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田舎暮らしの本 12月号

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田舎暮らしの本 12月号

11月1日(金)
890円(税込)

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カボチャは定植1カ月前にネギクラツキ/竹内孝功さんに教わる自然菜園のスゴ技【第4回】

掲載:2022年7月号

草マルチでつるを自然に茂らせ、のびのび育てて収量アップ

カボチャは生長が早く、先手先手のお世話がポイントです。生育初期はつるが伸びる前に草マルチを重ねて根をスムーズに育てましょう。開花して結実すれば、葉で地面を覆い、自ら草をコントロールしながら実を大きくします。涼しさを好む西洋カボチャ、暑さに強い日本カボチャ、子づるを伸ばさず親づるを伸ばすズッキーニもほぼ同様に育てられます。

1 土づくり

①初めての菜園には畝を準備。日当たりと水はけのよい畑を好む

 日照時間が長く水はけのよい畑でよく育ちます。過湿を嫌い、肥え過ぎた畑では葉が茂っても実は付かないつるボケになりやすいです。

 畝幅はできれば1m20cm以上に。連作可能で専用の畝にできます。

 はじめて畑にする場所などでは定植の1カ月前に畝全体の準備をしましょう。前年に野菜がよく育った畑では必要ありません。

②定植1カ月前にネギクラツキ。微生物の働きで土を肥沃に

 カボチャの栽培はスムーズな初期生育がいちばんのポイント。自然生えのカボチャは前年の実が腐熟した場所から芽を出し、肥沃になった土に根を張って、すくすくと育ちます。これを模したのが完熟堆肥を埋めるネギクラツキ。完熟堆肥に集まる微生物と、ネギの根から出る有機酸の働きで土が肥沃になるうえ、病気予防にも役立ちます。

植え付け1カ月前、予定位置に穴を掘り、完熟堆肥を入れて埋め戻し、ネギを植えてウマの鞍状に土を盛り上げる

2 準備

苗には植え付け前日に水やり。当日は3時間前から底面吸水

 苗には植え付け前日の夕方にたっぷり水やりし、当日の3時間前からは、ポットの底をストチュウ水に浸して底面吸水させましょう。苗に充分な水を蓄えさせたうえ、定植後3日間は水やりせずにおくと根が水を求めて深くまでよく伸びます。

※ストチュウ水 酢・木酢液・焼酎を1:1:1に混ぜたストチュウ原液をペットボトルにつくり置き、300倍以上に薄めて使う。7Lのジョウロの水には、ペットボトルキャップ(約7mL)3杯分の原液を混ぜる。

底面吸水は深さ3cmほどにストチュウ水を張り、苗のポットを浸す

3 植え付け

① 遅霜の季節を過ぎてから2株以上を広めの株間で

 霜に弱いので、遅霜の時期が過ぎてから植え付けます。最低気温12℃以上、フジの花が咲き、小麦が出穂するころです。植えたばかりの苗は風に弱いので、できれば強風の日は避けます。

 他花受粉のため、2株以上を植えます。つるが伸びる範囲に根を浅く広く張るため株間は広めの1mほどがよく、狭い畑でも50cmはとってください。

 ネギクラツキに、ネギを抜いて植え穴を掘り、カボチャの根鉢に抜いたネギを沿わせて植え付けます。

植え穴に根鉢を入れたら、掘った土を隙間に戻し、しっかりと鎮圧。根鉢と土を密着させて根の生長を促す

②西洋カボチャは株元まで、日本カボチャは株元を空けて草マルチ

 植え付けと同時に草マルチして根の生育を助けます。草マルチの敷き方は、生育適温が低めの西洋カボチャと、高温好みの日本カボチャとで異なります。

西洋カボチャは株元まで草マルチを敷く

日本カボチャは株元を空けて草マルチを敷く

4 お世話

①つるが伸びる先に花が咲くまで先手先手で草マルチ

 カボチャはつるを伸ばし、葉を茂らせると同時に、その下に根を張っていきます。つるが伸びる先に、先回りして草マルチするのがお世話のポイントです。根がすんなり伸び、つるもスムーズに育ちます。開花するまで欠かさずに続けてください。お世話が遅れて草に飲まれると生育が悪くなります。

生長が早いカボチャは、つるの先30cmの範囲の草を地際から刈って草マルチする。花が咲くまで毎週続けて敷き重ねる

②雌花開花後は草を刈らず、草マルチせずつるを動かさない

 付け根に小さな実を付けた雌花が咲き始めたら、つるを動かさないようにします。節から伸びた不定根が根付き、実に養分を送るからです。

 草刈りと草マルチも止めます。カボチャは自ら草を抑えますが、実をつけると草を生やし、つる葉と草で実を隠します。

収穫に向けて実を付けはじめたカボチャの畝。実が隠れるように草は刈らない

③雌花開花後につる先を観察。草勢が弱いときは米ぬかを補う

 雌花開花のタイミングでつる先を観察してください。草勢が弱くつる先が持ち上がらないときは、株の周りに草マルチの上から米ぬかを一握り撒いて補います。

 つる先が立ち上がるほど持ち上がり、草勢が強すぎる場合は、つるぼけして雌花が落花しやすいです。このとき元気なつるを3本残し、ほかのつるを摘み取ると実が付きやすくなります。

④1週間雨がなければストチュウ水を葉面散布

 1週間雨がなければ、朝露の残る早朝か、夕方にストチュウ水を葉の上からたっぷりとかける葉面散布をしてください。特に実を付ける時期には、葉が白くなるうどんこ病が出やすくなります。降雨があれば洗い流されますが、ストチュウ水の葉面散布も効果的な対策です。

水滴が葉の上からポタポタと滴り落ちるくらい、ジョウロを使って夕立のようにかける

実を付ける時期には、うどんこ病は健康な株にもよく見られる。ストチュウ水をたっぷりかけて対策を

5 収穫

日本カボチャは皮を見て、西洋カボチャはヘタを見て収穫

 開花から数えて日本カボチャは30~35日、西洋カボチャは45~50日で収穫です。適期になった実を順次穫りましょう。遅れると樹が弱まって収量が減ってしまいます。

日本カボチャは実に白い粉が吹いたら収穫

西洋カボチャはへたにコルク状にヒビが入ったら収穫

バターナッツは皮から薄い緑のすじが消え、茶色っぽくなったら収穫

 

監修/竹内孝功

たけうち・あつのり1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『自然菜園で育てる健康野菜ゼロから始める無農薬栽培』『完全版 自給自足の自然菜園12カ月野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』(宝島社)、最新刊『苗で決まる!自然菜園』(農文協)ほか多数。

WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/

 

文・写真/新田穂高 イラスト/関上絵美・晴香

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