北海道には、ユニークで活力あふれるまちが多い。人口が増加しているまち、子育て満足度日本一を目指すまち、保育園留学に応募が殺到したまち、お店の開業ラッシュのまちなど、注目を集めている北海道の自治体を紹介する。北海道移住の参考にしてほしい。
掲載:2022年9月号
この27年で人口は約22%増加。ちょうどいい「適疎」の町づくり
東川町(ひがしかわちょう)
「写真の町」東川町は、北海道のほぼ中央に位置し、人口約8500人。町全域に上水道の整備がなく、大雪⼭の雪解け水が濾過された地下水を使用。1994年から2020年で人口は約22%増え、子どもは1.6倍増と、移住者が多いことで注目が集まるが、「適疎(てきそ)」という言葉をキーワードに「過疎」でも「過密」でもない、ちょうどいい人や物との空間を大切にする町づくりを進める。町の好きな事業に寄付する「ひがしかわ株主制度」の株主が町を訪れたり、夏に開催される「写真甲子園」には多くの高校生が参加する。こうした取り組みで住民以外のファンも増加中だ。
【移住支援】
町では、誕生した子どもに、町内の工房で製作された椅子をプレゼント。今年はさらにスタイやブランケットなどが入ったkippis「子育てボックス」も贈られる。幼保一元化施設「ももんがの家」、東川小学校、周辺にはサッカー場や野球場、体験農園、果樹園などを整備。また、基準を満たす住宅新築に対する補助のほか、転入世帯に東川産「ななつぼし」5㎏や、住宅を建築した世帯に苗木をプレゼントするなどの支援もある。
【アクセス】
・旭川空港から車で約10分
・旭川市内、東川町中心部、旭岳温泉を巡るシャトルバスあり
お問い合わせ:東川町税務定住課住まい室 ☎︎0166-82-2111
https://higashikawa-town.jp/settledown
住民が主体のワクワクする町づくりで多くの人が集まる
下川町(しもかわちょう)
北海道の中央部よりやや北に位置する下川町は、人口約3100人。約8割の人が半径1km圏内に暮らすコンパクトタウン。森林総合産業の構築、エネルギー自給、高齢化社会への対応の3つを柱とした町づくりを行っている。町民が主体となった活動が特徴で、冬の風物詩である「アイスキャンドルミュージアム」は、人口が減少するなか「下川の寒さを逆手にとって何かできないか」という町民有志のワクワクした気持ちから始まった。ほかにも、町民交流会が定期的に開催されるなど、人と人とのつながりがつくりやすいのも魅力となっている。この夏、「ワクワクする事業」で起業を目指す地域おこし協力隊も募集中。
【移住支援】
下川町移住サポートデスクには、専任の担当者が常駐し、ワンストップで対応するほか、仕事と求人のマッチングサイト「下川人材バンク」でスムーズに仕事探しもできる。新築住宅への補助や中古住宅の取得・改修への補助など住宅支援も手厚い(条件あり)。また、森林バイオマスによりコスト削減した金額の一部は、認定こども園保育料の引き下げや給食費助成など、子育て環境の整備に使っている。
【アクセス】
・旭川空港から車で約2時間
・名寄駅から下川バスターミナルまでバスで約30分
お問い合わせ:下川町タウンプロモーション推進部 ☎01655-4-3511
https://shimokawa-life.info
元気な沼田っ子のために毎日全力! 目指すは「子育て満足度日本一」
沼田町(ぬまたちょう)
石狩沼田駅を中心に半径500mの範囲に主要な施設が揃う沼田町。小・中学校やこども園、スーパーや病院などに歩いて行けるコンパクトな町づくりで、子どもからお年寄りまで安心して暮らせる環境が魅力だ。今、沼田町が目指しているのが「子育て満足度日本一」。「子どもたちのために大人が頑張ろう!」という思いが町全体に浸透しており、そんな子育てしやすい環境と、多彩な施策が功を奏し、移住者の大半を若者と子育て世代が占めるという。教育面では、1学年1クラスの小中一貫校「沼田学園」を2018年に設立。合同運動会や田植え、夜高あんどん祭りへの参加など、町独自の体験授業などにも取り組んでいる。
【移住支援】
小・中学生までの子育て世帯には町のブランド米「雪中米」の新米60kg(1俵)を進呈。ほかに、妊婦一般健診等全額助成、沼田町認定こども園保育料無償化、高校生までの医療費無料、町外の高校へ通学する生徒の保護者に「がんばる高校生応援手当」(月1万円)などの子育て支援を用意。住まい、就職、就農などへの支援も充実しており、きめ細かいサポートで子どもからシニア世代までをフォローする。
【アクセス】
・札幌市から道央自動車道利用で約1時間30分
・札幌駅から函館本線、留萌本線で石狩沼田駅まで約1時間20分
お問い合わせ:沼田町住民生活課移住定住応援室 ☎︎0164-35-2115
https://teiju.com
移住体験時に認定こども園に通う「保育園留学」に130件を超える応募が
厚沢部町(あっさぶちょう)
厚沢部町は、北海道の道南に位置する人口約3500人の小さなまち。寒暖差が少なく、北海道のなかでは比較的過ごしやすい。大正14年に町内の北海道庁桧山農事試作場で初めてメークインが試作されたメークイン発祥の地。注目を集めているのが「保育園留学」。移住体験での滞在やワーケーション滞在などの際に、1~3週間ほど子どもが認定こども園「はぜる」に入園できる制度だ。首都圏などの親子に好評で2021年11月の開始以来、130件以上もの申し込みがあり、キャンセル待ちの状態。現在ある滞在施設住宅6戸を、今後は空き家を活用して増やす予定だという。
【移住支援】
電化製品、家具などの⽣活備品がひと通り揃った体験施設「ちょっと暮らし住宅」が6戸あり、移住希望者やワーケーション希望者に貸し出している。そのほか行政の支援として、出産祝い金や保育料の無償化、子どもの医療費助成、小・中学校の給食費の助成などの子育て支援、住宅建築助成などの住宅支援、入浴サービスや除雪サービスなどの高齢者支援のほか、新規就農や農業への支援も手厚い。
【アクセス】
・函館空港から車で約1時間
・北海道新幹線新函館北斗駅から車で約40分
お問い合わせ:素敵な過疎づくり㈱ ☎0139-64-2022
https://www.sutekinakaso.com/
⇒「北海道注目のまち②」の記事も、ぜひご覧ください。
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