岡山県内で岡山市、倉敷市に次ぐ都市として生活インフラや歴史文化、自然環境がバランスよく調和した津山市。2022年9月にこのまちに移住したのは、自然災害の少ないところに住みたいと願う西村さん家族。家も仕事も幼稚園もスムーズに決まり、家族で楽しく過ごす日常が始まっていた。
掲載:2023年1月号
家も仕事も幼稚園も、移住前に決められた
西村あゆみさん(48歳)一家が津山市に移住したのは2022年9月のこと。福島県郡山市(こおりやまし)で暮らしてきたあゆみさんは、同じ職場で出会った速人(やはと)さん(32歳)と結婚。薬剤師の速人さんの転勤で、山形県への引っ越し準備をしていた20年2月、大きな地震に見舞われた。
東日本大震災を経験していたあゆみさんは、このまま東北を拠点に子どもを育てながら暮らしていくことに不安を抱き、家族で移住を検討しはじめた。
「日本地図を広げて、活断層がなく、原発が近くにない場所を探して、候補に挙がったのが岡山県でした」
医療や子育て環境のよさはもちろん、青森出身の速人さんにとってはできるだけ雪が降らないというのも条件の1つだった。速人さんは岡山県に本社を置く会社に転職できたものの、最初の1年だけは滋賀県近江八幡市(おうみはちまんし)勤務になり、家族で近江八幡市へ。あゆみさんはこの間に、さらに移住情報などを集めた。
「近江八幡市では、保育園に子どもを預けることができなかったので、働きに出られませんでした。郡山や山形、滋賀での暮らしを通し、土地ごとに味や文化など細かな違いがあることを知ることができてよかったです」と、あゆみさんは振り返る。
その後、速人さんの勤務地が岡山県美作市(みまさかし)に決まると、移住先は候補の1つだった津山市に。
「自然があって、不便すぎないところがいいなと。夫の勤務先が岡山県北部だったら津山市にしようと思っていました」
移住地を検討しているときに、津山市のIJUコンシェルジュの石坂めぐみさんがZoomなどでていねいに対応してくれたり、移住に関する資料を送ってくれたりと、あゆみさんが求めている情報が素早く的確に得られたのも決め手となった。
自宅のマンションは不動産情報サイトで見つけた。速人さんの通勤時間は車で30分ほど。引っ越しのたびにものを減らしてきた西村さん家族は、ものを増やさないために広い家に住まないというのが鉄則だという。
子どもが通う幼稚園やプールも、いくつか選択肢があるなかから選ぶことができた。「家にいるよりも働いているほうがいいです」と言うあゆみさんも派遣の仕事に登録して、移住してから1カ月もしないうちに市内で働きはじめた。
家も幼稚園も仕事も、ほとんどのことを移住前に決めることができ、新しい生活は順調にスタートした。
「いまは、もともと住んでいた郡山市と変わらない暮らしができてうれしいです。不便さも感じないし、津山市は不思議となじみやすくて。自然災害の心配も軽減され、安心して暮らせそうです」
旅行好きの西村さん家族がこれからしたいことは、全国を旅すること。拠点が変わったことで西日本の旅がしやすくなり、休日にはすでに鳥取や兵庫へ遊びに出かけた。平日は自宅と幼稚園と職場の往復で、まだ津山市のことはよく知らないそうだが、これからが楽しみだ。
西村さん夫妻にお聞きしました!
Q 移住前後で大きく変わったこと
津山市は待機児童ゼロで、移住後すぐに幼稚園に入ることができ、仕事に復帰できました。安心して働ける環境があるのはありがたいです。(あゆみさん)
Q 移住して驚いたこと
道路に緑色で大きく書かれた「★合図」。ウインカー点灯を促す路面標識らしいのですが、運転していると合図を出すのが遅い人が少し多いかなと感じます。(速人さん)
Qこれから移住する読者にアドバイス
移住は人生の決断と重く考えず、もっと気軽に住む環境を変えてみてもいいと思います。ほかに住んでみたい場所が見つかったら、再び移住すればいいぐらいの気持ちで挑戦してみては。(あゆみさん)
津山市移住支援情報
“ちょうどええ”暮らしがかなう城下町。お試し住宅で暮らし体験も
保育園、幼稚園から高校、高等専門学校、大学まで教育環境が充実している津山市。高度医療機器を備えた救命救急センターもあり、医療体制も整っている。そんな“ちょうどええ”暮らしがかなう城下町が、津山市だ。移住、定住、就農支援なども手厚く、家具・家電付きのお試し住宅「トライアルステイ」で暮らし体験もできる。
問い合わせ:津山ぐらし移住サポートセンター ☎︎0868-24-3787
https://life-tsuyama.jp
文/田中泰子 写真/木下清隆
この記事のタグ
田舎暮らしの記事をシェアする