掲載:2022年8月号
種を密蒔きして発芽させ、どんどん間引いて根を太らせる
ニンジンの原産地は雨が少なく雪解け水が豊富な中央アジアの山麓。雨期に発芽して根を深く張り、乾期に備えて根を発達させます。種蒔きのベストシーズンは7月の梅雨明け前。本葉2枚目までは密植で湿り気を保ち、その後は間隔を広げて乾き気味にしていきます。メリハリを利かせて育てましょう。ニンジンと同じ好光性種子のシュンギクやルッコラ、ゴボウも、同様に育てられます。
1 土づくり
初めての菜園では畝を準備。未熟な有機物は又根の原因に
水はけのよい畑でよく育ちます。専用の畝をつくって連作すると育てやすく、ニンジンの肌がきれいになります。
初めて畑にする場所などでは畝全体の準備を。前作の野菜が育った畑では必要ありません。土中に未熟な有機物があると、ニンジンが二又、三又になります。準備は必ず1カ月前までにすませて、有機物が分解してから種を蒔いてください。
2 準備
コンパニオンプランツを畝の両側に育てておく
7月蒔きでは、畝に前もってコンパニオンプランツのカブやエダマメを育てて、病虫害を忌避しましょう。
3 種蒔き
①5mm間隔で種を蒔き、種の2倍の厚さに覆土
ニンジンは発芽が揃いにくい野菜です。種蒔きには次の3つのポイントがあります。
1.種蒔き時期
発芽までの日数は15~20℃で8~10日。35℃以上ではほとんど発芽しません。また、種蒔きしてから約50日目、根の肥大が始まる本葉7枚のときに、平均気温20℃の環境を好みます。適温に合った夏蒔きの時期は梅雨明け前です。
一方、春は気温10℃で発芽まで14日。5℃では発芽に30日以上かかり、発芽率と発芽揃いが悪くなります。露地では平均気温が10℃になるサクラの満開を待って種蒔きしてください。
2.密蒔き
発芽のときはお互いに協力して根を張らせる必要があり、種は5mm間隔の密蒔きにします。
3.覆土して保湿
ニンジンは好光性種子で覆土が厚すぎると発芽できません。反対に覆土が薄すぎると、種が乾きやすいため発芽しにくくなります。種の厚さは薄いですが、種の厚さの2倍を目安に、ていねいに覆土してください。
②しっかり鎮圧して発芽促進 春はもみ殻燻炭、夏はもみ殻マルチ
種蒔き覆土したら、しっかりと鎮圧して土の水分を種に移し、発芽を促します。ふかふかの土のままではうまく発芽しません。
乾燥を防ぐため、鎮圧後、さらにもみ殻をかけてマルチしましょう。地温の上がりすぎも防止できます。地温を高めたい春蒔きには、もみ殻燻炭でマルチします。水やりせず、しっかりと鎮圧してマルチで保湿することは、発芽を揃えるコツです。
4 お世話
①種蒔き後40日間は週1で水やり
ニンジンは種蒔き後40日間の生育初期に湿り気が必要です。雨がなければ週に1度、夕方にたっぷりと水やりしてください。また、この間に1~2回、条間の草マルチの上からうっすらと米ぬかを補います。
②間引きは本葉2枚になってから
株元の湿り気を保つため、本葉2枚になるまで間引きはしません。出てきた草は早めに除いてください。
本葉2~3枚以降、本葉6枚ごろまでに数回の間引きをします。この間の間引きは生長を促すために欠かせません。土が乾かないよう、一度に間引かず、徐々に間隔を広げるのがコツ。間引いた葉は葉ニンジンとして食べられます。
5 収穫
本葉7枚以降は乾燥を好む 大きくなったものから順次収穫
本葉7枚まで育ったらニンジンは肥大期に入ります。この時期からは乾燥を好むので、水やりなどのお世話はしません。
大きくなったものから順次間引き収穫するのがポイントです。混み合ったままではニンジンが太く育ちません。最終株間は3寸ニンジンで9cm、4寸で12cm、5寸で15cmです。
生え際の土をほじって、ニンジンの頭の直径が2~3cmになっていれば完成。ここまで、3寸ニンジンは種蒔き後100日ほど、4~5寸ニンジンは110~130日ほどです。まだ太るのではと穫らずにおくと、ニンジンが割れてしまいます。その前までに収穫してください。
監修/竹内孝功
たけうち・あつのり●1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『自然菜園で育てる健康野菜ゼロから始める無農薬栽培』『完全版 自給自足の自然菜園12カ月野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』(宝島社)、最新刊『苗で決まる!自然菜園』(農文協)ほか多数。
WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/
文・写真/新田穂高 イラスト/関上絵美・晴香
この記事のタグ
田舎暮らしの記事をシェアする