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田舎暮らしの本 11月号

最新号のご案内

田舎暮らしの本 11月号

10月3日(木)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

週末通える町に見つけた、家族と仲間が憩う場所【茨城県大子町】

掲載:2023年5月号

都内に住んで仕事を持ちながら、セカンドハウス兼サテライトオフィスとして約150km離れた大子町の空き家を求めた和田真寛さん。木曜日の夜に移動して週末の3日間、大子町の広々した環境で仕事をこなし子どもと遊び、交流の輪を広げている。

 

庭とのつながりがよく、どっしりとした家。「田舎の家は平屋がよかったんです」と和田さん。

人口約1万5 0 0 0人、年平均気温12.6℃。八溝山系と阿武隈山系の麓に里山の集落が点在し、山村の自然と文化が色濃く残る。町内各所の温泉も魅力。三郷JCTより常磐自動車道那珂IC経由、国道118号で約2時間15分。

 

空き家バンクで物件探し
通って広がる地域の交流

「東京の住まいは商店街に近い下町です。暮らしはじめて6年になりますが、便利で住みやすく気に入っています。けれども敷地が狭いので、夫婦と娘2人の家族には少し窮屈。のびのび過ごせる場所がほしくなって、庭付きの家を探しました」

 と言う和真寛(わだまさのり)さん(37歳)は茨城県水市(みとし)出身。都内の不動産ベンチャー企業に勤務した後独立して起業、一級建築士としてリノベーションのコンサルティングなどを行っている。二地域居住の候補地に大子町を選んだのは、真寛さんも妻の沙理(さおり)さん(37歳)も、祖父母の家がこの町にあったから。

「町の空き家バンク制度を利用して物件をあたりました」

 探しはじめてしばらく後、ウエブサイトにアップされたのが、常陸大子駅から徒歩7〜8分、大子町の一等地といわれる閑静な場所に立ち、伝統的な木組みを持つ約40坪の平屋。

「サイトの文面からも『これはイチオシなんだろうな』と伝わってくるような物件で、すぐに連絡をとって見に行きました」

 約400坪の庭は草に覆われていたが、高台の庭から川を挟んだ正面には〝もみじ寺〞と呼ばれる紅葉の名所「永源寺(えいげんじ)」を望む絶好の立地。すぐに購入を決めた。価格は700万円。築後約30 年になるが、居住していた期間は短かったという建物を改装し、現在は庭や石蔵を和田さんがDIYで少しずつ整備している。

 通ってわかった大子町のよさは、人が優しいところだという。

「近所の方と気軽に話ができ、移住者も多いので溶け込みやすい地域です。役場も移住や二地域居住の後押しに熱心で、支援制度も利用できました」

 そして全国コンテストで金賞をとる実力のコシヒカリや、地元限定の樹上完熟リンゴなど、食べ物もおいしい。

「若い世代が動き出し、町内にはここ数年、おしゃれなカフェやレストランが増えています。私もここでのつながりを、もっと増やしていきたいですね」

仕事は広間のテーブルで。後ろにあるのは、ぜひともほしかった炎の見える薪ストーブ。

改装では天井板を外し、小屋組みを仰ぐ広い空間をつくった。

暇を見つけて少しずつ進めている薪づくり。

石蔵の横にはDIYでウッドデッキを設置。傾斜したところで水平を出すのが難しかったそう。

玄関の隣、南東角に出窓のあるスペースは無改装のまま。

石蔵の2階は仲間と楽しめるよう、DIYでサウナに改装中。

しっかりとつくられた大谷石の石蔵は母屋の西側に付属。

ちょっとした改装は楽しみも兼ねてDIYで。

広い庭での焚き火は、都会を離れた大子でやりたかったこと。

前日開かれた移住者の会合で知り合ったDIY仲間を早速訪ねて情報交換。

町を見下ろす十二所神社の参道「百段階段」はお気に入りの散歩道。

 

和田さんに聞く!
改修のポイント

 建物には一部雨漏りの跡もありましたが、許可を得て天井裏に入り確認すると、屋根のごく一部の補修で済むとわかりました。改装の狙いは開放感です。大がかりに見えますが、じつは建具を除いて2間続きにし、畳を床に張り替え、天井板を取り払って勾配天井にしただけ。キッチンの移設以外のコストは意外に低く、改装費の総額は600万~700万円です。

 

物件購入後の楽しみ

「都会の狭い家とは違い、ここでは子どもたちものびのび遊べます。夏は庭にプールを出したり、秋にはリンゴ狩りに出かけたり。東京の友人もよく訪ねてきます。みんなが必ずするのは薪割りですね。それから焚き火やバーベキュー。家族や友人と、この家はもちろん、大子町を一緒に楽しんでいきたいです」

近隣には家族で水遊びができるスポットもある。

大子町で知り合ったみんなが和田家のリビングに集まって乾杯!

 

和田さんのセカンドハウスでの過ごし方
ある日のスケジュール

 

文/新田穂高 写真/尾崎たまき 写真提供/大子町、和田真寛さん

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