田舎暮らしの本 Web

  • 田舎暮らしの本 公式Facebookはこちら
  • 田舎暮らしの本 メールマガジン 登録はこちらから
  • 田舎暮らしの本 公式Instagramはこちら

最新号のご案内

田舎暮らしの本 1月号

12月2日(金)
850円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

大人気移住地の「暮らし心地」は? 子育て家族、シニア、いろんな移住者に聞いてみた【北海道上士幌町】

ふるさと納税の寄付金を子育て支援に充て、人口増加を実現した町として知られる上士幌町(かみしほろちょう)。移住者は若者からシニアまで幅広い世代にわたる。町の魅力は十勝の自然と、ここに集って暮らす人同士のつながりにあった。

掲載:2022年9月号

北海道上士幌町
酪農・畜産が盛んな十勝の大地から、北には大雪山国立公園に続く人口約5000人の町。平均気温は、1月-7.7℃、8月18.9℃。熱気球が集う「北海道バルーンフェスティバル」は来年で50回目を迎える。帯広から国道241号で約39km、根室本線帯広駅からバスで約1時間10分。

町内の多くの高校生が利用する帯広駅方面へのバスが発着する上士幌交通ターミナル。

上士幌町のふるさと納税は、乳製品、肉類をはじめ、町内産農産物の返礼品で人気を集める。

 

【移住者リポート①】子育ても仕事も地域が応援してくれる

町のみんなに見守られながら、仲よく暮らす瀬野さん家族。右から、朝日(あさひ)くん(8歳)、航(わたる)さん(37歳)、滉太(こうた)くん(5カ月)、祥子(しょうこ)さん(38歳)、日南子(ひなこ)ちゃん(6歳)。
瀬野さん家族
航さんは都内で服飾関連の会社に勤務の後、2016年、上士幌町に家族で移住。2018年、夫妻でデザイン会社「ワンズプロダクツ」を起業。布ものだけでなく、紙媒体やパッケージなども手がける。

先輩移住者、北上さん(後述)の紹介で求めた空き家に、2020年12月、町営住宅から転居。

 瀬野航さんと祥子さんは、服飾専門学校の同級生だった。

「北海道の平屋の家が好きなんだ。いつか住めたらいいな」

 航さんが言ったのは、2人で北海道を旅行したときのこと。長男の朝日くんが生まれると、

「虫を捕まえられる子になってほしいな」

「家族揃って毎日ご飯が食べられたらいいね」

 と、理想の暮らしを夫婦で話して移住を決意。その思いを勤務先の社長に相談し、1年後に仕事を辞めることになった。

「といっても、職も家も、どこに移住するかさえ決まっていませんでした。最初は1日1つの町と決めて、インターネットで候補地を調べたんです」

 上士幌町との出合いは都内で開かれた移住フェア。子どもを抱いて会場を回る2人は、町のスタッフに声をかけられた。

「町が子育てに力を入れ、『こども園』も建設中でした」

 上士幌町ではふるさと納税の寄付金を子育て支援に充て、こども園は利用料・給食費無料、医療費は高校まで無料になる。

「『憧れ』の北海道暮らしから、『現実』をイメージしたのはこのときです。Googleのストリートビューを見ると町には新しい家が多く、広々として明るい印象だったのもよかったです」

 その後、航さんが町を訪れて、最初の住まいとなった町営住宅をはじめ各施設を案内してもらい、上士幌町への移住を決定。

「実際に住んでみると、ここでは子育てを周りの皆さんが応援してくれます。お隣のおばあちゃんが仲よくしてくださったり、子どもたちの面倒を見てくださったり。上士幌町でわが家の子どもは3人に増えました。周りの家も3人、4人と子どもが多いんですよ」

 瀬野さん家族を訪ねた火曜日の夕方。朝日くんは水泳教室で小学校の屋内プールに出かけた。

「町では子ども向けのいろいろな企画に無料で参加できます」

 移住当初、航さんは林業の仕事に従事。朝日くんが3歳、日南子ちゃんが1歳になると、祥子さんは9時から15時まで町内のコンビニでパートを始めた。

「新しくできた上士幌町の認定こども園には短時間保育もあります。毎日給食付きです」

「クワガタ。いいでしょう!すぐそこの林で捕まえたよ」(朝日くん)。

 起業したのは移住から2年後。きっかけは航さんの林業の先輩がはいていた作業パンツだった。同じ生地でサコッシュをつくりたいと、車で1時間ほどの製造元を訪ねた。興味を持ってもらい、さらにキャンプ用のチノパンツなども企画。立ち上げたデザイン会社「ワンズプロダクツ」は、週2日の営業からスタートして徐々に仕事を広げていき、今では2人ともほかの仕事を辞めて専業となっている。

「布ものから始まって、タオルやTシャツのデザイン、マップやチラシなどの紙媒体と、いろいろなお仕事をいただくようになりました。製品を見て『うちのもできないか』と声をかけてくださる方が多いです。おかげさまで私たちにできることが増えました。地域の人とのつながりに、育てていただいています」

仕事場は住居内の一室。子どもたちも一緒に勉強。

ワンズプロダクツが手がけた制作物。独自のデザインセンスと誠実な仕事で依頼を増やす。

地域で活躍する同世代の仲間が協力し、刺激しあって新たな仕事に取り組んでいる。

家から徒歩3分ほどの公園で。子どもは冷たい水のなかを駆け回る。

上士幌町移住支援情報
家具付き賃貸住宅で生活体験できる。子育て世帯の移住者に住宅支援も

 移住、二地域居住を検討する人に、家具・家電付き賃貸住宅を1週間~1カ月の短期体験用4棟(7万5000~12万円/月)、1カ月から1年の長期体験用6棟(3万8400円~/月)を用意。移住後は、子育て世帯を対象にした「子育て世帯支援住宅」という町営住宅もある。また、中古物件購入では中学生以下1人当たり50万円、新築は中学生以下1人当たり100万円の助成が受けられる。

お問い合わせ:NPO法人「上士幌コンシェルジュ」 ☎︎01564-2-3993 www.ijyuu.com

生活体験モニターが利用する賃貸住宅は、2回まで利用可能。

「生活体験で人と接して、この町を肌で感じてください」と、上士幌コンシェルジュの2人。川村昌代さん(右)は地元出身で、関西で暮らした後にUターン。井田純子さんは静岡県から移住。

広い園庭がある認定こども園。丸太の一本橋やじゃぶじゃぶ池、綱はしごなど、五感を使った遊びができる。

小学校は30人以下の少人数制、各学年1~2クラス。外国語、理科、体育、図工は専科の先生が担当。

 

次のページでは、移住者リポート②と上士幌町の移住者や住民が集まったミニ交流会「上士幌町のここが好き!」をお届けします。

12

この記事をシェアする

関連記事

この記事のタグ