【田舎暮らしの困ること】プロが回答！　山林と田んぼを買ったら、境界の杭がないと聞いてびっくり

田舎でのお悩みを、田舎暮らしのベテランライターが回答。山林や田んぼの境界の話。

約1町歩の山林に2反歩の田んぼが付いた売家を購入しました。引き渡しのときに境界を聞いたら、「売る山はあの木からあの木まで」という説明にびっくり。境界杭はないそうです。翌年、田んぼを整備して苗を手植えし、畦にエダマメを植えました。ところが、「あの畦はあなたの土地ではない」と憐の農家に言われました。田んぼの境界は、どのように見分けたらいいのでしょうか。
新潟県在住　花田さん●49歳

植林、山の境目や尾根、沢なども境界線に

　物件を引き渡す際、売主は買主に境界を明示しなければならない、という決まりがある。境界杭があればすぐわかるが、山林にはないことも多い。花田さんは「あの木からあの木まで」と説明を受けたが、境界に棒を立てたり、立木にぺンキを塗る方法が採られることもある。

　山林の境界を見分けるには、林相（木の種類や生え方による森林の様相）も手がかりになる。植林は境に1列か、境界を挟んでお互い1列の計2列にするなど、地域によってやり方が異なる。

　分水線や谷底線も境界になる。分水線とは、2つ以上の河川の流れを分かつ境界で、山地では尾根にある。谷底線はその逆で、谷・沢・川に引かれる。また、大木や大岩を境界とする場合もある。

ペンキと木の杭で国有林との境界を示している例。すべてが丈夫な杭とは限らない。

高低差で変わる田んぼの境界線

　田んぼの境界線は、下の図のようになる。花田さんがYで、隣にⅩさんの田んぼが高低差なく続くとしよう。もし、それぞれの田んぼが独立したものであれば、境界は畦の中央のDに設定される。ところが、XからYに落とし水が流れていたら、境界はCとなる。水を供給するには畦の占有が必要、という理由だ。

　次に、花田さんがYで、隣に一段高いZさんの田んぼがあるとしよう。この場合は、畦の傾斜角がポイント。αが15度以上ならばBに、15度未満ならのり面の中心のAに境界線が引かれる。緩い傾斜地を切り開いた棚田も同じで、のり尻（図のB）を境界とするのが通例だ。

　花田さんがXで、隣に水路がある場合はどうだろう。ここでは田んぼと水路の高低差がポイント。同じ高さなら境界線はEに、水路が低いところにあれば通常はFとなる。