和田「1つ目はシンクが、ちょっと小さすぎたの!」
水野「どこで見つけてくるの?」
和田「家屋の解体現場! そういう現場に通りかかったら、声かけるの!」
業者も処分に金がかかるから、喜んでくれるらしい。
とりあえず小汚いキッチンのパーツをばらすことに。しかしドロドロの排水パイプが殊の外、汚い。
水野「まさかこれは捨てるよね?」
和田「もちろん使いますよ!」
水野「ぎえー! 信じらんない!」
和田の「ドケチ」は、もちろんこの程度ではない。
和田「シンクを取り外したら、それを載せる枠をつくって!」
材料として和田が運んできたのは、これまた汚い廃材である。
中山「シンクもゴミなら木枠もゴミだな」
阪口「それでその『ゴミキッチン』は、どの辺に置くの?」
和田「ゴミゴミ言わない! このあたりに置いて対面式にしたいんだよね!」
水野「ガスコンロは?」
和田「この辺かな! こっちがシンクで、ここに天板を置くの!」
水野「ワカメちゃん(和田の妻)はそれでいいって?」
和田「いや、何も聞いてないけど?」
阪口「やっぱり主婦の意見を聞いたほうがよいのでは?」
そこでワカメちゃんが呼ばれた。
和田妻・ワカメちゃんのキッチンへの要望は!?
和田「……というわけなんだけど、なんか文句ある!?」
水野「なによ、その偉そうな言い方」
和田妻「排水口の真上に蛇口を取り付けないで欲しいです」
現在使用中のキッチンも和田の自作だが、排水口の真上に蛇口があるため、流水がそのまま排水口に流れ去ってしまうのだとか。
阪口「まさに施工不良ですな」
和田妻「食器洗いカゴ置き場を左にしてほしいです」
現行のキッチンでは、食器カゴが右側にあり、使いにくいらしい。
中山「これは、使う人の好みに合わせるべきですな」
水野「ほかには?」
和田妻「シンクは大きめのほうがいいです」
これは2つ目にもらってきたシンクで納得してもらった。
和田妻「収納は『扉』ではなく『引き出し』がいいのと、足元に余裕がほしいです」
洗い物に立ったとき、つま先がキッチンに当たらないように、「引っ込み」がほしいということのようだ。
阪口「もっともな要望ですな」
中山「しかし正確な位置が決まらないと、上下水の配管もできないよね」
和田「とりあえずその辺でいいよ」
中山「その辺ってアンタ……」
阪口「決めちゃわないと床の施工ができないんじゃないかと……」
和田「大丈夫大丈夫!」
中山「ガスコンロの位置も決めちゃわないと換気扇の位置が……」
和田「大丈夫大丈夫!」
相変わらずの和田のテキトーぶりである。これが後でボディブローのように効いてくるのだった。
文/中山茂大 写真/阪口 克
過去記事はこちら!
第1回 基礎工事
第2回 墨付け、刻み
第3回 柱、梁、桁の刻み
第4回 棟上げ目前
第5回 棟上げ
第6回 棟上げ
第7回 棟上げ
第8回 足場組み、家起こし
第9回 屋根
第10回 屋根材張り&プロによる中間チェック
第11回 壁の施工、窓の取り付け
第12回 差し鴨居
第13回 外壁
第14回 はめ殺し窓、下見板
第15回 床の施工
第16回 荒床張りと電気の引き込み
第17回 ウッドデッキ
第18回 天井張り
第19回 内装工事
第20回 水回りの施工
第21回 トイレの設置
第22回 下水管の接続
第23回 下水管の接続
人力社
ライター中山とカメラマン阪口、 ライター和田の旅とDIYを得意とする3人組トリオ。「人力山荘」シリーズでは中山の母屋リフォーム、中山のアネックス新築DIY、和田の自宅新築DIYを連載。阪口も自宅をDIYで新築している。
人力社HP➡www.jinriki.net
阪口HP➡https://www.sakaguti.org
和田HP➡http://www.wadayoshi.com
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