掲載:2024年1月号
自家製セロリはコンパニオンプランツと
混植すると香り高くやわらかく育つ
古代ギリシャやローマで薬用や香料として利用されたセロリ。原産は地中海沿岸で、冷涼な気候を好み、過湿と乾燥が苦手です。夏野菜の後地など肥沃な畑を選び、夏は半日陰で直射日光を避け、コンパニオンプランツとの混植でおいしく育ちます。草マルチを重ねて乾燥を防ぐのも大切。独特の香りでアブラムシなどの虫害も避けられます。ミツバやコリアンダーも育てやすい香味野菜。栽培の方法はセロリとほぼ同じです。
※1 Caストチュウ水…7Lのジョウロの水に、①ストチュウ原液(酢・木酢液・焼酎を1:1:1で混ぜる)と、②Ca酢原液(酢100mLに卵1個分の殻を1日浸してカルシウム成分を溶解させる)を、ペットボトルキャップ(約7mL )で①3杯・②1杯ずつ加える。
1 土づくり
初めての菜園では畝を準備
水はけと水持ちのよい畑で育つ
過湿と乾燥を嫌い、水たまりができる畑では育ちません。ナスなどの夏野菜がよく育った畝が適地です。初めて菜園にする場合は畝の準備をしてください。もみ殻燻炭と完熟堆肥で水はけをよくし、ゼオライトで水持ちのよさを両立させます。
2 種蒔きと育苗
①ポットに種蒔きし
バーミキュライトで覆土する
種は好光性で発芽に光が必要ですが、覆土を薄くすると乾燥しやすく発芽が難しくなります。覆土には100%バーミキュライトを使いましょう。光と保湿を両立できるので発芽が抜群によくなります。
3号ポット(直径9cm)に培養土※2をしっかり詰める
※2…市販の培養土でよいが、培養土・畑の土・もみ殻燻炭を8:1:1の比率で混ぜると、がっちりした根の苗になる。ポットに詰める前に水を加えてよく混ぜておく。水分量は50~60%、土を握ると固まり、突くと崩れるほどが目安。
1ポットに2カ所ずつ蒔き穴をつける
1つの蒔き穴に2~3粒ずつ、1ポットに計4~6粒ずつ種を蒔く
蒔き穴の上をバーミキュライトで覆土する。厚さは種の直径の2倍ほど。覆土後はしっかりと鎮圧して発芽を促す
種を蒔いたらたっぷり水やり。この後、乾燥防止に新聞紙で覆い、さらに上から水をかけて新聞紙を濡らしておく
②乾かさず気長に発芽させ
本葉1~2枚で最初の間引き
種を蒔いてから発芽するまで適温で10~14日かかるため、新聞紙を外した後も土の表面が乾いたら水やりしてください。光を遮らず乾燥を和らげるには、不織布を掛けてもよいでしょう。発芽後も土の表面が乾いたらたっぷり水やりするのは基本的なコツです。こまめに水やりし過ぎると、かえって育ちにくいです。本葉1~2枚に育ったら間引いて2本立ちにします。
種蒔き後にポットを覆って濡らした新聞紙は1週間かけておいた後、忘れずに外す
3 定植
①本葉3~4枚で定植
セロリの生育はゆっくりで育苗に時間がかかりますが、コンパニオンプランツと混植する場合は大苗に育つまで待たずに、本葉3~4枚の若苗で2本立ちのまま定植できます。時期は夏野菜の定植と同時です。茎が土に埋まると病害が出やすいので浅めに植えてください。
※3…雨水に似た野菜の栄養ドリンク。酢・木酢液・焼酎を1:1:1で混ぜたストチュウ原液をペットボトルにつくり置き、300倍以上に薄めて使う。7Lのジョウロの水には、ペットボトルキャップ(約7mL)3杯の原液を混ぜる。
②定植と同時に草マルチと米ぬかを
乾燥と過湿が苦手なセロリには定植と同時に草マルチをします。肥沃な土を好むので草マルチの上から米ぬかを補ってください。
草マルチの上から米ぬかを一握り、株の周りにぐるりと撒く
4 お世話
①2週間に一度、草マルチと補いを
生育がゆっくりで草に負けやすいため、株の周囲の草を刈り、草マルチを重ねてください。2週間に一度ほど、草マルチの上から米ぬかまたは、米ぬかと油かすを半々に混ぜて補いをします。
株の周りに草マルチし、草マルチの上から補いをする
②雨がなければ1週間に一度
Caストチュウ水で水やりを
1週間雨がなく土が乾いているときはCaストチュウ水でたっぷり水やりしてください。セロリは根に水を貯める能力が高いため、水やりは乾いたらたっぷりと。やり過ぎは根腐れの原因になります。
日中に水やりするときは葉に水をかけず株元に
5 収穫
①15cmに育ったら間引き収穫
背丈が15cmほどに育ったら2本のうち1本を株元から切って間引き収穫します。
②25cmに育ったら外葉をかき取り収穫
背丈が25cmほどに育ったら葉を外側から3~5枚ほど、はがすようにしてかき取り収穫します。ただし収穫する葉は全体の25%まで。穫り過ぎると株が弱って育ちません。
外葉を付け根からかき取る
③50cmに育ったら株ごと収穫
背丈が50cmほどに育ったら株元から切って収穫します。そのまま置くとかたくなり、スが入るため、おいしい時期にタイミングよく穫ってください。
株元から鎌で切り取る
監修/竹内孝功
たけうち・あつのり●1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『自然菜園で育てる健康野菜ゼロから始める無農薬栽培』『完全版 自給自足の自然菜園12カ月 野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』、最新刊・新装版『無農薬「自然菜園」で育てる人気野菜』(すべて宝島社)ほか多数。
WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/
文・写真/新田穂高 イラスト/関上絵美・晴香
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