田舎暮らしの本 Web

  • 田舎暮らしの本 公式Facebookはこちら
  • 田舎暮らしの本 メールマガジン 登録はこちらから
  • 田舎暮らしの本 公式Instagramはこちら
  • 田舎暮らしの本 公式X(Twitter)はこちら

田舎暮らしの本 12月号

最新号のご案内

田舎暮らしの本 12月号

11月1日(金)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

脱サラして新規就農し、農地でカフェを開業! 朝穫れ野菜たっぷりランチが人気【兵庫県三木市】

兵庫県三木市の田園風景が広がる農村に移住し、農業を始めた藤井さん夫妻は、水耕栽培の施設で葉物野菜やハーブを育てている。隣にカフェも開き、地元食材を取り入れた野菜たっぷりのメニューを提供するほか、穫れたて野菜の販売も大人気となっている。

掲載:2021年12月号

農地の物置を改修して、念願のカフェをオープンした藤井さん家族。写真右から大輔さん、灯弥くん、恭子さん。

 

ハウスの隣にカフェをオープン

 20世帯ほどの集落が点在する兵庫県南部の三木市の農村地帯に、2019年1月、ビニールハウスに隣接したカフェ「biricaCOFFEE & FRESH VEGS」がオープンした。営むのは、大阪市から移住した藤井大輔(ふじいだいすけ)さん(43歳)・恭子(きょうこ)さん(41歳)夫妻だ。大輔さんは神戸市兵庫区出身。35歳で会社を辞め、14年に家族3人で三木市へ移住。夫婦で2年間の農業研修を受けた。

「若いころから自分たちで何か事業をしたいという思いがありました。田舎暮らしがしたいというより、田舎でしかできないことをしたら面白いと考えていて、知人が三木市で農業をしていたこともあり移住しました」

 水と液体肥料で植物を栽培する水耕栽培は、研修先のブドウ農家で学んだ。朝穫れ野菜をたっぷり使うカフェの開業を計画していたこともあり、天候に左右されず、通年、葉物野菜が収穫できる水耕栽培で農家になる道を選んだ。しかし、なかなか思うようには進まなかった。

「農業で独立する際に支援を受けられる認定新規就農者になりましたが、収入が低くアルバイトをして生活していた時期もありました」

 通常、農地では飲食店を開くことが認められていない。そこで藤井さんは、農業者自らが生産する農産物を主な材料として調理して提供する場合、農用地区域内に農家レストランを設置することができるという、国家戦略特区限定の規制緩和を受けることで、カフェをオープンすることができた。兵庫県ではまだこの制度を利用した事例がなかったために、時間がかかった。

店内にはカウンター席と田園風景が眺められるテーブル席がある。

定番メニューはニューヨークの屋台飯、チキンオーバーライス(スープ付き、1000円)。新鮮野菜がたっぷりだ。

季節の食材を使った焼き菓子。こだわりのコーヒーは和歌山市の焙煎所「THE ROASTERS」の豆を使っている。

 カフェ開業にあたって心配事の1つは地域の人の反応だったが、休みの日には地域行事にも参加し、地域との付き合いは良好だ。今では目の前の公民館にコーヒーを出前したり、毎週通ってくれる人もいる。

 子どもを育てながら、農業とカフェを兼業している恭子さんだが、のびのび子育てができているという。小学2年生の長男・灯弥(とうや)くんの学校には、同級生が5人いて、3年生との複式学級だ。

「子どもが少ない分、学校でもケアが手厚いです。地域でも、みんなで子育てをしている感じがして移住してよかったと思います」と恭子さんはほほ笑む。

 移住する前は、ないものがない環境で暮らしていた大輔さんも、やっと今の暮らしに慣れてきたという。

「虫は苦手だし、ジュースを買いに行くにも車に乗らないといけないけれど、三木市は神戸や大阪へのアクセスがよく、遠すぎないのがいい。街には街の、田舎には田舎の、それぞれにいい面があって、どっちも楽しい。ようやく移住前に思い描いていたかたちに近づけたので、仕事をしっかり続けて、地域の人たちに僕らがいてよかったと感じてもらえたらうれしいです」

