掲載:2024年10月号
カブ
畑を選ばず育てやすい
間引き菜からどんどん食べる
カブは間引くと根が太ります。穫れたては葉も根もおいしいので、間引き菜からどんどん食べて長期間楽しみながら育てましょう。間引きの間隔は小カブから大カブまで品種によって調整してください。
品種ごとの大きさまで育ったら早めに収穫するのがおいしく食べるコツ。
自然菜園でプチ自給のための
カブ 3つのポイント
①品種を選び2cm間隔で蒔く
カブは古代から日本で栽培され、各地に多くの品種があります。地域風土と種蒔きの時期に合わせて品種を選びましょう。
種蒔きの間隔は2cmほどがベストです。広過ぎると間から草が生えやすく、狭いと発芽後の間引きに手間がかかります。
種を蒔いたら、しっかりと鎮圧するのも大切です。鎮圧が足りないと発芽とともに種の皮が持ち上がり、発芽のタイミングが揃いません。
②本葉が重なったら間引く
比較的発芽しやすく種蒔きから3~4日で双葉が出ます。その後、本葉が重なるほどに育ったら、葉が触れ合わないように間引きを始めます。2cm間隔で種蒔きすれば本葉2~3枚のころです。遅れると根が太らないので、タイミングよく間引くのがコツです。
③最終株間は大きさによる
本葉5~6枚のころ、最終株間に間引きます。カブの大きさに合わせて、小カブは5cm、中カブは10cm、大カブは30cmほどの間隔にしてください。
小カブは根が大きくなったものから間引き収穫して食べていきます。やや密植気味に育てたほうがやわらかく育ちます。
中カブ、大カブは大きく育ったものを残して育てます。早めに間引いて間隔を空け、乾燥気味にして根を太らせるのがコツです。間引き菜は大きくなるとかたくなりますが、早めに間引けばおいしく食べられます。
畑の準備
夏野菜が育った畝は準備なしで
○水はけよく保水性のある土を好む。○水はけが悪い畑では病害を受けやすいため高畝にする。○夏野菜がよく育った畑なら準備なしでそのまま種蒔きする。○初めて野菜を育てる畝では1㎡当たり●完熟堆肥1~2L●もみ殻燻炭1Lを施して表面の土と混ぜて準備する。○未熟な有機物はカブの肌荒れや病虫害の原因になるため、準備は1カ月前までに済ませる。直前には何も入れないこと。
畝を立てたら完熟堆肥、もみ殻燻炭を全面に撒き、レーキを使って表面の土と混ぜておく。深く耕す必要はない。
種蒔き
2cm間隔でしっかり鎮圧
秋蒔きが育てやすいですが、品種を選べば春蒔きもできます。いずれも早蒔きは避けます。秋は虫害に遭いやすく、春はとう立ちしやすくなるためです。 種蒔きは鍬幅につけた蒔き床に2cm間隔になるようにばら蒔きます。種の厚みの2~3倍、1cmほど覆土し、しっかりと鎮圧して発芽を促しましょう。
種蒔きの手順
①幅1mの畝の上に鍬で表土を1cmほどさらって浅く蒔き溝をつける。
②溝の底をしっかりと鎮圧する。床が平らに整って発芽が揃う。
③種の間隔が2cmほどになるように、蒔き溝全体に種をばら蒔く。
④覆土は種の2~3倍、1cmほどの厚さに。覆土には草の種の多い表層の土を避け、下層の土を用いる。家庭菜園では市販の培養土を使ってもよい。
⑤覆土後はしっかりと鎮圧して発芽を促す。鎮圧が足りないと種の皮が持ち上がって発芽が滞る。
⑥蒔き条の左右いっぱいまで草マルチ。条の上は空けておく。条の中まで草マルチすると、コオロギなどの食害を増やす場合がある。
お世話
葉が触れ合ったら間引き収穫
本葉2~3枚に育ち、葉が重なってきたら、葉が触れ合わない程度に間引きを始めます。本葉5~6枚で最終株間まで間引いて根の肥大を促しましょう。間引き遅れると根が太らずに終わります。
本葉2~3枚に育ったら引き抜いて葉が触れ合わないほどに間引く。
しおれやすいので、おいしく食べるには水を入れたボウルを用意し、間引きと同時に葉を水に浸して持ち帰る。
本葉5~6枚に育ったら最終株間になるように間引く。最終株間は小カブ5cm、中カブ10cm、大カブ30cmほど。
収穫
早めの収穫でみずみずしいカブを楽しむ
完成の大きさは小カブ直径4~5cm、中カブ8~10cm、大カブ20~30cmです。最初は大きくなったものから間引くように収穫し、大きさがある程度揃ったらすべてを収穫します。早めの収穫がみずみずしくおいしいカブを味わうポイントです。穫り遅れると根にスが入ったり、ひび割れを起こします。
小カブは間引きながら大きくなったものを収穫していく。
収穫と同時に根を水に浸して、みずみずしさを保つ。
最終株間まで早めに間引いて育てた大カブの収穫。穫り遅れると割れやすいので、ある程度大きさが揃ったら一斉収穫する。
小カブから中カブサイズまで楽しめる品種もある。育ちきったら一斉収穫の時期。
葉と根を切り分けて持ち帰る
葉を付けたままにしておくと根の水分が葉から抜けてしまいます。葉と根は早めに切り分けて根のフレッシュさを保ちましょう。
根の先のひげは収穫後に切り落として畑に置いておく。
葉の付け根から切り分ける。
切り口を水に浸けて振り洗いすると泥も落ちるうえ、葉の鮮度も保たれる。
根も水に浸して洗い、葉は濡れたまま新聞紙で包んでビニール袋に入れ、しおれないように持ち帰る。
監修/竹内孝功
たけうち・あつのり●1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『自然菜園で育てる健康野菜 ゼロから始める無農薬栽培』『完全版 自給自足の自然菜園12カ月 野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』、新装版『無農薬「自然菜園」で育てる人気野菜』(すべて宝島社)ほか多数。
WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/
文・写真/新田穂高 イラスト/関上絵美・晴香
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