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田舎暮らしの本 1月号

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12月3日(火)
890円(税込)

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長ネギは太さを揃えて並べる「同級生植え」がコツ/竹内孝功さんに教わる自然菜園のスゴ技【第8回】

掲載:2022年11月号

春と初秋に植え替えて、中耕除草と土寄せで太く育てる

中国西部から中央アジアが原産のネギ。日本に伝わったのは奈良時代以前です。土中の白い部分を伸ばす長ネギは関東や北陸より北で、葉を刈って収穫する葉ネギは関西より西で好まれてきました。今回の主役は土寄せを繰り返して育てる長ネギです。秋に種を蒔いて育苗後、定植しますが、春蒔きも可。購入苗の定植もできます。菜園の病虫害を予防するコンパニオンプランツとしても活躍します。

1 土づくり

初めての菜園では畝を準備。日当たりと水はけのよい畑を好む

 日当たりと水はけのよさを好むので、水たまりのできない畑を選んでください。未熟な有機物をうまく分解しながら育ちます。初めての菜園では堆肥を施し、ネギを育てて地力アップを図りましょう。

2 準備

① 発芽から育苗初期はセルトレイで

 ネギは草に負けやすいため、セルトレイを用いて種蒔きし、発芽後に仮植えして苗を育てます。育苗土は市販の種蒔き培土でかまいませんが、もみ殻燻炭を5~10%、バーミキュライトを5%入れると通気性と保水性が高まります。手で握ると固まる程度(水分量50~60%)になるよう水を加えて充分に混ぜてから、トレイに詰めてください。

72穴のセルトレイに、育苗土を端まで偏りなくしっかりと詰め、表面の土を板などで削ってならす

② 10粒ほど種を蒔いて覆土鎮圧

 各セルに10粒ほど種を蒔き、種の厚さの2倍ほど覆土し、しっかりと鎮圧して発芽を促しましょう。もみ殻があれば、覆土鎮圧後に薄く土で覆うと乾燥防止に役立ちます。

セルごとにつけた蒔き穴に1カ所10粒ほど種を蒔く

③ 水やりして新聞紙で乾燥防止

 種蒔きし、覆土鎮圧の後、トレイの端まで充分に水やりします。さらにトレイを新聞紙で包んで乾燥を防いでください。こうすると5日後に新聞紙を外すまで水やりせずにすみます。

新聞紙で覆ったら、さらに上から水をかけて新聞紙を濡らしておく

④ 7日後に発芽、40日後に仮植え

 種蒔きから7日ほどで発芽し、40日後には畝に仮植えします。春蒔きは生育が遅く、50~60日後になります。間引きは必要ありません。

秋は発芽後40日ほどで仮植えできるまでに生育する

⑤ 鎮圧して根鉢と土を密着させる

 根鉢と同じ深さの植え穴に根鉢を崩さず、そのまま植え付けます。株間と条間はともに15~20cmほどの間隔にしてください。

掘った土を周囲に入れ、手でしっかりと押して根鉢と土を密着させる

⑥ 草マルチや敷きワラで草を抑える

 株間に草マルチや敷きワラをして乾燥を和らげ草を抑えます。草に負けやすいので、生育中は気をつけて除草してください。

株間に敷きワラや草マルチを。ただし、コオロギなどが寄ってこないよう、株の近くはあけておく

3 植え付け

① 太さを揃えた同級生植えに

 苗の植え付けは越冬後の春。植え溝は深さ20cmほど、畝の南北方向に、すくった土を溝の西側に寄せながら切ってください。

 苗は西側の土壁に立てかけるように置きます。太さを揃えて並べる「同級生植え」がコツ。異なる太さの苗を交ぜると細いほうが消えてしまいます。

一本ネギは1本ずつ、ネギ2本分の間隔をあけて並べる

分けつネギは太いものは2~3本、細いものは4~5本ずつまとめて、15~20cm間隔に並べる

② 浅く土をかけて鎮圧

 ネギの根は空気を求めます。土に一度に深く埋めないのがコツです。

もともと苗が植わっていた部分まで土をかけ、しっかりと鎮圧する

4 お世話

① 生育初期に補いと土寄せ

 植え付けた苗は、1~2週間で根付いて起き上がってきます。溝の中に完熟堆肥、もみ殻燻炭を補ってください。分量は溝1m当たり、それぞれ1Lほどです。補った上には土を寄せましょう。

