掲載:2024年8月号
ダイコン
暑さが残るころに蒔き
どんどん間引いて太くする
ダイコンは初期の生育適温が高く、暑さの残る夏の終わりから秋いちばんに種蒔きする野菜です。間引いて根を太くするので、家庭菜園では間引き菜やミニダイコンも楽しめます。
「切太」は宮重(みやしげ)大根の短系品種。宮重大根は愛知県の伝統野菜で現在主流の青首大根のルーツ。中生で比較的寒さに強く、浅い作土層でもよく育つ。
自然菜園でプチ自給のための
ダイコン 3つのポイント
比較的高温で種蒔きし、秋に気温が下がるにつれて太く育ちます。種蒔き、間引き、収穫ともにタイミングよく適期を逃さないのがポイントです。
①品種と時期を選んで蒔く
生育適温は初期が高く、後半は低めです。ただし気温が高い時期ほど虫害を受けやすく、反対に蒔き遅れると大きく育たずに終わります。ポイントは適期の種蒔きですが、最近は残暑が長い年も多く、見極めは難しくなっています。
暑さが厳しい年は、ナスやトマト、サトイモなどの隣で半日陰を利用したり、寒冷紗でトンネル掛けするなど工夫します。また、多くの品種のなかから「小型で生育期間が短い早生品種を少し遅めに蒔く」「耐暑性のある品種を選ぶ」「聖護院(しょうごいん)ダイコンなど比較的低温でも育つ品種を選ぶ」なども暑さ対策。複数の品種を数日~1週間おきに数回蒔くとさらに確実です。
②3cm間隔に蒔いて間引く
種は3cm間隔で蒔きます。狭いと徒長しやすく、広いと草が生えやすくなります。
最初の間引きは葉が重なる本葉3~4枚で。間引き遅れると、根が太りはじめる時期に周囲のスペースが足りず、生育できずに小根で終わります。
2度目の間引きは本葉8枚までに最終株間に仕上げます。
③外葉が垂れてきたら完成
葉が外側に垂れ下がったら収穫適期。穫らずにおくとスが入ったり、寒さで傷みやすいです。
畑の準備
準備は1カ月以上前を厳守する
○やせ気味で水はけのよい土を好む。降雨後に水がたまる畑では20cmほどの高畝に。○ 初めて野菜を育てる畝では定植1カ月前に、1㎡当たり●完熟堆肥1~2L●もみ殻燻炭1~2Lを施して表面の土を混ぜておく。○土中の未熟な有機物は又根の原因になる。畑の準備は種蒔きまで1カ月以上期間が空けられるときに限る。
畝を立てたら完熟堆肥、もみ殻燻炭を全面に撒き、レーキを使って表面の土と混ぜておく。深く耕す必要はない。
種蒔き
3cm間隔で蒔き、しっかり鎮圧
野菜の種は密蒔きするほどよく発芽しますが、密植しすぎると発芽後の間引きに手間がかかります。種蒔きには野菜ごとに最適な間隔があり、ダイコンは3cm。畝に鍬幅の蒔き溝をつけ、3cm間隔になるように種を数列蒔きます。ていねいに等間隔で蒔くと、後の間引きが楽です。
①幅1mの畝の上に鍬で表土を1cmほどさらって浅く蒔き溝をつける。
②溝の底をしっかりと鎮圧する。床が平らに整って発芽が揃う。
③指で軽く蒔き穴をつける。
④蒔き穴に1粒ずつ種を落とす。
⑤種と種の間隔は縦横とも3cm(直径約2.6cmの500円玉より少し広いくらいが目安)になるように。互い違いの千鳥状に数列蒔く。
⑥覆土は種の2倍の厚さに。草の種の多い表層の土を避けて、土中の土を用いる。小面積なら市販の培養土で覆土してもよい。
⑦覆土後は必ずしっかり鎮圧を。鎮圧すると発芽時に種が土中に残って双葉がさらに生長できる。
お世話
根菜類は間引いて根を太らせる
ダイコンのほかカブ、ニンジンは、根菜類として同じ特徴を持っています。本葉3~4枚で根の付け根の初生皮層(しょせいひそう)が破れて肥大する根が現れ、太りはじめます。このとき、最終株間の半分の間隔になるように間引いておくのがポイント。ダイコンは15cmです。間引き遅れて密植になると根は小さいまま終わります。
2度目の間引きは本葉8枚までに最終株間にします。ダイコンは30cm。遅れず間引けば根が太り、立派なダイコンに育ちます。
間引き菜は根を水に浸して持ち帰り、早めに食べましょう。
根の付け根の初生皮層が割れて根が太りはじめる。
3cm間隔に種蒔きすれば、最初は間引きなしで育つ。葉が触れ合う本葉3~4枚のタイミングで1度目の間引きを。生育のよい株を残して、15cm間隔になるように引き抜く。
根菜類の間引きはハサミを使わず手で引き抜く。
本葉8枚までに2度目の間引きを。最終株間の30cmに。
収穫
完成したものは遅れずに穫る
上向きだった葉が、外側に垂れ下がってきたら完成、収穫適期です。穫らずに畑に置いても、それ以上太くはなりません。収穫が遅れるとスが入ったり割れたり、真冬は寒さで傷んだりします。
収穫後は根の鮮度を保つため、すぐに葉を切り離します。葉は傷みやすいので、できるだけ穫ったその日に調理しましょう。根は頂部の生長点を切り落とし、ビニール袋に入れて冷蔵保存すれば冬の間長く食べられます。
前半は葉が垂れ下がったものから収穫。その後、本格的な寒さの前に全て収穫する。
種蒔きが遅れるなどして充分に育つ前に寒くなってしまったときは、不織布で覆うと生育を延ばせる。防虫ネットや寒冷紗でのトンネル掛けが必要だが、不織布はベタ掛けで使用可。
監修/竹内孝功
たけうち・あつのり●1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『自然菜園で育てる健康野菜 ゼロから始める無農薬栽培』『完全版 自給自足の自然菜園12カ月 野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』、新装版『無農薬「自然菜園」で育てる人気野菜』(すべて宝島社)ほか多数。
WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/
文・写真/新田穂高 イラスト/関上絵美・晴香
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