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田舎暮らしの本 5月号

最新号のご案内

田舎暮らしの本 5月号

3月1日(金)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

子育てを終え、夫婦で新たな人生を! 絶景と利便性に一目ぼれした新天地【鹿児島県鹿屋市】

子育てを終えた佐藤さん夫妻は、東京から鹿児島県鹿屋市へと移住した。そこにあったのは、「一度きりの人生、それを2人で楽しみたい」という思いだ。技術者だった夫は農業法人に再就職し、元プロボウラーの妻はスローな専業主婦生活をスタート。まったく違う人生を歩み出した2人の未来は、「やりたい」を重ねてつくられていく。

掲載:2022年4月号

一面に広がる畑、遠くに見える高隅山、青い空。この眺望に一目ぼれして鹿屋市への移住を決めた佐藤さん夫妻。

鹿児島県鹿屋市(かのやし)
大隅(おおすみ)半島の中核都市で、人口約10万人。農業や畜産が盛んで、国立鹿屋体育大学がある。霧島ヶ丘公園内の「くろぶたの丘」からは、錦江湾(きんこうわん)の向こうに、開聞岳(かいもんだけ)から桜島まで大眺望が広がる。溝辺鹿児島空港ICから車で約70分。鹿児島市内から高速道路またはフェリーで約1時間40分。

「孫にも“田舎”をつくってあげたい」と移住地探し

 車が緩やかな勾配の国道を上がると、広々とした畑と青い空、標高1000mを超える山が25㎞も連なる高隅山(たかくまやま)を見渡す景色が広がる。

「こんなに広い空がある景色、素敵でしょう?」と、鹿児島県鹿屋市を案内してくれるのは、2021年7月に東京から移住した佐藤博之(さとうひろゆき)さん(58歳)・多紀子(たきこ)さん(57歳)夫妻。4年前に結婚した、ともに再婚のカップルだ。

 博之さんは離婚後7年間、3人の子どもを1人で育て上げた。

「子どもの弁当もつくったし、頑張っていたと思う」と振り返る。ある日、息子から子どもが生まれることを聞かされ、「もう親として頑張らなくてもいいのだと思うと、どっと疲れが出て、残りの人生を妻と楽しみたい気持ちが生まれました」と話す。

 元プロボウラーの多紀子さんもすでに2人の孫を持つ身で、その気持ちはよくわかった。東京育ちの佐藤さん夫妻だが、両親は地方出身。子どものころの長期休暇は祖父母のところで、田舎を楽しんだという。自然のなかでホタルを捕ったり、獲れたカニをお腹いっぱい食べたり……。孫たちにもそんな“田舎”をつくってやりたいという気持ちも芽生え、博之さんは技術系の会社を早期退職、移住するという生き方を選ぶに至る。

 さっそく東京・有楽町の「ふるさと回帰支援センター」を訪ね、出会ったのが、鹿児島県の担当者だった。鹿児島には縁もゆかりもなかったが、担当者の人柄にひかれて興味を覚えた。そこでまずは21年2月に鹿児島への旅に出る。

「ピンと来るところに出合えたら」と県内をくまなく回ったが、何もないまま旅が終わりかけたとき、出合ったのが冒頭の景色だ。すぐ近くにはずらりと店舗が並ぶエリアもある。「これは生活にも困らない」と心が躍った。

東京で暮らしてきた2人には、自然だけではなく、充実した商業施設も魅力だった。

 3月に博之さんが退職すると、翌月には鹿屋市の移住体験住宅「吾楽暮(あいらいく)」で10日間お試し暮らしをすることに。自治会の人の紹介や、ゴミ出しなど生活の仕方、はたまた東京の家の処分法を指南するなど、市や移住サポートセンタースタッフたちが、仕事を超えてかかわってくれる親切さに感激した。教えてもらった空き家バンクを仮押さえして帰京すると、東京の自宅を売却し、7月には移住を果たすという早業だった。

 移住した鹿屋市は、肉や野菜が驚くほど安くておいしかった。夫妻ともに飛行機やミリタリー好きとあって、自衛隊の鹿屋航空基地から飛び立つ飛行機を見ることも楽しみの1つだ。乗り物好きな博之さんは、トラクターの免許を取得し、農業法人に就職。足腰に自信を持つ多紀子さんは、自転車で市内各地を走りまわり、家の中ではミシンを踏むなど、初めての自分だけの自由な時間を楽しんでいる。

 孫たちのための“田舎”づくりも着々と準備を進め、4月末には早くも新居が完成予定だ。

「移住も何もかも、やりたいと思っているだけでは始まらない。まずは相談したり動いてみるべき」と佐藤さん夫妻。自分たちのやりたいことに向かって邁進する潔さがまぶしい。

農家さんがトラクターを操る様子に魅力を感じ、大型特殊免許を取って農業法人への就職も決めた。

サバイバルゲームが趣味で、ものづくりも大好きな博之さん。新居には“所さんの世田谷ベース”的なものを建てる予定だとか。

飛行機好きな2人にとって、鹿屋市には海上自衛隊鹿屋航空基地があったのも魅力だった。

肉や野菜がおいしい鹿屋市。「特に黒豚がおいしくて」と料理にも熱が入り、体重が増えてしまったとか。

移住1年足らずで新居が完成予定。「新居の上を飛行機が飛ぶんです」と楽しみな様子だ。

 

鹿屋市移住支援情報
「かのや移住サポートセンター」が移住に関するあれこれに対応

 車があれば海・山・川まで数十分で行ける一方、市の中心部にはさまざまな店や病院、学校などが集まっていて、日常生活は非常に便利。年平均気温は18.1℃で、気候は温暖で過ごしやすい。鹿屋市を好きになってほしいとの思いから「かのや移住サポートセンター」を設置し、住まいの相談から就農相談まで幅広い相談を受け付けている。

かのや移住サポートセンター ☎0994-45-6930 https://www.city.kanoya.lg.jp/iju/index.html

パワースポットとしても人気急上昇中の「荒平天神」。

日本最大規模を誇る「かのやばら園」は春と秋が見ごろ。

「住まいや仕事など移住に関することは何でもご相談ください」(かのや移住サポートセンターの皆さん)

 

文/マエダ マリ 写真/岩松敏弘 イラスト/時川真一

 

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