カッパや座敷童子などの民話が伝承されている「民話の里」岩手県遠野市(とおのし)。市内各地に柳田國男の『遠野物語』の舞台となった場所が数多くあり、人と妖怪が同居していたと思わせる雰囲気を感じることができる。馬事文化の歴史は古く、馬とともに暮らすL字型をした家屋「曲り家(まがりや)」が今もなお残っている。今回、紹介する物件もその伝統的な曲り家だ。また現在も市内で馬の生産が行われ、本州で唯一の乗用馬市場が開催されている。
遠野市の中心市街から数㎞離れたところにあるのが、人びとを驚かせたという伝説が残る「カッパ淵」。常堅寺という寺の脇を流れる小川で、夏になると、キュウリが結ばれた釣り竿が設置され、カッパの捕獲に挑戦できる。ただし、カッパを捕獲するためには遠野市観光協会で販売している「カッパ捕獲許可証」の購入が必要。
「道の駅 みやもり」の西側に架かるJR釜石線宮守川橋梁、通称めがね橋は、五連アーチが連なる美形の橋で、2020年に日本夜景遺産に認定されている。実際にSL銀河(蒸気機関車)が橋を渡る光景が人気だったが、2023年6月で運行が終了してしまう。また、プロポーズにふさわしいロマンティックなスポットとして「恋人の聖地」に選定されており、注目を集めている。
母屋と馬小屋を直角に連結した「曲り家」。遠野ふるさと村にある南部曲り家では、馬を大切に扱っていた遠野の生活を体験することができる。
カッパ淵まで400m。馬屋と母屋が直角につながる南部曲り家
物件は、馬屋と母屋が直角につながる伝統的な南部曲り家。遠野市の中心部の土淵町の田園地帯に立つ。土淵町は『遠野物語』の舞台になった話数が最も多く、カッパの生息地という伝説が残るカッパ淵は物件から徒歩圏。まさに、遠野物語の世界を体感できる。
ホームセンターやドラッグストア、大型スーパー、総合病院が立ち並ぶバイパスが5㎞以内にあり、生活がしやすい。保育園と小学校は1㎞以内、中学校は5㎞以内にある。1981年にリフォーム歴があるものの、壁、床、天井などの傷みが激しくて雨漏りが発生しているため、大幅な補修が必要。ボイラーも故障していて取り換えが必要となる。菜園スペースが約51坪あり、駐車スペースは5台ほど。
遠野市では、家の改修や取得に対して補助を用意している。
①リフォーム事業助成金:空き家バンクに登録されている物件を対象に、リフォーム工事費用の半額、または家財道具の整理の費用の半額を助成(補助の上限はリフォーム工事が40万円、家財道具整理が10万円。活用はどちらか一方のみ。市外からの移住者の方が対象)。
②木づかい事業費補助金:遠野市産木材を使用して行ったリフォーム工事に対して、2万5000円/㎥を補助。補助上限は100万円。
③空き家取得奨励金:県外からの移住者または39歳以下の若者が空き家バンクに登録されている物件を購入した場合に、30万円の奨励金を交付。
【物件データ】
岩手県遠野市
300万円
土地:233坪・772㎡
延床:67坪・224㎡
菜園:51坪・171㎡
取得費補助:最大30万円
改修費補助:最大40万円
処分費補助:最大10万円
●4K●宅地、雑種地、畑●平坦地●都市計画区域内非線引き●築121年●汲み取り式トイレ●釜石線遠野駅より約4.9㎞●市の中心部や国道に近く、生活しやすい立地。区画整理された田園地帯に立つ南部曲り家で、1981年にリフォーム歴あり。車で保育園、小・中学校、カッパ淵、コンビニ、ホームセンター、スーパーへ2〜7分、道の駅と高速道路ICへ約12分。
●問い合わせ先:で・くらす遠野 ☎0198-62-2111
玄関。お札が張られていて、この家を大事にしていた様子がうかがえる。
屋根が外壁から張り出している軒の裏側。雨どいは壊れていて、雨漏りしている。
居間と続き間。板戸などに築121年(明治35年築)という古民家の趣を感じる。床下の状態はチェックしたい。
納戸として使用されていた和室。
洋室の床や天井に大きな傷みがあるので、改修が必要だ。
廊下は、庭へと続く外廊下(上写真)と、部屋と部屋の間を通る内廊下(下写真)がある。天井や梁に古民家の名残りが見える。
ダイニングキッチンは改修しているが、床は傷みがある。
バスルームは壁面に破損があり、補修が必要。またボイラー設備の取り替えが必要となっている。
トイレは3つあるが、どれも汲み取り式。遠野市には浄化槽設置整備事業費補助金があるので、合併処理浄化槽を設置して対応したい。
母屋から直角に付属する馬屋。馬を大切にし、一緒に暮らす文化が南部曲り家となった。
【岩手県 遠野市の魅力】
移住の相談窓口「で・くらす遠野」を設置して、相談に対応
遠野市では、移住専門の相談窓口として「で・くらす遠野(観光交流課事務局)」を設置し、移住希望者の相談対応をはじめ、ポータルサイトでの情報発信や移住フェアへの参加などを行っている。
【荒川高原】
遠野三山早池峰山(はやちねさん)の南麓に広がる荒川高原は、国の重要文化的景観に登録されている。かつて、遠野の基幹産業だった馬産を支えてきた牧場で、今でも多くの馬が放牧されている。
【バケツジンギスカン】
遠野市では、みんなで集まったとき、空気穴を開けたバケツに南部鉄器の鍋を載せて焼く「バケツジンギスカン」がソウルフードとして根付いている。遠野のジンギスカンの特徴として、ほかの地域のように先に肉に味付けをせず、焼いた肉にタレを付けて食べる。
【遠野宮守わさび】
東北一の根わさびの産地・遠野市の宮守地区は「わさびの里」として知られ、「遠野宮守わさび」としてブランドを確立。達曽部川(たっそべがわ)の豊富な湧水でじっくり育った根わさびは、旨みが凝縮されており風味も辛味のバランスも格別だ。
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