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田舎暮らしの本 5月号

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田舎暮らしの本 5月号

3月1日(金)
890円(税込)

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中長ナス/自然菜園のスゴ技【第2回】

掲載:2022年5月号

ネギクラツキで土づくり こまめな収穫で秋まで楽しむ

品種の多いナスのうち、苗がどこでも手に入る中長ナスは、さまざまな料理に向き、初めての栽培にもぴったり。植え付け予定地に堆肥を入れるネギクラツキを準備し、支柱を立てて誘引、早めにどんどん収穫するのがコツです。なりはじめのフレッシュなナスから、味わい濃厚な秋ナスまで、たっぷり長く楽しめます。

1 土作り

①初めての菜園には畝を準備 日当たりよく肥沃な畑を好む

 ナスは降霜のない熱帯地域では多年草。温帯地域では霜を避けて定植し、降霜前まで収穫できます。河川の氾濫でできた肥沃な土地が原産。日当たりがよく水分の多い肥えた畝を好み、高温で夕立が多い年は豊作になります。

 初めて畑にする場所などでは定植の1カ月前に畝全体の準備をしましょう。前年に野菜がよく育った畑では必要ありません。

②定植1カ月前にネギクラツキ 微生物の働きで土を肥沃に

 肥沃な土を好むナスには、定植予定地に1カ月前に完熟堆肥を埋めてネギを植えるネギクラツキをするのが1つ目のコツです。完熟堆肥に集まる微生物と、ネギの根から出る有機酸の働きで土が肥沃になるうえ、病気も予防でき、ナスがよく育ちます。

※腐植とは、有機物が微生物によって分解され、土壌の一部になったもの。団粒化とは、土の粒子が小さな塊をつくること。水持ちと水はけがよくなり、野菜がよく育つ。

2 準備

①植え付け前にしっかりと支柱を垂直に立てる

 しっかりとした支柱に誘引し、枝を垂直に伸ばすのが2つ目のコツです。植物ホルモンが活発に働いてよく育ちます。根を傷めないよう、支柱は定植の前に立ててください。

ネギクラツキのすぐ北側に、深さ20~30cmまで垂直に挿し込む。その後に植える苗には支柱の影が落ちず、日がよく当たる

②苗には植え付け前日に水やり 当日は3時間前から底面吸水

 苗には前日の夕方にたっぷり水やりし、定植3時間前からは、ポットの底をストチュウ水※に浸して底面吸水させましょう。こうして苗に充分な水を蓄えさせたうえ、定植後3日間は水やりせずにおくと根がよく伸びます。

※ストチュウ水 酢・木酢液・焼酎を1:1:1に混ぜたストチュウ原液をペットボトルにつくり置き、300倍以上に薄めて使う。7Lのジョウロの水には、ペットボトルキャップ(約7mL)3杯分の原液を混ぜる。

底面吸水は深さ3cmほどにストチュウ水を張り、苗のポットを浸す

3 植え付け

遅霜の季節が過ぎてから、ネギクラツキに植え付ける

 苗は霜に弱いので、定植は遅霜の時期が過ぎてから。最低気温15°C以上、フジの花が満開、小麦が出穂するころです。

4 お世話

①初期は株元を空けて地温を上げ、盛夏は全面草マルチで乾燥防止

 草に負けないよう、ナスの葉先から15cm圏内にある草は地際から刈ります。刈った草は株元を避けて敷いてください。ナスは高温を好むので、土に日を当て、地温を上げて育てます。

 梅雨明けごろからは、夏の乾燥を防ぐため、株元を含め畝全面に草マルチを重ねて覆っていきます。畝や通路の草は15cm残して刈ると繰り返し刈れます。

②真ん中の支柱にまとめて垂直に誘引 枝の揺れを防いで収量アップ

 ナスは支柱に誘引して揺れを抑えると、よい実がどんどんなります。植え付け後は生育に合わせて、早め早めに繰り返し誘引してください。枝が揺れると実付きが悪くなるうえ、実がこすれて傷つきかたくなってしまいます。

③一番花が咲いたら芽欠き 花より上のわき芽は伸ばす

 一番花が咲いたら、花のすぐ下のわき芽を残し、それより下のわき芽はすべて欠き取ります。花より上に出るわき芽は欠かずに伸ばし、支柱に誘引してください。

5 収穫

①最初の実は親指大以下で除き、 茎葉をしっかり育てる

 果菜類は実を付けると養分が実に向かい、茎葉と根の生長が弱まります。実のなり始めは、茎葉の生長が不十分なため、早めに実を穫って、まずは樹そのものを育てるのがコツです。最初の実は親指以下の大きさで除いてください。

②早めにどんどん収穫すると秋まで長く実を付ける

 実は市販のものより大きくせずに穫ります。収穫はいちばんのお世話。早めにどんどん穫るほど株が疲れず、長期間にわたってたくさん実が付きます。なり始めの1カ月ほどは特に注意して早穫りに徹しましょう。

6 補い

収穫開始後は週1で水やり 米ぬか・油かすを一握り

 ナスは水分豊富で肥沃な畑でよく育ちます。最初の実を穫ってからは、雨がなければ週に1回、たっぷり水やりしてください。日中を避けて朝か夕方に、3株に対してバケツ1杯分(10L)×3回。ストチュウ水を使うと効果的です。また、米ぬかと油かすを半々に混ぜて1株に一握り、草マルチの上から撒きます。

 

監修/竹内孝功

たけうち・あつのり1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『自然菜園で育てる健康野菜ゼロから始める無農薬栽培』『完全版自給自足の自然菜園12カ月野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』(宝島社)、『これならできる!自然菜園』(農文協)ほか多数。

WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/

自然菜園スクール http://www.shizensaien.net/

 

文・写真/新田穂高 イラスト/関上絵美・晴香

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