掲載:2022年10月号
500円玉間隔で種を蒔き鎮圧 がっちり根性がある発芽を目指す
地中海沿岸から中央アジア原産とされ、冷涼な気候を好むダイコン。古くから日本に伝わり、各地に多くの品種が見られます。アブラナ科のなかでは種が大きく、がっちりと根性のある発芽をさせると大きな双葉に育ちます。500円玉間隔で種を蒔き、土をしっかりと鎮圧してください。本葉3~4枚に育ったら間引きを始めて根を太らせましょう。
1 土づくり
初めての菜園では畝を準備。夏野菜やネギの後の肥沃地が最適
水はけよく水持ちのよい畑を好みます。土中の未熟な有機物はダイコンを又根にするため、草などを鋤き込まないように。夏野菜やネギを育てた後地なら、何も入れずにそのまま種を蒔きます。
初めて畑にする場所などでの畝全体の準備は必ず1カ月前までに済ませてください。
2 準備
蒔き床は1カ月~2週間前に耕し、種蒔き直前に再度耕す
土中の有機物の分解を促し、蒔き床の草を減らし、コオロギやナメクジの害を減らすため、蒔き床は種蒔きの1カ月~2週間前に一度耕しておきます。さらに種蒔き直前にもう一度浅く耕すと、草も生えにくく、初期生育がよくなります。
3 種蒔き
① 500円玉の間隔で種を蒔く
アブラナ科のなかで種が大きく、発芽しやすいダイコン。立派な双葉を発芽させ、根をしっかり育てるのがポイントで、種蒔きには2つのコツがあります。
1つ目のコツは種を直径約3cmの500円玉間隔で蒔くこと。こうするとお互いに協力して水を吸い上げ、乾燥を防ぎ、草も生えにくく、本葉2~3枚になるまで間引きなしで育ちます。間隔が狭いと発芽後に徒長しやすいです。
②覆土したらしっかり鎮圧
種を蒔いたら種の厚さの2倍、1cmほどの深さに土をかけ、しっかりと鎮圧してください。これが2つ目のコツ。土の水分が種に移って発芽が促されるうえ、土が乾きにくくなります。こうして水やりせずに発芽させると、徒長せずよく育ちます。また、種は地上に持ち上がることなく土中に残り、双葉は種の養分を使って大きく育ちます。
4 お世話
①本葉3枚になったら一気に間引く
3cm間隔に種蒔きした後、本葉3枚まで育つと根が肥大を始めます。このタイミングで最初の間引きを。15cmほどの間隔にしてください。根菜の間引きは手で抜き取ります。朝は葉がちぎれやすいので、午前10時以降に間引きましょう。
②本葉5~6枚で2度目の間引き
本葉5~6枚で根の肥大が加速します。このとき、2度目の間引きをしてください。ここまでスムーズに育っていれば、株間を30~35cmにして間引きを終えます。
③周囲の草を除いて草マルチ 1週間雨がなければ水やりを
条と周囲の草は抜き取るか、地際で刈って、草マルチとして株元に敷いてください。
1週間雨がなければ、夕方にストチュウ水※で水やりしましょう。生育が促され、虫害のダメージも減らせます。
※ストチュウ水 酢・木酢液・焼酎を1:1:1に混ぜたストチュウ原液をペットボトルにつくり置き、300倍以上に薄めて使う。7Lのジョウロの水には、ペットボトルキャップ(約7mL)3杯分の原液を混ぜる。
5 収穫
①葉が垂れ下がったら出来上がり
ダイコンの生育が進むと、立ち上がっていた葉が垂れ下がってきます。これで出来上がりです。収穫初期は食べる分だけ抜き取ってください。
霜が降りはじめたら、土寄せして肩を埋め、年内はそのまま畑に置くことができます。
②葉と根を切り分ける
収穫したら葉と根を切り分け 切り分けるると、ダイコンの水分が抜けにくく、みずみずしさを保てます。葉は傷みが早いので、収穫した日のうちに調理しましょう。
③真冬から春先用は土中か冷蔵庫で保存
真冬から春先まで保存するダイコンは、葉が垂れて霜が数回降りてからすべて抜き取ります。根の頂部の生長点を切り落としたうえ、土に埋めて保存してください。または、よく洗ってビニール袋に入れ冷蔵庫での保存も可能です。
監修/竹内孝功
たけうち・あつのり●1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『自然菜園で育てる健康野菜ゼロから始める無農薬栽培』『完全版 自給自足の自然菜園12カ月野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』(宝島社)、最新刊『苗で決まる!自然菜園』(農文協)ほか多数。
WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/
文・写真/新田穂高 イラスト/関上絵美・晴香
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