 さらに1~2週間後、ネギが丈を伸ばしたら、再度補いと土寄せを。補いの分量は最初より少なめに。生長に合わせて加減してください。これを2~3度繰り返し、伸びた分だけ土を深くしていきます。

完熟堆肥、もみ殻燻炭の順に撒き、その上に覆土する

② 草の季節は除草・土寄せ・草マルチ

 植え付けから1カ月ほど後には、草も旺盛な季節になります。1~2週間おきに除草を兼ねて土寄せするか、生長していないなら表面の土を削って中耕除草を。そのうえで草マルチしてください。

 米ぬかの補いは葉色が薄いときだけ。養分が足りて葉色が濃いときに補うと、さび病などの原因になります。

ネギの生長に合わせ、土は葉が分かれる部分の下まで寄せきる

土寄せした後、草マルチする。葉色が薄いときは草マルチの上から米ぬかをうっすら撒く

除草・土寄せは1~2週間おきに、梅雨明けまで繰り返す。土は前回の草マルチに重ねていく

③ 梅雨明け後の夏は草マルチ+除草

 梅雨明け後の暑い時期になると、ネギは生育を休みます。土寄せはせず、草マルチで地温の上昇を和らげましょう。草マルチの間から出る草は除いてください。高温対策で、稲ワラなどがあれば株元に敷くと効果的です。

株元に敷いた草マルチの下まで除草して、風通しよく育てる

④ 彼岸前には2度目の植え替え

 秋蒔きで育苗し、春先に植え付けたネギは、そのまま置いて秋の彼岸を過ぎると、とう立ちしやすくなります。暑すぎる盛夏を避け、7月終わりか8月末に、もう一度植え替えましょう。

 植え替えるネギを抜くときは、根を切らないよう、少し離れたところにスコップを入れて掘ります。1本ずつではなく、数本まとめて抜き、その後ほぐして1本ずつにするのもコツです。

 深さ20~30cmに溝を切り、西側の壁に立てかけます。春と同様、一本ネギはネギ2本分の株間をあけて1本ずつ並べます。この時期に10本以上になっている分けつネギは、太いものは2~3本、細いものは4~5本ずつに分け、15~20cm間隔で植え替えます。

西側の壁に立てかける。太さを揃えて同級生植えに

根が隠れる程度に浅く覆土して鎮圧。その上に草マルチや敷きワラをして乾燥を防ぐ。補いはしない

⑤ 秋の土寄せで白い部分を伸ばす

 秋は1~2週間おきに、葉が分かれる部分の下まで繰り返し土寄せして、白い部分を伸ばします。霜が降りるまで行い、補いはしません。

 冬は生長を止めるので、初霜が降りるまで左右から寄せた土をたっぷり盛り上げ、ネギを深く白く育てます。

生長に合わせて土寄せを繰り返し、畝を盛り上げていく

5 収穫

霜に当たって甘さを増す

 秋になれば、食べる分だけ、順次抜き取りできます。寒さで甘さを増していくので、本格的な旬は降霜後。鍋のおいしい季節に大活躍です。

しっかり太って寒さに当たったネギの甘さは格別

 

監修/竹内孝功

たけうち・あつのり1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『自然菜園で育てる健康野菜ゼロから始める無農薬栽培』『完全版 自給自足の自然菜園12カ月野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』(宝島社)、最新刊『苗で決まる!自然菜園』(農文協)ほか多数。

WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/

 

文・写真/新田穂高 イラスト/関上絵美・晴香

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