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田舎暮らしの本 5月号

最新号のご案内

田舎暮らしの本 5月号

3月1日(金)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

開拓地の風土が息づく高原で、人とつながり地域の魅力を発信【山暮らし in 栃木県那須町】

古くから山の文化が営まれてきた栃木県。山岳宗教の日光、温泉の那須、入り組んだ谷間に里山集落が点在する八溝山地。なかでも明治以降の開拓地となった那須野が原は、リゾート地「那須高原」として発展。その自由な風土にひかれて移住する人も多い。

掲載:2023年5月号

栃木県那須町 なすまち
栃木県の北東部に位置し、福島県に接する。那須連山の裾野に広がる那須高原には、皇室の避暑地「御用邸」があり、那須温泉郷は1400年近い歴史を誇る。人口約2万4000人。年平均気温9.5℃。車で25分ほどのJR那須塩原駅へは東京駅から東北新幹線で約1時間10分。東北自動車道川口JCTより那須ICまで車で約1時間40分。写真は新緑のロイヤルロード。

 

各地を巡って高原に移住し、やりたい仕事を自由に実現

住まいは地元で知り合ったおばあちゃんの紹介で購入した中古別荘。1階2部屋、2階1部屋の間取りで購入価格は約300万円。追加費用はトイレとシャワーの修繕で20万円ほどだという。Instagram/ayugwen

 那須高原には100カ所を超える別荘分譲地が点在する。その一角に移住して3年目になるのは、こんどうあゆさん(37歳)。東京出身で新宿や渋谷のアパレル業界を経て、20代は芸能事務所の裏方として働いていた。

 「ライブに同行した翌日はカタログ作成、次の日はPV撮影といった感じでバリバリこなしてました。後半は退職してフリーランス契約で。ただ、そうしているうちに『この生活は長く続くわけがないな』って感じはじめたんです」

 どこでも自分で稼げるようにと、親しんでいたヨガを本格的に学び、インストラクターとして自ら集客も開始。芸能事務所の仕事を辞し、2015年からは5年後に住む場所を決めようと、WWOOF(ウーフ ) を利用して各地の農家を訪ねた。

 「移住を前に、都会育ちの私にどこまでできて何がしたいのか、試したかったんです。私は人が好きなので、その土地の人とかかわりたい。移住してかかわりを持ってから『やっぱり無理だ』となったら無責任ですよね」

 山梨、長野、伊豆、タイ……。沖縄の離島で、ここにしようと決めかけた。が、帰京の後、荷物をまとめて戻ろうとするとコロナ禍が始まり、島民以外はフェリーでの渡航が困難になった。

 「こんな状態で移住するのは現実的ではないと思いました。けれども私はどこかに移住したくてたまらなくなって」

 そうして出かけたのが、小さいころによく行った那須。亡くなった祖母の別荘だった。

 「山の中に1人で住めるのか、1週間ほど過ごしてみると、ぜんぜん余裕。那須には友達もできて、『おいで』と言ってくれますし、『よし、那須に住もう』と決めました」

 移住手続きのため訪ねた役場で担当してくれたのは、那須の観光移住情報サイト「NaSuMo」を立ち上げた人だった。

 「そのころ私は、人やお店を訪ねて那須の魅力を個人的にSNSにアップしていました。だから『そのサイト、私もやりたい!』って。趣味がオフィシャルになって、私は〝自称〞那須観光大使です」

 移住後の2年間は〝爆走〞したという。情報サイトのインスタグラムは毎日更新し、フォロワーは現在約1万7000人に。ヨガのインストラクターは寺を会場に週に1度のほか、出張やリモートでも開催。那須のクリエイターが集まるマルシェは仲間3人で運営、14回目の前回は5日間で25店舗が出店した。自然食や自然治癒のコンセプトに沿った那須の産物を〝ナスラブ〞としてプロデュース、都内でのPR販売も始めた。

 「東京ではアイデアを出しても、予算や売り上げの見込みが先に問われます。那須では『面白い』と受け入れてもらえる。そこが私に合っていますね。それだけ責任は生まれますけれども」

 オーガニック農園でのアルバイトや、数名の仲間と小さな田んぼで米づくりもしている。

 「みんなで手植えして手分けして草取りしてます。自営で自立する人が多いので、責任持って〝やるべき作業をできるときにやる〞が成り立つ環境が心地いい。那須にはいまも、開拓地の風土が生きているんです」

 

※WWOF=有機農場を手伝って学びたい旅人と、手伝いに対して食事と宿を提供する農家をつなぐサービス。

自宅のベランダで。気持ちが外に向いている今は、手が回らないが、いずれは庭に畑をつくりたいという。

那須の米農家のイベント「田んぼカフェ」では、「田んぼでヨガ」を担当。気持ちのよいときを共有した。

「ほし」の星利恵子さん(66歳)は30年前に那須に来て、ご主人とともに23年前から店を営む。地元に詳しい移住の先輩。

家から車で10数分の「ほし」は、こんどうさんのお気に入りの店の1つ。山里料理と自家製粉十割そばが自然な味わい。

マルシェを一緒に運営する友人は、ヴィーガン料理人(中)と、染織アーティスト(右)の2人。

 

こんどうさんに聞いた「山暮らし」のここがいい!

➀食への関心が高く、自然食の店や有機農家が多い

新しいことにチャレンジする気質が強いうえ、都会からの人が多く訪れる観光地でもあって、食への関心の高い地域だと感じます。オーガニックの農家も多いですし、自然食レストランでは地元の食材が使われ、料理の質も高いです。

②夕食の付き合いが減って早寝早起きができる

東京で仕事していたころは、週に4日は夕食を誰かと外でとっていました。那須では人とのつながりは多いけれど、夜の付き合いはあまりしません。夕食は家でゆっくりとる日が多く、寝る時間も早いです。起床時間は朝5時。健康的に暮らせます。

那須連山を望む標高約500m。冬は油断すると家の配管が凍結する寒さだが、想定内で驚くことはないという。

 

那須町移住支援情報
人口の約半分が移住者移住専門の相談員が全面サポート!!

都心に近く移住者の多い那須町は「人口の約半数が移住者」ともいわれ、住民の多様性や風通しのよさが魅力の1つ。町では移住前から移住後まで、「移住定住支援コーディネーター」が中心になり一貫したサポートを行う。空き家バンクはWEBで閲覧可。お試しサテライトオフィスもある。

問い合わせ/ふるさと定住課 ☎︎0287-72-6955
https://www.town.nasu.lg.jp/0087/info-0000001210-1.html

2022年4月にオープンしたコワーキングスペース「WORK BASE NASU」。2階は企業向けのお試しサテライトオフィスで宿泊も可能。

「WORK BASENASU」PR動画の出演者は、全員が役場の職員!YouTubeをチェックしてみよう。

「観光施設やおしゃれな店舗、温泉などが充実し、『海以外なんでもある町』なんていわれます。私たち那須町移住定住支援コーディネーターにお気軽にご相談ください!」
那須町移住定住支援コーディネーター
斎藤さん(左) ☎070-9011-7894
木下さん(右) ☎080-9293-3674

 

文・写真/新田穂高 写真提供/こんどうあゆさん

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