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田舎暮らしの本 12月号

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田舎暮らしの本 12月号

11月1日(金)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

キッチンの施工【予算200万円】DIY経験しかないスタッフが廃材で家を建ててみた【26】

引き続きキッチンの施工である。和田邸に訪れてみると、荒床しかなかったところに、突然、キッチンと床ができていた。ハリボテではないかという疑いもあり、テキトー施主・和田のキッチン完成なるか!?

掲載:2018年6月号

和田が新しくつくったシンク。引き出しを外すと意外と軽い。

意外とかっこいいキッチンで、ちょっと悔しい

 和田邸の作業日。いつも通り朝9時に集合してみると、すでにキッチンの仕上げがずいぶん進んでいた。壁は漆喰が塗られ、床材も張ってある。
 でもそれは、「キッチンまわり」だけ。
 ほかの部分はホッタラカシなのであった。
中山「なんか撮影用のセットみたいだな」
和田「とりあえずキッチンを完成させないと次に進まないからさ!」
阪口「ここだけ床材が違うのは、いいのか?」
和田「そこはシンクで隠れるからいいの!」
水野「これって、もしかして床下の点検口?」
和田「そう! そこだけ板が外れるようにしてあるの!」
 よくぞ気づいてくれましたとばかりに、得意げに話す和田である。
中山「ちょっと開けてみろよ」
和田「ここの穴に指をかけて! あれ……、開かない!」
 板がきつすぎて開かないのであった。
和田「まあホラ! 普段使わないから!」
水野「しかもガスコンロ台の真下って……。意味ないし」

キッチンの下になり隠れるところは端材を利用。

きつくて開かない点検口。近い将来、潜らないといけない事態が発生するかも!?

阪口「それで、肝心のシンクはどうなったの?」
和田「フッフッフ。見て!」
一同「おお! 意外にも完成度高!」
 収納はオール引き出し。焼き杉板に天然木の取っ手を付けた、和田コダワリの仕上げである。シンク右手の大理石は、解体現場で拾ってきたテーブルをぶっ壊して切り出したんだとか。
阪口「なぜか悔しい……。なんでだろうか」
水野「テキトーなくせに、意外と格好いいのをつくっちゃったからじゃないの?」
中山「確かにセオリー通りにキチンとつくるのがバカらしくなっちゃうよな」
 そこで一同はハッとした。
 もしかして、和田の「テキトー」は……感染する!?

拾ってきた古いテーブル(写真右上)。この天板の大理石を取り外して再利用する。グラインダーで必要な大きさに切断して、タイル用接着剤で圧着。

どっしりとして安定感がある大理石が取り付けられた。パン生地も練りやすい。

丸太の柱と床材の取り合いでは、柱にチェーンソーで切り欠きを入れ、手ノミでこそいで床材を納めるという荒技。しかし、そんな荒技の末でもピッタリはまらないのが悲しいところ。

面倒な作業は助っ人に任せて、楽しいキッチン製作に没頭する和田。水跳ね防止の立ち上がりをつくり、見切り縁にはわざわざ切り欠きを入れる入念さ。

立ち上がりに天板を取り付ける。

引き出しの製作。側板の切り欠きに底板を差し込んで、四方をビス留め。

側板にスライドレールを取り付け、シンク本体にもレール受けを取り付ける。

引き出しの前板は焼き杉にする。バーナーで焦げ目を付けて真鍮ブラシでこすると、木目が浮き上がる。

取っ手の製作。センダンの枝の表皮をナイフで削り落とし、仕上げにサンダをかける。和田コダワリの天然木の取っ手が完成。

自家製引き出しが完成。本体との取り合いもピッタリだ。

 

「このあたり」と目検討で穴を開ける

 そんなこんなで、完成したシンクを、床から伸びた給排水管に合わせて置いてみた。引き出しを外して本体だけにすると、意外と軽い。
和田「想定通りだね! 給排水管の位置もピッタリ!」
水野「ピッタリっていうか、ギリギリ届くっていうか」
阪口「トラップは?」
和田「なに、トラップって!?」
 トラップというのは配水管をS字に曲げて管内に水を溜め、下水の臭気が上がってこないようにする仕掛けだ。
和田「それは考えてなかった!」
阪口「ていうかトラップがない配管って、あり得ないよ」
中山「だったらさ。このビニールテープで、このように……」
和田「おお! 素晴らしいアイデア! 感動した!」
水野「こういうチープな技に、すんごい食いつくんだよね、和田さんって」(失笑)

