薪ストーブライフは、ホームセンターが扱っているストーブで実現できる。価格は本格的な鋳物製でも5万円程度からとお手頃。そんな格安薪ストーブを上手に使うコツと、安全な設置方法を紹介します。
DIYでの設置が基本。薪とメンテも重要
冬が近づくと、多くのホームセンターで薪ストーブの特設コーナーが展開される。茨城県水戸市にある大型ホームセンター「スーパービバホーム水戸県庁前店」でも、5万円前後の鋳物製薪ストーブを中心に、鉄板製のストーブかまどやキャンプで人気の時計型ストーブなど、手ごろな価格の薪ストーブを揃えて特設コーナーをつくっている。
「ホームセンターの特徴として、その場で迷わず手が出やすい価格帯の商品を揃えています。このクラスだと性能や機能はほとんど変わらないので、デザインで選んでいいと思いますよ」
と教えてくれたのは、営業次長の田中茂樹さん。
また、ホームセンターで薪ストーブを入手する場合に重要なのが、自分で設置できること。炉台や炉壁をつくって床や壁の防火をし、煙突を取り付けるところまでDIYが基本である。
「皆さん自分でやるつもりで購入していくので、実際、設置をお願いされることはほとんどないんですよ。メーカーのマニュアルもあるので、多少DIYの経験がある人なら問題なく設置できると思います」
快適に薪ストーブを使うには、燃料となる薪と定期的なメンテナンスも重要だと田中さんはアドバイスする。
伐採したばかりの水分を含んだ薪は温度が上がらないばかりか、煤(すす)が出やすく煙突が詰まる原因にもなるので、必ず乾いた薪を使うこと。煙突掃除は毎年必ず行うこと。特にホームセンターの薪ストーブは断熱性がほとんどないシングル煙突を使うことが多いので、排気が途中で冷えやすく、スムーズに抜けにくい。煙突を詰まらせないことは排気をよくするのはもちろん、安全性の面でも重要なのだ。定期的なメンテナンスは薪ストーブを長持ちさせる秘けつでもある。
煙突
スムーズに排気させるには4m以上の長さが必要。外壁から20㎝以上、軒先から15㎝以上の距離をとり、煙突トップは屋根より高い位置にする。
煙突支持金具
煙突を壁や屋根に固定するための金具。脚の長さや開きを調節できるものが便利。
メガネ石
煙突を壁出しする場合に用いるケイ酸カルシウムでできた不燃材。壁の厚さ以上のものを使用する。
壁の貫通
煙突は真っすぐ伸ばすのが理想だが、屋根を貫通させる場合は雨仕舞いを考慮しなくてはいけない。そのためDIYでは壁出しするのが一般的。筋交いなどの重要な構造材を切断しない位置に開けること。
炉壁
壁との間に3㎝以上の空気層を設け、不燃材で壁を立ち上げる。炉壁と薪ストーブの距離は30㎝以上。ただし薪ストーブが壁から1m以上離れていれば炉壁を設ける必要はない。
炉台
薪ストーブの脚の長さが15㎝以上なら厚さ5. 8㎝以上の不燃材(レンガなど)を敷く。脚の長さが5㎝以上15㎝未満の場合は、10.2㎝以上の不燃材を敷く。炉台の広さは本体の前後左右が50㎝以上あると安心。
薪ストーブで暖かい家を実現する5つのコツ
●煙突の横引きは短く
煙突を壁出しする場合の横引きはなるべく少なく、また短くする。横引きが長いと上昇気流が発生しにくくなり、煙の逆流が起こることも。横引きは1.5m以下とし、その先の煙突は横引きの1.5倍以上の長さにすること。
●手軽なファンの活用
薪ストーブで暖められた空気は天井付近に集まりやすい。暖気を部屋の隅々まで行き渡らせるにはファンの利用が有効。天井にシーリングファンを付けるのもよいが、薪ストーブの熱で回転する小型のファンが手軽。薪ストーブの天板に置いて使用する。
●設置場所と部屋の断熱
部屋の中心に設置すれば四方に輻射熱が広がるが、煙突を壁出しする場合は難しいので壁際に設置することになる。ただ、その場合も部屋の隅より、左右にスペースがある壁の中央のほうが暖気は広がりやすい。暖気が逃げる隙間をなくし、部屋をしっかり断熱することが重要。
●煙突を掃除してきれいにしておく
シーズン終了後は必ず煙突を掃除して、煤をきれいに取り除く。煤がたまったまま薪ストーブを焚くと、さらに煤が付着して、どんどん排気が悪くなる。1シーズン分の煤なら金属のブラシを3〜4回往復させるだけできれいになる。これだけで燃え方がグッとよくなる。安全面のうえでも必須。
●乾いた薪を使い適正温度で焚く
水分を含んだ薪は、その水分を蒸発させるためにエネルギーを消費してしまうので熱量が上がらないし、煤も出やすい。理想の薪は雨の当たらない場所で1年以上乾燥させた含水率20%以下の広葉樹。天板に置いた薪ストーブ用の温度計で200〜300℃を維持して焚く。
文・イラスト/和田義弥 写真/鈴木千佳、和田義弥
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