掲載:2022年9月号
1円玉の間隔で種を蒔き、本葉1~2枚までは集団で育てる
中央アジアから地中海沿岸が原産地、弥生時代には日本に伝わったカブ。発達した根で水分、養分を吸収して育ちます。特に小カブは比較的畑を選ばず、葉もおいしく、初めての菜園にも向いています。コツはぴったり1円玉の間隔(2㎝)で種を蒔くこと。雨がなければ水やりして育てましょう。コマツナ、カラシナ、ターツァイは同じように種蒔きできる仲間です。
1 土づくり
初めての菜園では畝を準備。夏野菜やネギの後の肥沃地が最適
水はけよく水持ちのよい畑を好み、水が溜まる畝では根腐れを起こします。肥料過多や未熟な有機物は虫害を増やし、カブの肌荒れの原因に。もともと肥沃な畑に無肥料で育てるのがよく、夏野菜やネギを育てた後地なら、何も入れずにそのまま種を蒔きます。
初めて畑にする場所などでの畝全体の準備は必ず1カ月前までに済ませてください。
2 準備
蒔き床は1カ月~2週間前に耕し種蒔き直前に再度耕す
蒔き床の草の生育を抑え、コオロギやナメクジの害を減らすため、カブの予定地は種蒔きの1カ月~2週間前に一度耕しておきます。さらに種蒔き直前にもう一度耕してください。こうして有機物をしっかり分解させ、土化させましょう。
3 種蒔き
① 種蒔きは1円玉の間隔で
カブは種蒔きから3日で発芽し、初期生育が早いです。混み過ぎると根が太らないため、種を密蒔きし過ぎないようにします。とはいえ、お互い協力して根を張るため、間隔が開き過ぎると発芽が悪くなります。また、間に草も生えやすいです。
ほどよい種蒔きの間隔は2cm。1円玉の直径が目安です。2cm間隔なら発芽と根張りがよく、本葉2枚まで間引きが不要です。
②5mmほど覆土してしっかり鎮圧
種を蒔いたら種の厚さの2倍、5mmほどの厚さに土をかけ、しっかりと鎮圧してください。覆土で保湿され、鎮圧で種に水分が移り、水を撒くことなく発芽が促されます。
4 お世話
①間引き開始は本葉2~3枚で
2cm間隔に種蒔きした後、本葉2~3枚に育ったら最初の間引きをします。4cmほどの間隔にしてください。
②2度目の間引きは収穫を兼ねて
本葉5~6枚で2度目の間引きを。葉カブや小カブ、中カブは大きいものから抜き取り、7~8cmの間隔にします。大カブは小さいものを抜き、10~12cmほどの間隔にしてください。
③大カブは3度目の間引きで最終株間に
本葉6~8枚で3度目の間引きを。葉カブ、小カブ、中カブは大きいものから間引き収穫し、外葉がちょっと触れ合うほどに保ちます。
大カブは本葉6~8枚で、よく育ったものを残し、最終株間20cm、聖護院大蕪では25cmに仕上げてください。こうすると株元が適度に乾燥して根の肥大が促されます。すじばってきた間引き菜はその場に敷いて草マルチにしましょう。
④水やりは小カブは前半、大カブは後半
カブは葉の生育、根の太りともに水分を必要とします。1週間以上雨がなければ、ストチュウ水※でたっぷりと水やりしてください。
水やりの期間は小カブ、中カブは生育前半の間引きのころ。穫り遅れて水分が多いと割れやすいため、後半は控えます。大カブは根を太らせるため、最終間引き後の水やりが効果的です。
※ストチュウ水 酢・木酢液・焼酎を1:1:1に混ぜたストチュウ原液をペットボトルにつくり置き、300倍以上に薄めて使う。7Lのジョウロの水には、ペットボトルキャップ(約7mL)3杯分の原液を混ぜる。
5 収穫
①小カブ、中カブは大きくなったものから穫る
小カブ、中カブは大きくなったものから間引き収穫します。穫り遅れや大雨はカブが割れる原因になります。
②大カブは完成したら早めに収穫
大カブは肥大しきったタイミングで穫ります。適期に穫ったカブは水に沈みますが、穫り遅れるとスが入ってしまい、水に浮きます。
監修/竹内孝功
たけうち・あつのり●1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『自然菜園で育てる健康野菜ゼロから始める無農薬栽培』『完全版 自給自足の自然菜園12カ月野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』(宝島社)、最新刊『苗で決まる!自然菜園』(農文協)ほか多数。
WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/
文・写真/新田穂高 イラスト/関上絵美・晴香
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