ビニールテープで留めただけの「なんちゃってトラップ」。排水パイプ自体も廃品を再利用しようとしたが、和田妻のダメ出しで新品を購入。

阪口「で、蛇口は、どこに取り付けるの?」
 和田妻の要望の1つに、「排水口の真上に蛇口を付けないでほしい」というのがあった。水流がそのまま排水口に流れてしまい、シンク全体に行き渡らないのが、たいそう不便なんだとか。
和田「妻とも相談したんだけど、このあたりってことで!」
 さっそく和田が、ステップドリルを取り出し、「目見当」で穴を開けはじめる。
 ダダダダダ!
中山「このあたりの思い切りのよさがすごいよね。間違ってたときのこと考えないのかなあ」
阪口「いいんじゃないの? どうせタダなんだし」
 そうなのだ。失敗してもいいのだ。だってもともと拾ってきた「ゴミ」なんだから……。
 あっという間に穴は開き、さっそく蛇口を取り付けてみる。
和田「ええと、こっちのホースが温水で……」
阪口「先にパッキン通さないと」
和田「ええと、こっちが上水道で……」
阪口「その前に止水シール巻いたほうがいいよ」
和田「……いちいちうるさいんだけど!」
阪口「だって間違ってるんだもん」
中山「まるで小姑だな」
阪口「失敗するよりマシじゃん!」
水野「失敗してもらったほうが誌面的にはうれしいんですけど」
 そこで和田が衝撃的な一言をつぶやいた。
和田「念のため言っとくけど! 私、A型だから! こう見えても細かいんだよね!」
 あぜんとする一同である。
水野「あり得ない!」
中山「オマエがA型だったらオレはAAAだよ」(ホントはO型)
阪口「オレなんかAAAAAAAだぞ」(ホントはAB型)
和田「だってホントにA型なんだもん!」
中山「前から思ってたけど、血液型性格判断ってのは、ありゃウソっぱちだな。今オレは確信したよ」
和田「そこまで言う!?」

ステップドリルで、いきなり目見当で穴を開ける和田。

ボルト穴×2と給水管を通す穴を開けたら、不気味な「スマイルマーク」みたいになった。

蛇口を取り付ける。下からナットで締め付けるが、シンクが邪魔! 七転八倒の末、なんとか成功。

 

買い替えた蛇口で無事に水が出た

 目見当で開けたはずの穴も、なぜか過不足なく、蛇口の設置は順調に進んだが、ここでようやく問題発生である。
 接続部分のネジ山の加工がいい加減だったのは、前号でもお知らせした通り。和田がネットオークションで980円で落札した、お隣「C国」製造のジャンクであった。
中山「まさに『ネット買いの銭失い』!」
水野「お気に入りのフレーズ!」
阪口「しかし蛇口が980円ってあまりに安くね?」
水野「盗品だったりして」
和田「最近問題になってるよね!」
中山「この間、3000円で中古のインパクトドライバ買ったんだけど、『小笠原』って名札が張ってあった」
阪口「それは怪しいなあ」
水野「盗品買うのは犯罪ですよ」
中山「……売買の経緯につきましては、刑事訴追の恐れがありますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います」
一同「国会答弁かよ!」
和田「というわけで新しく買い替えた蛇口を取り付けてみました! そしたら、この通り! ジャバーッと水が出た!」
一同「おおーっ!」
阪口「今回はいくらのを買ったの?」
和田「また、同じやつ。ネットオークションで980円! 今度は問題なく付きました!」
一同「懲りないやつ」
 ようやく完成した和田邸のキッチン。次回は内壁に突入だ!

これが問題の、C国製の不良品。とはいえDIY愛好者にとってネットオークションは部品調達の力強いツールであることは言うまでもない。

こうして、ついに自作キッチンが完成。蛇口の位置も漏水も問題ナシ!

文/中山茂大 写真/阪口 克

 

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