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田舎暮らしの本 12月号

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田舎暮らしの本 12月号

11月1日(金)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

サウナ小屋を31万円でDIY! 男の隠れ家にほしい、最高のくつろぎ空間

本誌『田舎暮らしの本』の人気連載「人力山荘」や「人力工房」でお馴染みのライター・中山茂大(しげお)が、千葉県南部の大多喜町(おおたきまち)にキャンプ場「しげキャン」をオープンした。その敷地にはログのサウナ小屋もあるのだ。つくったのは、町の地域おこし協力隊によるチーム「sauna en(サウナ エン)」。そのログサウナのつくり方を紹介しよう。

今回つくったログ材によるサウナ小屋。製作費はなんと約31万円(費用の詳細はのちほど紹介)。間伐材の活用が「森を守る」ことにつながる。

「sauna en」(サウナ エン)
大多喜町地域おこし協力隊の渡邉健士郎(わたなべけんしろう、写真右)と前田孟哉(まえだたけや)の幼馴染コンビのチーム。今回のサウナ小屋製作を皮切りに、今後もサウナをつくっていく予定。

 

病気にかかった千葉の木を、有効活用するためのログサウナづくり

 今回のサウナづくりは、僕たちの本業である林業の課題に挑戦するために始まった。千葉県の木の多くは病気にかかっていて建築材にならず、売れても安い値段となる。当然、そのまま切り捨てられる木も多い。そこで、考えたのが、薪にすること。これなら、どんな木でも活用できる。その薪を使用する場としてサウナをつくることにしたのだ。

 とはいっても僕たちはDIY初挑戦。当然、わからないことも失敗もあり、毎日が刺激的(つまりパニックだらけ)。アイデアが先走り設計図もないまま着工したため、完成に漕ぎ着くまでものすごく遠回りした。設計図がないことで仲間との協力もままならず、日々険悪なムード、買ってきた材料は無駄にする、こだわりだけは強く真夜中まで作業するなどなど。周りの人たちには本当に苦労をかけた。唯一の強みは本業でチェーンソーを使っていること。だからこそ、一見ハードルの高そうなログサウナに挑戦できたのだと思う。

 結局、完成したのは、「しげキャン」のオープン当日、夜中1時ごろ。初めて薪ストーブに火入れして室内が暖まったときには、とても感動した。このサウナづくりには、協力隊のメンバー、地元の製材屋さん、林業の親方、都内で働く友達など、多くの人の協力があった。そんな方々と一緒にサウナに入れば、なんともいえない幸せな気持ちになる。

 

「しげキャン」ログサウナの5つのポイント

 サウナにとって重要なのは、「断熱」と「調湿」。サウナの室内は、高温や適度な湿度を長時間保つ必要がある。蓄熱性が高くて熱伝導率が低く、調湿性に優れているログは、サウナの建材として最適といえる。工夫したのはログ以外のところ。屋根と妻壁には、100㎜厚のグラスウールを入れ、ストーブの炉台や炉壁にはレンガを使って断熱性を高めた。

 屋根を片流れにした理由は、「施工性」と「よりよいサウナ」の2つ。1つ目の施工性は、初めてのDIYだったので屋根の構造としては一番シンプルな片流れを選んだ。2つ目は、熱い空気は上に流れるためサウナベンチを片流れの高い方に設置することで、熱気を存分に堪能できる。

 ほかにも、水風呂替わりの川や外気浴のチェアなど、〝ととのう〟(サウナの温冷交代浴により訪れる快感)環境は揃った。

ポイント1 間伐材を使用

ログサウナのログは、すべて「しげキャン」敷地内の木を伐採して使った。健全な山の育成には欠かせない「間伐(かんばつ)」。それにより出た間伐材を活用することは、「山を元気にする」ことにもつながるのだ。

 

ポイント2 ログだから断熱性が高い

建築物をつくることは初めてだが、チェーンソーは使い慣れている僕たちにとって、ログハウスは一番つくりやすかった。またログ自体に断熱効果があるため、サウナ小屋には適している。なによりログを組み上げるだけだから、細かいことを考えずにすんだ。

 

ポイント3 薪ストーブは安価に、炉台はレンガにこだわる

サウナの熱源となる薪ストーブだが、僕たちは安くすませた(2万円弱)。ログハウスとの相性を考えて炉台はレンガにこだわった。しかし、レンガ積みが終わったのは、オープン前日の夜1時。トホホ。

 

ポイント4 外気浴用の高いチェアを購入

リクライニングチェアは8980円(税込)。ととのうための必需品なのでここは奮発した。しかし、ウッドデッキに寝転がるのも最高だったりする。実は、僕はチェア派より、むしろウッドデッキ派(笑)。

 

ポイント5 汗をかいたら川にドボン!

サウナを出たら川に飛び込もう。水風呂の水温は17℃程度が適温とされるが、「しげキャン」を流れる西畑川の夏場の水温が、まさに18℃くらいでちょうどいい。ちなみに14℃以下になるとアドレナリンがドバッと分泌され、一種の中毒症状となり、何度でもととのいたくなるという。

 

「sauna en」による今回のログサウナ制作費用

 

しげキャン&サウナの案内

今回、紹介したログサウナがあるのはキャンプ場「しげキャン」
https://www.nap-camp.com/chiba/14805
アイリッシュパブ風ショットバー、超絶キレイなトイレ&シャワーなど、ライター・中山茂大がDIYした個性的なキャンプ場。

「sauna en」ログサウナ
90分貸し切り、ワンドリンク付き、1人2000円(要予約)。現在は、「しげキャン」利用者のみ。
https://www.instagram.com/sauna_en/

 

◎サウナ小屋の作業解説は以下の記事です。ぜひご覧ください。
【2】伐採からログ組み、外装
【3】薪ストーブの設置&ととのい方

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