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田舎暮らしの本 1月号

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田舎暮らしの本 1月号

12月3日(火)
890円(税込)

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安く、楽しくDIY! 太陽光発電で電気を自給/10万円から!災害時も電力を確保【千葉県八街市】

停電の備えとして導入したいのが、太陽光発電だ。まずは災害時の備えとして最低限のシステムを組むことから始めて、徐々に自給率のアップを目指してみよう。

中村顕治さん(74歳)
出版社に勤務しながら、31歳のときに茨城県取手市で最初の田舎暮らしを開始。38歳のときに千葉県八街市に5000㎡の土地と家屋を入手して移住した。長距離通勤を1年半続けたのちに会社を退職して農家になった。現在は有機無農薬で栽培した野菜の宅配が主で、放し飼いにしている鶏の卵も扱う。「田舎暮らしの本Web」で「自給自足を夢見て脱サラ農家36年」を好評連載中。

晴天の日中であれば、パソコンや3台の冷蔵庫などの電化製品に必要な電力は、充分に供給できる。

 

台風による停電でも電気を賄うことができた

 東日本大震災以降、自然エネルギーである太陽光発電は急速に普及した。全国にメガソーラー(太陽光発電所)が建設され、屋根にソーラーパネルを設置した家屋も増えている。

 だが、すでに建てられた家に太陽光発電システムを後付けするのは、案外難しい。ソーラーパネルは重量があるため、建物の構造補強が必要となるし、配線や設備の設置も複雑だ。業者に依頼するとまとまった費用が必要だが、余剰電気の売電価格は年を追うごとに下がっているため、回収することも難しい。

 中村さんはこれまで約200万円を投資し、現在は自宅のエネルギーの約90%を太陽光発電で賄っている。ただし削減できた光熱費は月1万円強で、元を取るのは難しいという。

「それでも僕は電気の自給をオススメしたい。2年前の台風をはじめ、停電したことは何度かありましたが、夜に明かりがついていたのは近隣でわが家だけ。つくった野菜や果物を保存している冷蔵庫もセーフでした。災害のときでも最低限の電力を確保するための『保険料』として、太陽光発電はいい投資だと思うんです」

晴天なら電気代はゼロ。雨続きでも月1500円

 発電に必要なものは、基本的に4点。発電するためのソーラーパネル、安全装置であるチャージコントローラー、直流を交流に変換するインバーター、蓄電するバッテリーだ。機材を選び、回路を設計するには、電気に関する知識が必要となる。

「初心者は機器がセットになった製作キットを購入するのがいいと思います。僕は100Wのパネルを含むセットを10万円ほどで購入したところから始まりました。ほかの機器はライフスタイルに合わせて、買い足せばいいわけです。チャージコントローラーとインバーター、バッテリーの役割を兼ね備えるポータブル電源を使うのも便利。高価ですが、接続が簡単です」

バッテリーの過充電防止機能などを備えるチャージコントローラー。

インバーターは高性能な正弦波インバーターを含め、通算30台ほど購入した中村さん。

バッテリーは鉛電池(上)とリチウムイオン電池を併用。いずれも繰り返しの充放電に強い、ディープサイクルバッテリーだ。

 中村さんは現在、計36枚・7200W分のソーラーパネル、約1万Wh分のバッテリー(ポータブル電源を含む)を使用している。冬は夏に比べて発電量が半分ほどに減るが、晴天なら光熱費は限りなくゼロに近い。梅雨など雨続きの月は、1500円ほどの電気代を支払うことがある程度だという。

「万が一のときのためにプロパンガスは備えていますが、調理にはなるべくガスを使わず、電気炊飯器や電気圧力鍋を使用して光熱費を削減しています。ソーラーパネルは畑作業の邪魔にならない場所に分散して置き、効率がいい場所と角度を常に試行錯誤していますね」

プロパンガスとガスコンロも設置しているが、給湯や煮炊きは省エネのため、基本的に電気ケトルや電気圧力鍋を使用している。

太陽光発電は初心者でも充分に始められる

 中村さんのシステムは、完全に独学によるものだ。率直なところ、屋外にバッテリーやインバーターがあったり、無造作に送電用の長いケーブルが引かれていたりと、安全性に問題のある箇所もある。実際に、試行錯誤の過程ではショートさせてインバーターから煙が噴き出したこともあるという。広大な敷地に1人暮らしの中村さんだからできることなのは確かだ。

 だが太陽光発電は、高い金額を出して業者に依頼しなければできないような、ハードルの高いものではない。初心者用セットから始めて、徐々にシステムを広げていけば、DIYすることは充分に可能だ。

「地球に負荷をかけないだけでなく、近年増え続けている自然災害の備えとして、太陽光発電はとても有効なもの。ぜひ、エネルギーの自給自足に挑戦してみてください」

手づくりの小屋にもポータブル電源やバッテリー、インバーターが。雨のときは濡れないように保護する。

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