栽培施設をメインで管理する恭子さん。サラダ用の葉物野菜は10数種類。「収穫のタイミングを逃さないように意識しています」。

サラダリーフ、ルッコラ、小松菜など、葉物野菜を中心に販売。買い求める人が多く、すぐに完売する(電話での取り置きにも対応)。(写真提供/biricaCOFFEE & FRESH VEGS)

カウンター越しに会話する藤井さん親子。カフェのインスタの写真は灯弥くんが撮ることもあるという。

 

オーナー藤井さん夫妻から田舎カフェ開業へのアドバイス!

「わざわざ訪れてくださる意味を考えて!」
立地が田舎ということは、お客さまはわざわざそのカフェを目指して来てくださっているので、その意味を自分たちも考えておくことが重要だと思います。僕たちの場合は、鮮度にこだわった野菜の販売と、ほかでは食べられないほど大量のサラダを提供することで、お客さまに満足してもらえたらと考えています。

birica COFFEE & FRESH VEGS(ビリカコーヒーアンドフレッシュベジス)
☎0794-60-7769
住所/兵庫県三木市細川町瑞穂3643
営業時間/10:00〜17:00(LO)
定休日/月・木曜
https://biricaweb.tumblr.com
Instagram/@birica_web

 

兵庫県三木市(みきし)
兵庫県の南部に位置し、400年以上続く伝統産業の金物や、ゴルフのまちとして知られる。酒米「山田錦」の生産量は日本一。ブドウやキクの産地でもある。人口約7万6000人。山陽自動車道、中国自動車道のICがあり、神戸市・三宮、大阪市内へは車で約1時間。

 

三木市移住支援情報
中学生までの医療費無料。若年層向けの移住支援も

三木市は、都会も田舎も味わえる「トカイナカ」。神戸や大阪市内まで車で1時間程度で、商業施設や医療機関も揃っている。中学生までの医療費無償化、0~2歳児の保育料半額など、子育て施策も充実。移住支援では、39歳以下を対象にした移住者向け住宅購入補助(最大25万円)や新婚世帯への新生活補助(最大30万円)がある。

縁結び課 ☎︎0794-82-3030
https://www.miki-akiyabank.com

三木駅周辺と神戸市中心部を結ぶ神戸電鉄。

「森と暮らす」がコンセプトの三木山森林公園。

 

文/田中泰子 写真/木下清隆

この記事のタグ

田舎暮らしの記事をシェアする

田舎暮らしの関連記事

バス、トイレも快適な800万円の古民家。清流沿いに美しい庭が広がる【兵庫県宍粟市】

AKBで暮らそう!温暖な気候、豊かな自然の恵み、アクセス良好!【赤穂市・上郡町・備前市】

山で営む不安のない暮らし。父から子に伝える自給の知恵【兵庫県朝来市】

「東京に固執しなくていい」とUターン。古民家カフェをコミュニティの場に【滋賀県長浜市】

大阪の村の古民家で始まる最先端。カフェレストラン&ヘアサロン+α【大阪府千早赤阪村】

震災を機に移住して農家に転身。地元密着の農家カフェで丹後の魅力を発信中!【京都府京丹後市】

移住者数が3年で3倍に! ずっと住み続けたいまち【愛媛県今治市】本誌ランキング2年連続 全4部門1位!

【築100年古民家】絵本のような絶景に包まれた秘境の美しい伝統住宅!200万円の9LDKはほぼ改修不要!? 宿泊施設や飲食店にも活用可能!【福島県金山町】

海・山一望の大規模ニュータウン「伊豆下田オーシャンビュー蓮台寺高原」には素敵な物件がたくさん【静岡県下田市】