掲載:2024年7月号
ゴーヤー
気温上昇で旺盛に育ち
収穫後の水やりで次の実が太る
ゴーヤーは暑さを好み、真夏に繁茂してたくさんの実を付けます。畑を選ばず育てやすく、プランター栽培も楽しめます。植え付けは気温が上がってから。真夏の高温乾燥には、収穫後に水やりすると、次々に実が育ちます。
ゴーヤーには多くの種類がある。写真は沖縄で好まれる「あばしゴーヤー」の一種。ずんぐり小さめで苦味が少なくジューシー。
自然菜園でプチ自給のための
ゴーヤー 3つのポイント
ゴーヤーは真夏に一気につるを伸ばし、葉を茂らせます。ウリ科は他家受粉で2本以上育てるようにしますが、株が繁茂すれば実は次々に付き、2本で食べきれないほど収穫できます。
①気温が上がってから定植
生育適温が高く、植え付け時期は夏の果菜類の最後です。早く植えても、暑くなるまでは、なかなか大きくなりません。定植は最低気温が18度を上回る6月になってからでよく、7月上旬まで可能。最低気温20度以上になれば直蒔きもできます。
ウリ科のつる割れ病などを防ぎ、連作障害を出にくくするためには、必ずネギと混植してください。
②摘芯して子づるを伸ばす
雌雄異花で親づるには雌花が付きにくいため、必ず摘芯して子づるを伸ばします。グリーンカーテンでは、摘芯してネット全体に子づるを展開させます。
③遅れずに収穫して水やり
実は穫らずにおくと熟して種が赤くなり、食味が落ちます。また、樹は実を保つために消耗して勢いを弱め、その後の実付きが悪くなります。適期になったら遅れずに穫りましょう。
高温乾燥が続くと樹がしおれて実が小さくなったり付かなくなったりします。週に1度ほど、実を収穫した後、夕方日が落ちてから夕立のようにたっぷり水やりしましょう。とはいえゴーヤーは過湿を嫌います。毎日のこまめな水やりは根腐れのリスクがあるため避けてください。
畑の準備
水はけのよい畝を選ぶ
○多湿を嫌うため降雨後に水がたまる畑では20cmほどの高畝に。○初めて野菜を育てる畝では定植1カ月前に、1㎡当たり●完熟堆肥1~2L●もみ殻燻炭1~2L●バットグアノ100gを施して表面の土を混ぜておく。そのあと、ネギクラツキ※1をしておく。
※1 植え付け1カ月前に、植え付け予定位置に穴を掘り、完熟堆肥を入れて埋め戻し、ネギを植えてウマの鞍状に土を盛り上げる。
畝を立てたら完熟堆肥、もみ殻燻炭、バットグアノを全面に撒き、レーキを使って表面の土と混ぜておく
定植
気温と地温上昇後にネギと混植で
寒さに弱く霜に当たると枯れます。遅霜の季節を過ぎれば定植できますが、早く植えても気温と地温が高まるまではほとんど大きくなりません。最低気温18℃になるころに植え付けると、その後はスムーズに育ちます。
定植の手順
①バケツに3cmほどストチュウ水※2を入れ、定植の3時間ほど前からポットの底を浸して、苗にたっぷり水を吸わせておきます。
※2 雨水に似た野菜の栄養ドリンク。酢・木酢液・焼酎を1:1:1で混ぜたストチュウ原液をペットボトルにつくり置き、300倍以上に薄めて使う。7Lのジョウロの水には、ペットボトルキャップ(約7mL )3杯の原液を混ぜる。
②ティピー型支柱なら畝の両側の2本の支柱の間に1株ずつ植え付けます。
③苗は双葉が残り、本葉3~4枚の若苗が根付きやすいです。
④苗の根鉢にネギを沿わせて植え穴に置き、掘った土を天地そのままで隙間に入れ、鎮圧して根鉢を周囲の土に密着させます。
⑤根鉢の外側15cmほどは地際から草を刈って敷き、草マルチします。株元は草マルチせず、日を当てて地温を上げましょう。
お世話
誘引してつるを絡ませる
伸び始めたつるが支柱に渡した麻ひもやネットに絡むよう、早めに誘引しておきます。誘引しないとつるは上に上っていきません。いったん絡んでしまえば、その後誘引の必要はなく、つるは自然に上っていきます。
茎を地面に這わせないよう、誘引して上へと向かわせる。伸びたつるが上れるよう、支柱には麻ひもを渡しておく。
本葉5~6枚で摘芯して子づるを伸ばす
気温が充分なら定植後1週間から10日ほどで本葉5~6枚まで育ち、ひげづるが出てきます。このタイミングで先端を摘み、子づるの生育を促しましょう。その後は整枝せずに茂らせます。
茎が伸びる先端をハサミで切り取る。
梅雨明け前に株元まで草マルチ
梅雨後半に気温が充分に上がったら、草マルチを株元に敷き詰めます。その後、収穫が始まってからも周囲の草が伸びたら刈り敷いて、草マルチを続けてください。
収穫
食べごろサイズで早めに穫る
夏至を過ぎると花を付けはじめますが、最初は雄花ばかりで、花の下に小さなゴーヤーの付いた雌花が咲くのは8月ごろからです。雌花の開花から15~20日が収穫適期。食べごろサイズで穫りましょう。それ以上置くと樹が疲れて実付きが悪くなります。
ほどよい大きさまで育ったらハサミで切り取る。
初期のゴーヤーは、小さめで採るのがオススメ。
盛夏の収穫時期は週1回の水やり
ゴーヤーが実を付ける夏の盛りには、高温を好み比較的乾燥に強いゴーヤーといえども、水分不足で樹がしおれたり実が太らなかったりしがちです。週に1度、収穫後の夕方、ストチュウ水を用いて葉の上からたっぷりと水やりしてください。
盛夏の水やりは、昼間の熱を下げて夜が迎えられるよう、夕方に葉の上から夕立ちのようにかける。
10日ごとに米ぬかを補う
収穫開始後は10日に1度ほどのペースで、米ぬかを1株当たり一握り、草マルチの上から薄く撒きます。
米ぬかを1株に一握り、草マルチの上からぐるりと補う。
保存は種を除いて冷蔵庫で
ゴーヤーは収穫後そのまま置くと、種がオレンジ色になり、実がやわらかく傷んでしまいます。穫ったら早めに縦半分に切って種をかき出し、ラップに包んで冷蔵庫に入れてください。数日間保存できます。
監修/竹内孝功
たけうち・あつのり●1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『自然菜園で育てる健康野菜 ゼロから始める無農薬栽培』『完全版 自給自足の自然菜園12カ月 野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』、新装版『無農薬「自然菜園」で育てる人気野菜』(すべて宝島社)ほか多数。
WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/
文・写真/新田穂高 イラスト/関上絵美・晴香
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