本誌『田舎暮らしの本』の人気連載「人力山荘」や「人力工房」でお馴染みのライター・中山茂大(しげお)が、千葉県南部の大多喜町(おおたきまち)にキャンプ場「しげキャン」をオープンした。その敷地にはログのサウナ小屋もあるのだ。つくったのは、町の地域おこし協力隊によるチーム「sauna en(サウナ エン)」。そのログサウナのつくり方を紹介しよう。
病気にかかった千葉の木を、有効活用するためのログサウナづくり
今回のサウナづくりは、僕たちの本業である林業の課題に挑戦するために始まった。千葉県の木の多くは病気にかかっていて建築材にならず、売れても安い値段となる。当然、そのまま切り捨てられる木も多い。そこで、考えたのが、薪にすること。これなら、どんな木でも活用できる。その薪を使用する場としてサウナをつくることにしたのだ。
とはいっても僕たちはDIY初挑戦。当然、わからないことも失敗もあり、毎日が刺激的(つまりパニックだらけ)。アイデアが先走り設計図もないまま着工したため、完成に漕ぎ着くまでものすごく遠回りした。設計図がないことで仲間との協力もままならず、日々険悪なムード、買ってきた材料は無駄にする、こだわりだけは強く真夜中まで作業するなどなど。周りの人たちには本当に苦労をかけた。唯一の強みは本業でチェーンソーを使っていること。だからこそ、一見ハードルの高そうなログサウナに挑戦できたのだと思う。
結局、完成したのは、「しげキャン」のオープン当日、夜中1時ごろ。初めて薪ストーブに火入れして室内が暖まったときには、とても感動した。このサウナづくりには、協力隊のメンバー、地元の製材屋さん、林業の親方、都内で働く友達など、多くの人の協力があった。そんな方々と一緒にサウナに入れば、なんともいえない幸せな気持ちになる。
「しげキャン」ログサウナの5つのポイント
サウナにとって重要なのは、「断熱」と「調湿」。サウナの室内は、高温や適度な湿度を長時間保つ必要がある。蓄熱性が高くて熱伝導率が低く、調湿性に優れているログは、サウナの建材として最適といえる。工夫したのはログ以外のところ。屋根と妻壁には、100㎜厚のグラスウールを入れ、ストーブの炉台や炉壁にはレンガを使って断熱性を高めた。
屋根を片流れにした理由は、「施工性」と「よりよいサウナ」の2つ。1つ目の施工性は、初めてのDIYだったので屋根の構造としては一番シンプルな片流れを選んだ。2つ目は、熱い空気は上に流れるためサウナベンチを片流れの高い方に設置することで、熱気を存分に堪能できる。
ほかにも、水風呂替わりの川や外気浴のチェアなど、〝ととのう〟(サウナの温冷交代浴により訪れる快感)環境は揃った。
ポイント1 間伐材を使用
ポイント2 ログだから断熱性が高い
ポイント3 薪ストーブは安価に、炉台はレンガにこだわる
ポイント4 外気浴用の高いチェアを購入
ポイント5 汗をかいたら川にドボン!
「sauna en」による今回のログサウナ制作費用
しげキャン&サウナの案内
◎サウナ小屋の作業解説は以下の記事です。ぜひご覧ください。
【2】伐採からログ組み、外装
【3】薪ストーブの設置&ととのい方
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