信州を代表する銘柄鶏の福味鶏。丹精込めて育てられた美味しい地鶏ですが、一羽から取れる精肉の需要に対して、レバーやハツなどの内臓部位は利用される割合が少ないため、その一部は、仕方なく廃棄されていました。食品の製造段階において発生してしまうフードロスです。
そこに新たな価値が加えられ、人気商品として生まれ変わったのが、「ふくふくレバーシリーズ(全6種)」(写真上)です。
「ふくふくレバーシリーズ」は、長野市と長野県内の企業が中心となって、商品化されました。現在では、エココンシャス(地球に優しく、自分に心地よい選択)なライフスタイルを意識する層をはじめ、じわじわと人気を博し、長野県内だけでなく、東京都内の店頭やオンラインショップでも販売されています。
今回は、この「ふくふくレバーシリーズ」の商品化に尽力した、ICS-net株式会社(長野県)に、『アップサイクル・フード』の現状について伺いました。
みなさん「アップサイクルフード」をご存じですか?
『アップサイクル・フード』とは、一次・二次産業、また、食品加工などの食品流通の過程で行き場がなく未利用品となり、廃棄されてしまう食品原料を使って作られた加工食品です。社会問題である食品ロス削減に貢献する取り組みの一つであり、今日では、世界的に注目されています。
「ふくふくレバーシリーズ」の企画・商品化に携わった、菊地由華さん(ICS-net株式会社)は、こう語ります。
「アップサイクル事業は、廃棄される可能性のある原料を有効利用し、新たな価値を生み出す活動です。『ふくふくレバーシリーズ』は、生産と需要のバランスに影響を受け、仕方なく廃棄される予定となっていた銘柄鶏のレバーやハツに、『手軽に美味しく食べられる味わい』と、『美味しいを保存できる(缶詰)』という価値をプラスし商品化したものです。アップサイクルの可能性を秘めた食品の原料は、手付かずで使われなくなってしまう原料だけではありません。たとえば、果物の果汁を絞った後の『残渣』や、製品を作る最後の工程で出てしまう『端材(製品をカットする際の切れ端)』といったものもあります。私たちは、これらの原料を活用し、新たな商品を作り出す事業を展開しています」(菊地さん)
食品原料がテーマの国内有数の展示会にて、食品製造段階で発生するロスを『アップサイクル』することをテーマに講演する菊地さん(ICS-net株式会社)。
日本の食品ロスは解決しなければならない大きな課題だから
日本の自給率(カロリーベース)はわずか38%で、多くの食材が海外から輸入されているわけですが、一部の海外サプライヤーからは、「美味しく食べられる」こと以上の品質基準を設ける日本への販売をためらう声もあるとか。日本の食品産業の在り方に大きな課題が突きつけられています。菊地さんは、こう続けます。
「一方で、食品製造の過程で生じる食品ロスは約121万トンあるとされていて、これは日本の食品ロス全体(522万トン)のうちの23%。決して無視できない数字となっているのです。現状では、食品製造過程で発生する食品ロスへの認知、その食品ロスを軽減する活路としてアップサイクルが存在するという認知が低いという課題を我々は感じています」(菊地さん)
美味しくて地球に優しい選択を。
「ふくふくレバー」は、臭みを極力抑える加工を施し、化学調味料や保存料を使用しない味付けにこだわったそうです。この、“少し贅沢なおかず”は、地球に優しい保存形態として、常温保存ができる缶詰が採用されています。美味しさも、かたちも、優しいつくりになっています。最後に、菊地さんから読者の皆さんへのメッセージとおすすめの食べ方を伺いました。
「缶詰の蓋を開けるだけで、美味しい一皿を並べることができます。お家でゆっくりお酒を飲む時間や、キャンプのおともにも是非。テーマ性のある商品ですので、大切な方へのギフトとしても間違いないと思います。大切な食資源を活かした『アップサイクル・フード』で、未来の食についての会話を楽しんでいただけたら嬉しいです」(菊地さん)
「長野アップサイクル・フード」をご存知ですか?これまで仕方なく廃棄されていた食資源を有効活用する取り組みが、長野市と地元企業との協力で生まれました。←詳細はこちらの記事 へ
<アップサイクルフード「ふくふくレバー(全6種)」商品紹介>
長野県内の指定農場の平飼鶏舎にてのびのびと飼育された「信州福味鶏」は、信州を代表する銘柄鶏です。市場流通に乗らず、余剰原料となっていた「信州福味鶏」のレバー及びハツを使った6種の味わいは、一つひとつ丁寧に手作業で製造されています。
その美味しさと、おすすめの食べ方を紹介します。
【福味鶏 ふくふくレバー ご褒美パテ】 参考価格:1,280円(税抜)
煮切った白ワイン、コショウ、ローリエを入れ、レバーの旨みをぎゅっと詰め込んだしっとりなめらかなパテ。パンや茹でたじゃがいもと合わせて。
【福味鶏 ふくふくレバー 生姜香る時雨煮】 参考価格:1,280円(税抜)
ホッとする定番の味・甘辛い醤油味のしぐれ煮は、生姜のピリリとした辛みと風味がアクセント。普段の食卓にプラス一品して。
【福味鶏 ふくふくレバー 至福のアヒージョ】 参考価格:1,280円(税抜)
ピリリとした鷹の爪、パンチのあるニンニクにハーブの香りが重なるオイル煮。温めてパンと一緒に、パスタの具にも。
【福味鶏 ふくふくレバー 贅沢ネギ塩】 参考価格:1,280円(税抜)
たっぷりのネギと豊かなごま油の風味が食欲をそそる、焼き鳥屋さんのあの味を再現。そのままでも、ご飯と混ぜても。
【福味鶏 ふくふくレバー 旨辛ッヤンニョム】 参考価格:1,280円(税抜)
唐辛子の香りとピリリとした辛みがレバーの旨みを引き立たせる一品。ソテードオニオンの甘みが隠し味。そのままでも、インスタントラーメンに乗せても。
【福味鶏 ふくふくレバー おとなの焼肉味】 参考価格:1,280円(税抜)
パンチの効いたニンニクと生姜と白ごまのコクが合わさった濃厚な甘辛焼肉のタレで味付けしました。ご飯とも、温野菜と合わせても。
今回紹介した、アップサイクルフード。美味しい缶詰をつまみながら、フードロスの深刻な問題について今一度考えてみてはいかがでしょうか。
※「福味鶏」は長野県農協直販株式会社の登録商標です。記載されている会社名、製品名は各社の商標または登録商標です
※「ふくふくレバー」は、NAGANOスマートシティコミッションと地元企業による、地域の食品に新たな可能性を広げるための取り組み「長野アップサイクル・フード 」プロジェクトから生まれた商品です
【商品に関するお問合せ先】
ICS-net株式会社
長野県長野市南石堂町1972
E-mail:pr@ics-net.com
https://www.ics-net.com
<プロジェクトサイト>
http://www.ics-net.com/upcycle
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