【移住者に聞いた 田舎暮らしとレヴォーグの試乗感】
田舎はすでにネットワークができている。移住とは、そこに入ること
2011年に棚田オーナー制度をきっかけとして鴨川と出会い、里の美しさに一目惚れして土地を購入した神向寺さん。2012年からセルフビルドでオフグリッド小屋を建設し、それ以来、夫人とともに東京と鴨川での二拠点生活を楽しんでいる。
「都会では自分の生活を成立させている衣食住すべてを貨幣によって購入しています。自分の生活が外注のみによって成り立っていることに居心地の悪さを感じ、そこから少しでも脱却し、自力でできる部分を増やしていきたいと思っています。鴨川で楽しみながら実践しています」と語る。
「一昨年、25年ぶりに木造住宅を設計する機会をいただきましたが、その間に2つの大きな変化がありました。
1つ目は持続可能な社会に向けた価値観の転換と、それに連動した省エネルギー化および温熱性能の向上、それを支える設計、施工技術の進化です。
2つ目は木造建築に関する私自身の価値観の変化です。在来といわれる金物の使用を前提とした一般的な工法に対して、古民家に見られるような木と木を欠き込み、互いに組み合わせて構成する伝統工法の美しさと合理性に気づいたことです。
温熱環境と木造の工法を改めて学びなおした成果を活かした住宅の現場が現在進行中です」と語る。
「ここの敷地面積は300坪あります。面積を表す農業用語の単位では一反です。これは、ひと通りのことができる広さだといえます。もともとは神主さんの土地で、そういったこともあり、いい地所でした。長狭の谷は東西に伸びており、風の流れが独特なんですよ」
水は市の水道から供給しているが、ポータブル電源、キャンプ用のガソリンストーブなどを活用し、金・土・日曜日の鴨川生活を満喫している。
太陽熱を利用した温水器でシャワーを使えるようにしている。今後、車庫であり物置であり作業場でもある建物を建て、そこの南側にサウナとシャワールームを設ける予定だ。トイレは、コンポストトイレ(=微生物の力で排泄物を堆肥に変えるトイレ)を活用している。
食事を作るためのキッチンは軒下に存在。眼前に田園風景がひらけているため、アウトドア感を楽しめる点もポイントだ。必要十分な道具が揃っている。
ガスを使うことなく、かまどで調理している。神向寺さんによると、趣味は建築、農業の真似事、そして、パン作り、とのことなので、このかまどが有意義に活用されている
セルフビルドでオフグリッド小屋を建設し、鴨川ではそこで暮らしている。
「持続可能性をキーワードに建築を捉え直し、今後は自然の豊かさを享受する温熱環境の優れた住宅をメインに新築、改修に関わっていきたいと思っています」
建物全体を暖めることができ、やわらかな熱が全身を覆ってくれてポカポカが持続する薪ストーブを設置している。炎を見る者に癒やしを与え、心まで温めてくれる薪ストーブは、調理にも使える暖房器具の優等生だ。
鴨川にセルフビルドで建てたオフグリッド小屋での生活ではリラックスした時間を過ごしているが、書斎的な機能も果たせるようにしている。「今後もさらに研鑽を積みながら、真の価値や豊かさのある住宅を設計していきたい」とのこと。
「いま東京で4泊、鴨川で3泊するという二拠点生活を送っています。イタリア製のスポーティなコンパクトカーで東京と鴨川を往復していますが、先日、レヴォーグを使ってみました。正直、素晴らしいと思いました。キビキビ走れる小さなクルマが好きなこともあり、大きなクルマは鈍重というイメージがあったのですが、レヴォーグは思ったとおりに動いてくれました。エンジンも自然な力強さで、安全で高級な感じがしました」と語る。
自然に恵まれた鴨川周辺の里の美しさに惚れ込み、東京にある自宅とは別にオフグリッド小屋をセルフビルドで建設してしまった神向寺さん。
一級建築士として数々の建物に携わってきた設計のプロにとって、自身で家を建ててみる、自力でできることを増やす、といった鴨川での活動や暮らしは、すべてが人生の糧となる。
非効率さや不便さを含めた田舎暮らしを楽しむことで見えてくるものがあるので、それを得られる二拠点生活を実践し、正解だったと思っている。
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